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第三十一話 赤眼その二十六
「今はだ」
「やはりわかりはしないな」
「ではさらだだ」
 魔物の身体を青白い炎が包んでいた。そうしてだった。
 魔物はその中に消えた。彼の闘いは終わった。 
 その頃死神もだ。イルとの闘いに決着をつけようとしていた。
 同じ数同士の闘いであった。雷と鎌が交差する。
 その中でだ。死神がふと言ったのである。
「よし」
「何だ?」
「決着をつける」
 こういったのである。
「これでだ」
「決着をつけるというのか」
「これで終わらせる」
 言いながらであった。鎌を一斉に投げた。
 だがその鎌はそれぞれ対している魔物達全てにかわされてしまった。魔物達はかわしたうえで前にいる死神達に対して問うた。
「まさかと思うが」
「これが切り札ではあるまい」
「そうだな」
「無論」
 死神の一人の返答だった。
「これで終わりではない」
「それは言っておく」
「そしてだ」
「そして?」
「どうだというのだ?」
「鎌はそれだけではない」
 こう言ったのである。
「そして鎌は一つでもだ」
「一つでもだと?」
「どうだというのだ?」
「それだけで切り札になる」
 こう言ってみせたのである。
「それは言っておく」
「鎌一本でも切り札になる」
「それはわかる」
「しかしだ」
 魔物達の声はいぶかしむものになっていた。死神は今は彼等の中の一人だけが話しているのに対してだ。彼等はそれぞれの口で話していた。
「だがそれをだ」
「一体どうするつもりなのだ?」
「ここで」
「鎌は出すだけのものではない」
 今度はこう言ってみせた死神だった。
「隠すこともできるのだ」
「隠すというのか」
「そうだ、それもできる」
 こう魔物達に話すのである。
「それを見せよう」
「むっ!?」
 そしてだった。ここで。
 魔物達の横にだ。突如としてそれが現われたのである。
「何っ!?」
「もう一人だと!?」
「まさかここで」
「言った筈だ」
 また言ってみせるのだった。
「切り札はあると」
「これがか」
「そうだ。そして」
 その彼等の横に現われた死神がである。今度言う死神だった。彼はその両手の鎌を彼から見て横一列になっている魔物達に対して放ったのだった。
 それは回転しながら飛んでだった。魔物達を断ち切っていく。まさに一瞬だった。
「決まったというのか」
「まさか」
「こうして」
「これで終わりだな」
 死神は一人に戻っていた。その口での言葉だった。
「この闘いもまた」
「まさかここでもう一人とは」
「その様なことが」
「言った筈だ。切り札だ」
「それだったな」
 魔物もまた一人に戻っていた。その身体は今赤い炎に包まれてきていた。
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