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第三十一話 赤眼その十六
「生きている中でもな」
「そういうものなんだ」
「わかってくる」
 今は、という言葉が言外にあった。
「少しずつな」
「まあ悪い男には気をつけてるから」
 未久も馬鹿ではない。それはというのである。
「私だって変な人と付き合いたくはないし」
「それならいい」
「一応ね」
 そしてこんなことも言うのだった。
「これでも夢はお嫁さんなのよ」
「結婚することがか」
「それが夢だから」
 微笑んでこう話すのである。
「だからね。これでもね」
「では余計にだ」
「悪い男には引っかかるなってことね」
 もう話はわかっていた。そういうことだった。
 そんな話をしてから妹は部屋を出た。牧村は暫くゲームをしていた。しかしここで不意に部屋の窓に小石が当たってきたのだった。
 それに気付いて窓の向こうに顔をやるとだった。そこに死神がいた。彼は宙に浮かんで窓の外に立っていた。小石の主は言うまでもなかった。
「今からか」
「そうだ。もうわかるな」
「言うまでもない」
 こう返す牧村だった。
「それはもうな」
「そうか。話がわかってきたな」
「貴様は闘いになる時に姿を現わす」
 彼にこのことを告げた。
「それならだ」
「他の時にも姿を現わしているが」
 にこりともせず彼に告げる死神だった。
「縁があれば会うのだしな」
「しかしその時が多いのは事実だな」
「それはそうだな」
 それは否定しない。彼にしてもだ。
「その通りだ」
「それではだ」
 ここまで話してさらに言ってきた。
「戦いに向かう」
「そろそろまた魔神が出て来るか」
 牧村は窓に向かいながらこうも述べた。
「そういう頃か」
「さて、それはどうか
「まだだというのか?」
「それも縁だ」
 魔神についてもだというのだ。
「そちらもだ」
「全ては縁か」
「そうだ。そしてだ」
 窓を開けてきた彼を見てまた言うのだった。
「貴様もだ」
「俺も縁か」
「縁は運命とも言い換えることができる」
 死神はふとこんなっふうにも言ってみせてきた。牧村が今窓を開けて照らすに出て来るのを見ながらだ。こう言ってみせたのである。
「運命とな」
「俺の運命か」
「まず髑髏天使になった」
 最初に言ってみせたのはこのことだった。
「そしてだ」
「そして?」
「そこからどうなるかだ」
 テラスに完全に出て来た彼をまだ見ていた。
「貴様がな」
「俺がどうなるかあ」
「そうだ。どうなるかだ」
 このことを言ってきたのである。
「貴様がだ」
「俺はこのままだ」
 牧村は死神のその問いにこう述べるだけだった。
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