ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第三十話 智天その二十一
「その言葉が偽りであることを示そう」
「どちらの言葉が偽りなのか」
 やはり動かない死神だった。そのうえで魔物に応え続けている。
「すぐにわかることだ」
「行くぞ」
 その言葉と共にさらに気配が動く。そうして。
 後ろからだった。魔物は死神を頭から飲み込まんと飛び出てきた。
 それはまさに水面から出て来る動作であった。それで一気に勝負を終わらせようとしていた。
 しかしである。死神はその彼を背にしてである。こう言ってきたのだった。
「こういうことだ」
「何っ!?」
「この時を待っていた。そう」
「そう!?何だというのだ?」
「この時で決着がつく」
 言葉を言い終えると共に振り向く。それと共に両手に持っている大鎌を横に一閃させた。右回転に振り向きまさに一気にであった。
 飛び出てきていた魔物の身体を一閃した。それで終わりであった。
 動きを止めた魔物の身体は忽ちのうちに赤い炎に包まれていっていた。魂を刈られた何よりの証であった。
 その魂を刈られたうえで。魔物は死神に対して問うのであった。
「何故だ」
「何故だとは?」
「何故私を倒せた」
 問うのはそのかなりシンプルなことについてであった。
「何故私を倒せた」
「貴様は言った」
 死神はその魔物に顔だけでなく身体全体を向けたうえで告げてみせた。
「貴様の世界に入らずにどうして貴様を倒せるのかとな」
「そのことか」
「そうだ、そのことだ」
 まさにそれだというのである。
「確かに私は貴様の世界に入ることはできない」
「それはその通りだな」
「しかし貴様は私の世界に入ることができる」
 言葉が逆になっていた。それをあえて語ってみせるのである。
「そこに入れば私は貴様を倒すことができるのだ」
「貴様の世界だからだな」
「その通りだ」
「成程な」
 それを聞いてまずは頷いた魔物だった。
「それは迂闊だった」
「私を倒すには私の世界に入る必要がある」
 死神はその厳然たる事実を話す。
「だからこそだ」
「それはわかった」
 魔物はそこまで聞いた。
「それではだ」
「わかったならばだ」
「私はこれで去ろう」
 赤い炎に包まれながら述べたのだった。
「これでだ」
「さらばだ」
 魔物は赤い炎の中に消えた。死神はその炎の輝きを背で受ける。そのうえで闘いを終えるのであった。 
 そして髑髏天使は。道化師の複数の攻撃を受け続けていた。
「さあ、どうでしょうか」
「そろそろですか?」
「疲れが見えてきたのではないですか?」
 攻撃は今も繰り出し続けていた。
「そうではありませんか?」
「少しでも感じたらそれからですよ」
「あらたなショーのはじまりです」
「あらたなショーだと」
 髑髏天使は攻撃をかわすその中で魔物達に対して問うた。
「それがはじまるというのか」
「はい、貴方が敗れる場面がです」
「それがはじまります」
「ですから」
 こう言ってきたのである。
「それがショーになります」
「おわかりですね」
「貴方はそれによってです」
「わからないと答えておこう」
 だがここでも髑髏天使は髑髏天使であった。こう返したのである。
「それはだ」
「まだそう言えるのですか」
「それはまた」
「見事ではありますが」
「しかし」
「しかし?」
 さらに言ってきた道化師達であった。
小説・詩ランキングsite_access.php?citi_id=254078182&size=200cont_access.php?citi_cont_id=686008102&size=200 http://ept.s17.xrea.com/WanNe/rank.cgi?mode=r_link&id=8539


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。