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第二十七話 仙人その十九
「それを言っておこう」
「封じるというのか」
「そうだ。見るのだ」
 言いながらだった。今度は青くなった。力天使になったのだ。
 その天使になるとすぐだった。右手の剣を逆手に持ってそのうえで身体の中心に高々と掲げたのであった。
「氷の糸を受けるがいい」
「氷の糸だと!?」
「氷は全てを凍て付かせる」
 いぶかしむ声を出した魔物に対しての言葉だ。
「何もかもをだ」
「その氷をどう使うつもりだ」
「見るのだ、これを」
 その剣が青く光った。するとだった。
 そこから上下左右四方八方に氷の糸が拡がった。それはまさに蜘蛛の糸となって拡がり魔物をその中に捉えたのであった。
 魔物はその氷の糸に絡め取られてしまった。避ける時間はなかった。
「これがか」
「そうだ。氷の糸だ」
 まさしくそれだというのだ。
「これから逃れることはできるか」
「逃れてみせると言えばどうするのだ」
「ではやってみせるのだ」
 今の髑髏天使の言葉には自信があった。
「それには時間が必要だな」
「時間だというのか」
「一瞬でもだ」
 それでも時間が必要だというのだった。
「そしてだ。その間に俺はだ」
 言いながらだった。またしても変わった。今度は座天使になったのだ。
「この力を使わせてもらおう」
「雷の力か」
「受けるのだ」
 言いながらだった。その激しい雷を放つ。今度は雷の蜘蛛の巣だった。
 それは四方八方に広がりだった。魔物に襲い掛かる。そうしてそのうえで魔物を撃つのだった。
 魔物は氷に身動きを止められていた。その魔物に動きを止められてだった。彼はそれを受けて激しい衝撃に襲われる。これで終わった。
「うぐ・・・・・・」
「勝負ありだな」
 髑髏天使はそれを放ってから言ってみせた。
「これでな」
「見事だ」
 糸は消えた。魔物はその中でまだ動きを止めていた。既にその身体から青白い炎が生じていた。明らかに勝敗が決していた。
「こうした闘い方もあったのか」
「蜘蛛は自ら動くことはない」
 髑髏天使はその魔物に対して静かに言ってみせた。
「しかしその狩りは見事なものだ」
「それを見てだというのか」
「その通りだ。それが上手くいったな」
「確かにな。我はそれにより敗れた」
 そのことも認める魔物だった。
「貴様のその狩りによってな」
「おそらく正面から闘っていれば敗れた」
「その通りだ。我の速さは誰にも止められない」
「蜂は蜘蛛よりも速い」
 今度は蜂を話に出した。
「だが蜂は蜘蛛に捕らえられる」
「その糸によってか」
「そういうことだ。貴様が蜂だった」
「確かにな」
 蜂であることも認める彼だった。
「我はまさしく蜂だった」
「そして俺は蜘蛛だ」
 魔物の言葉は過去形であり髑髏天使の言葉は現在形である。言葉に既に今の両者の違い、そして勝敗までもが出てしまっていた。
「まさにな」
「我はその蜘蛛に捕らえられ敗れた」
「そのまま眠るがいい」
「このままか」
「炎に包まれてだ」
 炎はさらに増えていた。身体の各部を包んで今にもその全身を包み込もうとしている。魔物のその命を完全に燃やそうとしていた。
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