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第十九話 人狼その十九
「それではだ。いいな」
「よかろう。まだらミイラよ」
「はい」
 まだらミイラは主の声に応えた。
「わかっております」
「髑髏天使になってからだ」
 応えたまだらミイラに対して再び告げたのであった。
「それからだ。闘いはな」
「我とて魔物
 このことを言う。声で頷いていた。
「闘うべき相手と闘います」
「そうだ。そうでなければ魔物ではない」
 この辺りに魔物の厳格なルールが見られた。彼等の世界でも厳然としたルールが存在していることがここで窺うことができた。
「わかっていればよい」
「はい。それでは髑髏天使よ」
「変身しろというのだな」
「その通りだ。それまで待っておいてやる」
 あらためて牧村に対して言ってきた。
「それまでの間はな」
「わかった。それではだ」
 牧村はその言葉を受けた。そうしてそのうえで今両手を拳にして。その両手を胸の前で打ち合わせた。
 すると白い光がそこから発せられ全身を包み込んだ。その白い光が消えた時そこには髑髏の顔と甲冑を身に纏った異形の戦士がいたのであった。
「行くぞ」
 この言葉と共に肘を曲げた状態で右手を前に出し握り締める。それを合図として今闘いをはじめるのだった。
 牧村はまずはすぐに能天使になった。その白い姿で両手に剣を構え。そのうえでまずは右と左に次々に剣を振るいそこから鎌ィ足を放ったのであった。
「風か」
 まだらミイラはその鎌ィ足を見て呟いた。
「まずはそれで来るか」
「これならばどうだ」
 攻撃を放ったうえで魔物に対して問う。
「この鎌ィ足ならば」
「いい攻撃だ」
 魔物もそれは認めはした。
「しかし我がどういった者かをわきまえることだ」
「どういった者かだと?」
「そうだ。見るのだ」
 その言葉を出したのと同時に鎌ィ足が魔物に直撃する。しかし魔物はそれを受けても全く何ともなかった。傷一つ負ってはいなかった。
 そしてそのうえで。彼に対して言うのだった。
「我の身体には切るものは通じない」
「身体が柔らかいからか」
「その通りだ」
 だからだというのだった。
「無論叩く攻撃も効果がない」
「その身体故にか」
「そういうことだ。これでわかったな」
「わかったがそれで俺を倒せるとは思わないことだ」
 髑髏天使は攻撃を退けられてもそれでもまだ平然としていた。
「それでな」
「しかしどのようにして倒すつもりだ?」
「俺にあるのは風だけではない」
 その言葉と共にであった。またその身体を変えた。今度は青い力天使になってみせたのであった。そうしてそのうえで今度は魔物の周りに無数の氷の柱を出してみせた。
「氷か」
「これならばどうだ」
 またしても魔物に対して問うてみせた。
「この攻撃ならばどうだ」
「氷で我を凍らせるつもりか」
「斬る攻撃が効果がないのならば」
 髑髏天使はまた言ってみせてきた。
「こうした攻撃もある。違うか」
「やはり。ヴァンパイア様が仰る通りはある」
 彼を褒める言葉を出すことにやぶさかではないのがここでもわかった。
「しかしだ」
「これも効果がないとでもいうのか?」
「その通りだ。見るのだ」
 氷が彼を直撃し凍らせようとする。しかしだった。彼はそれを受けてもやはり何ともなかったのだった。そのまま傷一つ受けていない身体でそこに居続けている。
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