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第二話 天使その十八
「我々はな。そうなのだ」
「それは聞いていたがな」
「そうか。では話が早いな」
「俺を倒すつもりか」
「それは最初から言っている筈だ」
 言葉とその目の殺気がさらに強く鋭いものになるのだった。
「倒す。覚悟するのだな」
「ではその言葉完全に貴様に帰そう」
 髑髏天使もまたただやられるつもりは毛頭なかった。彼も闘気をその身体に纏わせ構えを解くことはない。今また闘いがはじまろうとしていた。
 先に仕掛けたのは半漁人だった。爪で引き裂かんと右手を出してきた。
「裂けろっ!」
「ふん!」
 しかし髑髏天使はその右手の手首を受け取りそこから後ろに投げるのだった。丁度背負い投げの形になって投げたのだった。
「むっ!?」
「迂闊に攻撃を繰り出さないことだ」
 投げられながら声をあげる半漁人に対して言うのだった。
「さもなければ。こうなる」
「こうなるというのか」
「そうだ。そしてだ」
 まずは地面に叩き付ける。下は緑の雑草が生えそれがクッションにもなるがそれでもダメージは確実に与えられることが期待された。
 半漁人は背中から叩き付けられた。髑髏天使はそれで攻撃を終わらせずさらにその腹に上から蹴りを入れようとする。しかし今度は彼が反撃を受ける番だった。
「くっ!」
「甘いな」
 右足で蹴りを入れた。しかしそれは半漁人の両手で防がれてしまっていた。防がれただけではなくその足首も掴まれてしまっていた。
「その程度で我を倒すつもりか」
「その程度だと」
「そうだ」
 半漁人は言う。
「この程度ではな。倒せん」
「うう・・・・・・」
「だが投げられた恨みは晴らす」
 そしてこうも言ってきた。
「しかも。我の得意とする場所でな」
「得意とする場所!?」
 髑髏天使は今の言葉だけで全てを察した。
「まさかそれは」
「そのまさかよ」
 この言葉と共に髑髏天使を投げたのだった。それと共に起き上がる。
 髑髏天使は後ろに投げられた。後ろは河だ。彼は河の中に投げ込まれてしまったのだ。
「しまった、水か」
「これでよし」
 半漁人は髑髏天使が落ちた河を見下ろしつつ満足気に笑っていた。
「そしてだ」
 そのうえで自分も河に飛び込む。闘いは水中戦へと移るのだった。
 髑髏天使は水の中でも至って冷静だった。その動きは水中であろうとも陸上にいる時とほぼ変わりがないのであった。彼はこのことにまず驚いていた。
「水中だというのにこの動きか」
 身軽だった。水の中特有のあの不自由さはない。それがどうしてかもすぐに察することができていた。
「そうか。これも力だな」
「髑髏天使。やはりその名だけはあるな」
「やはり貴様もそうか」
「我は半漁人」
 この言葉が答えだった。
「水の中でこそその真価を発揮する」
「そうだったな」
 彼のその言葉に納得する髑髏天使であった。
「貴様は魚の力を持つ魔物。ならば」
「では貴様の運命もわかるな」 
 半漁人は髑髏天使に進み間合いを詰めつつまた言ってきた。
「その確実な死が」
「生憎だがそれはわからん」
「何っ!?」
「人の身体である時ならいざ知らずだ」
 半漁人が突き出した右の突きを身体を左に捻ってかわしつつ述べた。
「この身体なら。髑髏天使の身体なら」
「今のをかわすか」
「何の問題もない」 
 今度は彼の番だった。後ろに回り込む。
「そしてだ」
「むうっ!?」
「水中でも効果のある技はある」
 答えながら半漁人の首に手を回すのだった。プロレスで言うスリーパーホールドのポジションであった。
「こういう技がな。このまま」
「絞め殺すつもりか」
「そうだ」
 実際に彼の首を締め付けながらの言葉であった。
「死ね。貴様がな」
 髑髏天使は言う。
「このまま。絞め殺してやる」
「生憎だがそうなるつもりはない」
 今の半漁人の返答は決して負け惜しみでも強がりでもなかった。
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