第十三話 衝突その十
「けれど牧村さんにとっては二十歳って大きいよね」
「それで髑髏天使になったんだし」
彼の事情ではそうであった。
「髑髏天使になって。それで今闘って」
「そんな二十歳だからね」
「髑髏天使か」
彼等の言葉を受けてあらためてその存在について考えることになった。
「そうだな。俺は髑髏天使だ」
「うん、魔物と闘って倒す」
「けれど牧村さん」
今度は赤舐めが彼に対して声をかけてきた。その長い舌を口からべろべろと出しながら。
「最近何か変わってきてない?」
「変わった!?」
「うん。雰囲気だけじゃなくて何か言葉も」
「変わったか」
「ああ、そういえば変わったよね」
「そうそう」
他の妖怪達も垢舐めの言葉からそれに気付いたのだった。
「前までもうちょっと動揺とかあったけれど」
「今は超然的!?」
こう表現したのはすねこすりだった。猫、それもスコティッシュ=フォールドに似た格好で牧村の足元にうずくまっておりそのうえで言うのだった。
「そんな感じになってるかな」
「何があっても動じなくなったし」
「言葉遣いも淡々としてきたし」
「変わったって言えばかなり変わったよね」
「そうなのか」
だがこのことは自覚のない牧村だった。
「俺は。そんなに変わったか」
「少なくとも髑髏天使になって僕達とこうして話をする前と比べたらね」
「もう別人だよね」
「だよね」
こう言葉を交える妖怪達だった。
「やっぱり闘いを経ているからかな」
「それでかな」
彼等はその原因を闘いに求めた。
「だからそんなに変わったんじゃないの?」
「そう思うんだけれど、僕達」
「そうかもな」
そして牧村もそれを否定しはしなかった。すねこすりの言う超然とした態度で彼等の言葉を受けるのだった。
「少なくとも闘いは常に意識している」
「そのせいかな。変わったのって」
「闘いっていつも緊張するんだよね、確か」
から傘は闘いというものを知らないようである。
「それもいつもそれが頭の中にあったらやっぱり」
「変わるよね」
「うん、変わる」
妖怪達はこう結論を出した。博士も彼等の話を黙って聞いていたがそれが終わってから自身も口を開いたのだった。
「確かに君は変わった」
「博士もそう見るのか」
「彼等の言う通りじゃよ。超然となった」
やはり彼も同じ意見だった。
「雰囲気も鋭くなっておるな」
「そうなのか」
博士にも言われまた考える目になった。
「俺は。そうなっているか」
「うむ。髑髏天使になったことがやはりある」
「それが全ての原因か」
「そうとしか言えまい。しかしこのまま髑髏天使として闘いを生きていくな」
「ああ」
博士の言葉にはそれはもう完全に受け入れた者としての達観があった。
「そのつもりだ。どのみち逃げても何にもならないのならな」
「では君はこれからより変わっていくじゃろうな」
こう見ているのだった。
「よりな。どう変わるかまではわからんが」
「より変わるか」
「今は前より鋭くなった」
これは妖怪達が言わなかったことである。
「剣の様にな」
「剣か」
「そしてその剣で魔物を絶つ」
今度はこう言った。
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