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第二話 天使その九
「砂かけ婆に塗り壁か」
「やっぱり知っておるぞ」
「意外と博識だな」
「化け物が。どうしてここにいる」
 牧村は今度は身構えつつ彼等に問うた。
「まさか。博士を」
 その言葉と共に牧村の身体が光った。激情が爆発しそれにより顔が変わりあの髑髏と鎧の騎士となったのであった。彼等の姿を見ての警戒もそこにはあった。
「貴様等、ならば」
「やはりそうじゃったな」
 だがここで。その博士の声が聞こえてきたのだった。
「博士、いるんですか」
「うむ、ここじゃ」
 本棚の間から姿を出す。そこから牧村が言う化け物達に囲まれて姿を現わしたのであった。見れば元気なものだった。
「やはりな。君じゃったか」
「俺だった!?一体」
「君は天使なのじゃよ」
「天使だと。俺が」
「まずはその姿を元に戻すのじゃ」
 こう牧村に告げる。
「よいな」
「戻す。どうやって」
「一度変身したのではなかったのか?」
 牧村の前に来て問う。
「ではわかるじゃろう」
「昨日のことも知っていたんですか」
「この連中から聞いたのじゃ」
 また述べる博士であった。
「昨日のことをのう」
「この化け物達から」
「妖怪とも言うがな」
 博士は化け物という呼び方は好きではないらしい。あえてこう呼んできた。
「まあ聞いてはおる」
「そうだったんですか」
「僕が教えたんだよ」
 ふわふわと飛ぶ軽そうな丸いものだった。見ればそれがやけに多く部屋の中を飛んでいる。
「博士にね」
「人魂か」
「何じゃ、知っておるのか」
「漫画だの小説だので読んでいた」
 博士に対して素っ気無い様子で答える。
「こんなものだというのはな」
「ふむう、意外と妖怪について知っておるのう」
 それを聞いて腕組をして述べる博士であった。
「それでは話が早いのう」
「話が早いだと」
「うむ。まあとりあえずはじゃ」
 一旦話を元に戻してきた博士であった。
「その変身を解こうぞ」
「どうやればいいんだ?」
 実はそれがわからない牧村だった。声に微かに戸惑いが見られる。
「そもそもどうして変身するかどうかもわからないというのにだ」
「念じればいいのじゃ」
「念じる!?」
「そうじゃ。例えば変身したい時じゃ」
「今までは自然となっていたんだが」
「それが違うのじゃよ」
 そうではないと牧村に対して説明する。
「あの虎人と闘った時でも今でも危険を察したな」
「確かにな」
「危険を察して無意識のうちに変身したのじゃよ」
「そうだったのか。それでか」
「だから本人が望めば変身できるのじゃ」
 こう述べたのであった。
「それでいいのじゃ。わかってくれたか」
「では変身を解く時は」
「同じじゃよ。人間の姿に戻りたいと思うだけじゃ」
「それだけか」
「試しに念じてみよ」
 牧村に対して勧める。
「早速な。ほれ」
「わかった。それではな」
 牧村は博士の言葉に従いすぐに念じてみた。するとそれでもう変身が解け元の姿に戻った。紛れもない牧村来期になったのだった。
「確かにな」
「どうじゃ。本当にすぐだったじゃろうが」
「信じられん話だ」
 牧村は人間に戻った己の姿を見て述べた。まだ信じられないといった顔であった。
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