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第八話 芳香その七
「この無愛想さがねえ」
「仕方ないか。生まれつきだし」
 結局のところ親達もこれで納得するのだった。納得するしかなかったと言ってもいい。とにかくこうして一家団欒での食事の時は終わった。牧村はそれからまたトレーニングに励みそのうえで風呂に入り眠りに入った。翌日の学校ではまず博士の研究室に向かった。今日は博士はちゃんと部屋にいた。
「この前は済まなかったな」
「何処かに出かけていたんだったな」
「そうじゃ。それで聞きたいこともあるそうじゃな」
「カバラのことだ」
 すぐに話に出してきた牧村だった。
「カバラ。知っているか」
「ああ、あれじゃな」
 話を聞いてすぐにこう述べる博士であった。
「ユダヤ教の奥義じゃな」
「そこまで知っているのか」
「うむ。一応じゃが」
 こうも牧村に述べる博士であった。
「知ってはいるぞ」
「では聞きたい。カバラとは一体何だ」
「一言で言うと神秘じゃな」
「神秘か」
「様々な解釈も可能じゃな。じゃが今の君には」
「俺には」
「天使としての解釈になるじゃろうか」
 こう牧村に言ってきた。
「この場合はな」
「天使としての解釈!?」
「うむ」
 牧村に対して頷いてみせる。
「そうじゃ。今は大天使になれるな」
「ああ」
 博士の問いに対して頷く。その通りだからだ。
「そうだが」
「そこから先があるのも知っておるな」
「全部で九段階あるのだったな」
「左様。今は第二段階じゃな」
「第二段階でこれか」
「天使は階級によってその力が大きく違うのじゃよ」
 これは牧村も実感していることであった。天使と大天使ではそのパワーまでもが全く違ってきている。ただ翼があるだけではないのだ。
「それはわかるじゃろう。君自身が最もよく」
「その通りだ」
「さらに強くなれるのじゃよ。まだな」
「今よりもか」
「この場合のカバラはそういう意味になるのう」
 そしてこう言うのだった。
「君のその天使に関してはな」
「髑髏天使としての俺はか」
「しかしじゃ」
「しかし?」
 博士はここまで話したうえで言葉を少し変えてきた。牧村もそれを聞いて眉を動かす。
「まだ何かあるのか」
「どうも天使になると力を得るだけではなさそうじゃな」
「力を得るだけではないか」
「それはまだ調べておる。今までの髑髏天使も含めてな」
「俺の前の髑髏天使達も」
「じゃからまだ全部わかるには時間が必要じゃ。わしとても何でもすぐにわかるわけではない」
「そうか」
「そうじゃ。済まんな」
 こう謝罪の言葉も述べる博士であった。彼の周りにはいつも通り妖怪達がうろうろと徘徊している。そのユーモラスな様子が深刻な話をかなり和らげてもいた。
「時間はな。まだじゃ」
「わかった。それではな」
「待ってくれるな」
「聞いているのは俺だ」 
 牧村は一言で返した。
「なら待つのが道理だからな」
「わかってくれて何よりじゃ。そしてじゃ」
「そして?」
「魔物に何かあったか?」
 今度はこう問うてきた博士であった。
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