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第五十九話 精神その十七
「それがありますけれど」
「カルピス?いいね」
「そうだね」
「それいいよね」
 カルピスと聞いてだ。妖怪達はだ。
 明るい笑顔になってだ。それで話すのだった。
「じゃあカルピス頂戴」
「皆で飲もう」
「楽しくね」
「博士も飲むよね」
 当然の様にだ。彼等は博士にもそのカルピスを勧めた。
 そして博士もだ。彼等のその言葉を受けてだ。笑顔でこう応えるのだった。
「カルピス。どう?」
「飲む?一緒に」
「皆で仲良くね」
「いいのう」
 博士はその髭と白髪だらけの顔を綻ばせてだった。笑顔で応えた。
「わしはカルピスも好きでのう」
「カルピスも好きだったんだ」
「うむ、好きじゃ」
 博士はまた妖怪達に答えた。
「その通りじゃ」
「そうね。それじゃあね」
「一緒に飲もう」
「楽しくね」
 こうしてだった。博士も共にだ。そのカルピスを飲むのだった。
 ろく子が持って来たそれは水である程度薄められ氷で冷やされている。そのよく冷えたアイスを備え付けられているストローで飲みながらだ。
 妖怪達はだ楽しげな笑顔でそれぞれ言うのだった。
「この滅茶苦茶な甘さがいいんだよね」
「カルピスの甘さって病みつきになるよね」
「もう一度味わったらね」
「忘れられないんだよね」
 これが妖怪達のカルピスへの反応だった。
「けれどこのカルピスってもう長いよね」
「そうそう、できてからね」
「結構長いよね」
「そうだよね」
 カルピスを食べながらの話だった。
「三十年?四十年?もっと昔かな」
「もっと古いかな」
「カルピスの味って変わらないよね」
「まずくはなってないよね」
「むしろいい意味で美味しくなってるよね」
 企業側も努力しているということだ。さもなければ売れない。人間社会のその摂理は何時の時代でも変わらないことだ。そういうものなのだ。
「そのカルピスも牧村さんに残しておこうか」
「そうだね。そうしよう」
「カルピスも残してそのうえでね」
「待とうね」
「うむ、待とうぞ」
 博士は笑顔で応えた。
「彼にはそうじゃな」
「そうじゃな?」
「っていうと?」
「一本残しておくか」
 カルピスをというのだ。
「残しておくとするか」
「いいね。牧村さん甘い飲み物も好きだしね」
「じゃあそれを残しておいてね」
「待とうね」
 妖怪達も笑顔で応える。
「それじゃあ今は」
「そうして待とうか」
「けれどカルピス一本かあ」
「何が凄いね」
 そのカルピスについても話す彼等だった。
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