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第七話 九階その八
「あの人はよ」
「まあそうだね」
 否定できないものがそこにはあった。
「あの研究室の前通ると変な感じする時あるし」
「それは気のせいだな」
 牧村は妖怪達のことはこう言って隠した。
「気にするな」
「そうかな。かなり気になるよ」
「気にするなっていう方が無理だろ」
 金髪もそれに続く。
「まあとにかく話を聞いてわかるのならね」
「聞いたらいいさ」
 二人もここでは博士と話すことを勧めた。
「じゃあ僕達はここでね」
「またな」
「講義か」
「うん、そうなんだ」
「俺もだ」
 二人共こう言って話をする。
「だからね。また」
「丁度飲み終わったしな」
「そうか。ではまたな」
「うん。そうそう」
 また言う眼鏡だった。
「一つ気になるんだけれど」
「どうした?」
「面白い話だけれどね」
 こう彼に話してきた。
「今君テニスとフェシングやってるじゃない」
「ああ」
「それでいいスポーツ用品店見つけたんだけれど」
「それか」
「そう。興味あるよね」
 このことを牧村に対して問うてきた。
「このことは」
「そうだな。テニスのラケットが欲しいと思っていた」
「そうなんだ、やっぱり」
「大きさはどれだけのものがいいかな」
「そこは人それぞれだからね」
 眼鏡の返事は今回はあまりはっきりしたものではなかった。
「合ったの選ぶといいよ」
「合ったのをか」
「牧村君はさ」
「ああ」
「どんな感じのプレイがしたいの?」
 こう牧村に対して尋ねてきた。彼にしては純粋にテニスの話をしていた。しかしそれでも牧村にとっては闘う為のトレーニングなのだ。ここに大きな違いがあったが相手がこのことについて知る由はなかった。知らなくて当然のことであったし彼も気付くことはなかった。
「一体さ」
「足を使ったものがやりたいな」
「インサイドワークだね」
「そうだ」
 答える牧村だった。
「そうしたテニスがしたい」
「フットワークなんだ」
「そうだ。それならラケットは」
「そんなに大きいものを持つ必要はないよ」
 眼鏡のアドバイスだった。
「別にね」
「そうか。では適度のものでいいな」
「そういうこと。そういえば牧村君てさ」
「何だ?」
「フェシングで突くだけじゃなくて斬るのもやりだしたんだよね」
「サーベルか」
「最初からやってたっけ」
 また彼に問うてきた。
「それは」
「そうだ。最初からだ」
 このことを隠すことはなかった。
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