軋む。軋む。全て、軋む。
僕は目の前の光景を瞬きもせず見つめていた。飛び交う凶器。張り詰めた風船の様にいつ爆発してもおかしくない雰囲気。
「早く死ねよ!早く!」
「何だと――親に向かってそんな態度…!」
やがて耳の奥が鳴り始める。やけに風通しがよくなったと思ったら、窓が割れていた。
ああ、ガラスも壊れたんだ。
「お前が今までどれだけ家族に迷惑かけたと思ってんだよ!死ね!」
「うるさいっ!親にそんな口聞いていいと思ってんのか…!?」
親子なのに悲惨だね。いつも囲いの外から見てる僕からしたら、どっちも死ねばいいと思った。ガキでカスみたいな光景は、毎日毎日繰り返され。それはまるで、終わる事のないモノクロ映画見たいだった。動きがどこかカタカタしてて、色があまりに少ない世界。
「お前みたいなヤツは今すぐ家から出ていけ!」
ひっくりかえったリビングの机が、ケラケラ笑っていた。
「ああ出ていくさ!こんな家こっちから願い下げだね!」
僕は一人漂っていた。悲しくなんかないよ全く。むしろまるでパーティみたい。フローリングに散らばる刃物、暗闇を落とした天井の照明。割れたガラスから覗く様に、深夜の白月がニヤついた。僕は今までに何十回も繰り返されてきた会話にほくそ笑んだ。
こうしてこの家は壊れてくんだ。
とても儚くて面白い。いつも脆くて美しい。
きっとそろそろ鳴り響く。ガラガラ言いながら崩壊する。
今夜も月は綺麗だね。 |