寂しさを誤魔化して(星花女子Project番外編)
大切で大好きな恋人ができた。
それまで勉強と生徒会の仕事だけ頑張って、他の事なんか気にかけたことも無かった私にとって、それはまるで新しい世界が出来たかのような、新たな未来だった。
恋なんて知らなかったし、することも無かったから、恋人にされるがまま、愛し愛されて次第に私の方からも色々な事をするようになった。勉強と生徒会の仕事との隙間時間にいつでも出来るように、色々とお金をつぎ込んだりと、色々なやんちゃもしたけれど楽しい時間だった。
高校生の時に出逢い、大学入学と共に結婚。
私、伊ヶ崎波奈と、私の大切な人、彼方結唯。
生徒会長だった私を支えてくれた、当時の風紀委員長だった結唯。
かなりの遊び人だったくせに、私ほどではなかったけれど、十分重度の仕事人間だった結唯は、私達の会社が程々に成長したところを見計らったかのように私に会社を押し付けて、ニューヨークへ飛んでいってしまった。
何よ、ニューヨークでも挑戦してみたいって。
私の身体は結唯無しでは生きられないようになってしまっていると言うのに。
でも、私は分かってる。
結唯の努力も、涙と汗も、全部間近で見て支えてきたから。
私は結唯を笑顔で送り出した。結唯を見送ったその日はもう何も出来なくて。寂しくて仕方が無かった。
何度も何度も後悔した。
でも、やっぱり応援したくなってしまう。それが私と結唯の関係。
こんな感じの私達だからこそ今までの私達があるのだと思う。
結唯がいってしまってから、私は高校時代を思い出したように仕事に熱中した。逢えない寂しさを誤魔化すように。月に一度、一週間だけ私達が交互に日本とニューヨークを往復して、二人きりの時間を楽しむ事が楽しみにして、頑張っている。
大好きなあなたの胸に、飛び込む自分を想像して。