表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大怪獣ゲスラ  作者: ロッカ&参照太夫
6/45

  再びクリスマス

 ドアを開けるとカウンターに、小野寺善行よしゆき谷垣たにがきが並んで座っていた。


 エンタメが言った。

「ダンナ、なかなかシブイ店、知ってるな。焼酎は置いてるかい?」


 すかさずマスターが答える。

「いいのがありますとも」


 バーテンのロリ山田が言った。

「あ、やっぱり二人並んでいても信じられない! 江守さん、こんな美人と、どこで知り合ったの?」

 aタイプはとびっきりの笑顔を見せる。


 善行が立ち上がって言った。

「あ、エータイプさんだったよね。お嬢さん、昼間はどーも。友和、みんなでこっち来て座れよ」


「へえ? エータイプさんって言うの? 髪の毛、綺麗に染まってますね。完璧なピンクだね」

 と谷垣も思わず立ち上がる。


「あら、aタイプでいいのよ。それに、これは元々の色よ」

 とaタイプ。


「ゆうべは、確か、黒髪でしたよね」

 とロリ山田。


「あのヘアカラーはアンタレスで買ったの。最近一番のお気に入りよ」

 とaタイプが答える。


 マスターは焼酎のお湯割りのお湯を沸かしながら、小声でぶつぶつ言っている。

「そりゃ少々(オツムは)弱いかもな? だけどこんなに可愛い娘が、江守友和だって? そんな馬鹿な! 絶対おかしいよ……」



 aタイプが「ジャック・ルビー」に初めて現れたのが、ショー・パブ(ゲイバー)「パンプキン・クイ~ン」で宇宙蛭退治をしたクリスマス・イブの夜なのだ。

 そして翌日のクリスマスの日中はパブ喫茶「ロマーノ」へ行き、善行にたっぷりaタイプを見せびらかしてやった後で、買い物三昧をして、夜になってから子ノ渡文化会館へ行って、宇宙蛭と一大決戦を繰り広げたのである。


 現在のこの時間は、大決戦の直後の時間なのだ。

 つまり、クリスマスの真夜中って事だ。



 ロリ山田が言った。

「そうだ、夕方、千鶴ママからクリスマスケーキの差し入れがあったんだ。aタイプさん食べて下さいよ」


「わーいケーキ!」

 甘いものが底抜けに好きなaタイプである。


 マスターがシャンペンを抜いた。


「乾杯!」


「来年もよろしくな」


「メリークリスマス」


 aタイプが上着を脱ごうとしている。

「わ! aタイプ、わざわざ脱がなくたっていいからな」


「でも、上着のままじゃ、皆さんに失礼じゃない?」

 とaタイプ。

 悩ましい首筋から胸元、二の腕から脇の下にかけてが露わになった。

 この一瞬、男どもの目が釘付けになった。


「ふん!」

 と善行の鼻息の音が響く。


「ゴックン!」

 これは谷垣が、生唾を飲み込んだ音だ。


 友和はaタイプの正面に飛びつき、銀色ジャケットの前を閉じ合わせながら言った。


「あわわ。失礼じゃない。失礼じゃないから!」

 全員、目が点になっている。

 aタイプが言った。


「そお? じゃ、……お星様のように毎日綺麗なaタイプクローンに、苦労なし!」


 オヤジの駄じゃれのような気がしないでもないが、これはaタイプクローンの、乾杯の音頭なのだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ