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夢鏡

作者:につき
twitterコンテスト出品作品です。
恨火えんか渦巻く 楼獄ろうごく
濡羽ぬれはの色香 紅黒子べにぼくろ
しだれ柳は 傾城の
緑に映える  黒紬くろつむじ
夢か現か 柔肌の 
かげろひ惑う 耳白し

朝に夕べに 面影の
虹色眩暈 醒めぬまま
臙脂えんしの格子の 花影の
しょくのゆらめき 黒牡丹
五月雨滴る 青柳
濁る流れの あけの橋

誰が為落つる 星のもと
てては鉄火の 酒の仇
母の甘さの 髪匂ふ
忘れ形見の 銀のくし
色の坩堝るつぼへ 花一匁
黄金こがねの色の かね

白けた朝の 溜息の
葡萄の息の 玻璃窓はりまど
寒色さむいろ溶けて 夢果つる
緋色の裾の 雪肌の
蕩けた耳の 蟲の音に
薄い背を押す 明けの月

鼈甲櫛の 残り髪
忘れた名を呼ぶ 親子亀
恋し父母ててはは 手は伸びて
砕けた夜の 夢鏡
目醒めぬ闇の 白き手の
血が朱染める 綾畳

金襴緞子の 羽二重の
布団重ねて 花魁の
華も艶やか 太鼓帯
祝いの朝の 旅立ちと
一世一代いっせいちだい 死に化粧
むくろいだいて 通夜語り

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