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「僕の初恋」の彼女側からの視点で書いた短編小説です。
彼側の話を読んでから読むのをおすすめします。
私の初恋
作:華菜恵


学校からのいつもの帰り道。
特別車の多いこの横断歩道。
急ぎ足の人とぶつかる事も少なくはない。
彼は腰の曲がった小さなおばあさんの手をひきながら渡っていた。
左手にはおばあさんの重そうな荷物を持っていた。

黒くツンツンした短めの髪。
一重でキリリとした細めの目。
筋肉のなさそうな細い体。
同年代に比べて低い身長。
どちらかというと白い肌。

そう、彼はどこにでもいそうなタイプ。
見た目は特にこれといった特徴はない。

毎朝交差点で見かける彼。
名前はまだ知らない。
どうやら誰かと待ち合わせしているようだ。
きっと相手は彼女だろう。

ある朝私は遅刻しそうになり自転車で登校した。
遅刻しまいと必死でこいだ。
いつもの交差点、彼はいた。
優しい彼は来るまで彼女を待ってるのだろう。
たとえ遅刻しようとも。

私は彼を追い抜いた。
時計を見ると結構な時間だ。
私は彼の元へ引き返した。

「乗りなよ。遅刻しちゃうよ。」
有無を言わせず彼のカバンをカゴに積んだ。
彼を乗せて必死にこいだ。
話す言葉が見つからないまま学校に着いた。

私は汗まみれの顔を見られまいと、うつむきながらカバンを手渡し教室へ走った。

それから卒業まで彼とは話していない。

毎朝交差点で見かける彼。
今日も誰かを待っている。
きっと彼女を待っているのだろう。

私の一日は彼を見て始まる。

あと少しの勇気が持てなかった苦い思い出。
私の精一杯の初恋。


感想など頂けたら幸いです。













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