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Struggle Locus On-line  作者: 武陵桃源
第1章  初心者がやらかした? 長い1日
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Locus 2 

「アバターの設定完了を確認。お疲れ様でした。では、初めにチュートリアルを受けることができます。チュートリアルを受けますか?」


 そうナビさんが問うと、Yes/Noのウィンドウが現れた。

 しっかりゲームを楽しむためには、基本知識は必要不可欠。

 ゆえに、俺は迷わずYesを押した。


「チュートリアルは、クエスト形式で行われます。分からないことがあれば、その都度ご質問下さい」


「あの、今いいですか?」


「はい。なんでしょうか?」


「もしもチュートリアルを受けずにスキップした場合は、チュートリアルでのクエスト報酬はどうなるんですか?」


「もちろんありません」


「ないんですか。そう……ですよね。分かりました」


 危ない! もしもチュートリアルを受けていなかったら、もったいなくてしょうがない! 

 例え、どんな報酬でも無いよりは有った方がいい。しかもゲーム序盤ならなおさらだ。

 受けておいて本当によかった。


「では、チュートリアルクエストを始めます」


そうナビさんが言うと、俺の目の前に半透明のウィンドウが現れた。


チュートリアルクエスト①<メニューを開閉させよう!>


「メニューを開く場合は、口頭(こうとう)でメニューと発音することで、メニューを開くことができます。閉じる場合は、口頭でクローズと発音するか、メニューの右上にある×ボタンを押すと閉じることができます。では実際にやってみて下さい」


 俺はまず、発音する方法でメニューを開いて閉じた。

「メニュー」「クローズ」

 

 次にメニューと発音した後、メニュー右上にある×ボタンを押して、メニューを閉じた。


『パパ~ン♪』

 すると脳内にファンファーレが鳴り響き。


『クエストを達成しました。クエスト報酬(ほうしゅう):軽銀のインゴット×1、100R(ロゼ)を入手しました』というインフォメーションが流れた。


 (ちな)みにR(ロゼ)というのは『SLO』内の通貨の単位だ。


「問題なく行えたようですね。それでは次のクエストに行ってみましょう」


チュートリアルクエスト②<装備アイテムを装備しよう!>


「メニューを開いて、装備欄をタップし装備画面を開いて下さい。装備アイテムはアイテム欄にある装備品ですのでそれをドラッグ&ドロップして、装備して下さい」


 俺は、メニューを開きアイテム欄を見たとき、アイテム欄の上に『肩掛け(かばん)』のアイコンがあるのを見つけた。そのアイコンをタップしてみると……。


マジックバック:1マス30個、30種類のアイテムが入る魔法の肩掛け鞄。


 という表示が出た。

 なるほど、これがインベントリに代わるものか。

 1マス30個しか入らないとなると、計画的に使わないとな。

 というか、コレがあるなら虚空庫いらなかったかもな。

 俺は、表示の右上にある×ボタンを押し、アイコンの説明表示を閉じた。

 それから、ナビさんの言葉に従い、アイテム欄にある装備品を次々とドラッグ&ドロップして、装備していった。

 アイテム欄には何故か? 防具しかなかったので、防具を装備していった。

 そして装備欄はこんな感じだ。


武器: 

頭部:

外着:丈夫な服(上・下)

内着:丈夫な下着(上・下)

胴部:ノービスアーマー DEF3

腕部:

手部:ノービスグラブ DEF2 ATK1

腰部:

脚部:

足部:ノービスシューズ DEF2 AGI1

装飾:


 装備し終えると、またファンファーレが鳴り、インフォメーションが流れた。


『パパ~ン♪ クエストを達成しました。クエスト報酬:軽銀のインゴット×1、100Rを入手しました』


 軽銀のインゴットか……さっきも報酬で出てたけど。

 

「装備できたようですね。装備品は身体ステータスと違い、物理攻撃力をATK、物理防御力をDEF、魔法攻撃力をM・ATK、魔法防御力をM・DEFと表します。その他は身体ステータスと同じく、敏捷値はAGI、器用値はDEX、運気はLUKと表します。では、次のクエストに行ってみましょう」


チュートリアルクエスト③<スキルを装備、有効化し、スキルを使ってみよう!>


「メニューを開いて、装備欄をタップし、装備画面を開いて下さい。装備スキルはスキル欄にあるので装備したいスキルをドラッグ&ドロップで装備して下さい。装備したら、スキル名をタップしたまま右にスクロールさせ、もう一度スキル名をタップして、スキルを有効化して下さい。又、スキルやアーツ、魔法等を使用するときは、使う意志を込めながらその名称を唱えると、発動することができます」


 俺はナビさんの案内どおりに、スキルを有効化すると、スキル名の横にある□にレ点が付いた。

 そして、スキル:鑑定を使い、先程装備した防具を鑑定してみる。

 すると、1つ鑑定するたびにMPが1減少していき、鑑定した装備の説明が出た。


防具アイテム:(よろい)  名称:ノービスアーマー  ランク:1  強化上限回数:3回


DEF3  要求STR:-  耐久値:∞


説明:不思議な素材でできた、決して壊れることのない鎧。非常に軽いため初心者でも扱いやすいが、防御力は低い。


防具アイテム:籠手(こて)  名称:ノービスグラブ  ランク:1  強化上限回数:3回


DEF2 ATK1  要求STR:-  耐久値:∞


説明:不思議な素材でできた、決して壊れることのない籠手。非常に軽いため初心者でも扱いやすいが、防御力は低い。


防具アイテム:(くつ)  名称:ノービスシューズ  ランク:1  強化上限回数:3回


DEF2 AGI1  要求STR:-  耐久値:∞


説明:不思議な素材でできた、決して壊れることのない靴。非常に軽いため初心者でも扱いやすいが、防御力は低い。


 因みに、要求STRとは装備品の使用適正値のことで、これが自分のSTRより高いと装備品の力が正しく発揮されない。

 ただ、装備はできるが、装備品のステータスにマイナス補正がかかるようになる。

 つまりこのゲームでは極端な話、魔法使いがフルプレートアーマーを着ながら魔法を撃つことも可能であるということだ。

 但し、あくまで可能というだけで、実際に使いこなせるかどうかは、そのプレイヤーのプレイスタイルによるところだろう。


 俺が全てのスキルを有効化させ、スキルを使用し終えると、ファンファーレが鳴り、インフォメーションが流れた。


『パパ~ン♪ クエストを達成しました。クエスト報酬:軽銀のインゴット×1、100Rを入手しました』


 また軽銀のインゴットか。これは……何かあるな。


「スキルの装備と有効化並びに、使用ができたようですね。もうお気づきかと思いますが、スキルを有効化するとスキル名の横の□にレ点が付き、有効化の有無を一目で分かるようになっています。スキルが発動しないと思ったときは、そこを確認すると良いでしょう。では、次のクエストに参りましょう」


チュートリアルクエスト④<アイテムを採取しよう!>


「このフィールドにある採取ポイントで採取を行って下さい。通常の採取ポイントでは、キラキラと光が立ち上っているので、すぐに分かると思います。立ち上っている光が消えると、しばらくしなければ、同じプレイヤーは同じ場所での採取はできなくなります。しかし、別のプレイヤーであれば、他のプレイヤーが採取し尽した場所でも採取することができますので、根こそぎ取ってしまっても大丈夫ですので、心配する必要はありません」


 俺はナビさんの説明を聞きながら、光が立ち上っている場所を探してみる。

 すると、俺の目にはキラキラと光が立ち上っている場所が2つと、赤く光っている場所が1つ(うつ)った。


「あの、なんか赤く光っている場所があるんですが、これっていったい?」


「はい。それは、看破(かんぱ)系スキルによって、通常では見つからない採取ポイントですね。リオンさんは、看破系のスキルを持っているのではないでしょうか?」


「……あぁ! さっき発見のスキルを有効化したんでした。そっか、こういう風に見えるんですね」


 納得して、俺は採取ポイントで立ち上る光がなくなるまで採取した。


その結果、?草?×5、?枝?×3、?石?×10、?(きのこ)?×1を入手した。


 すると、また脳内でファンファーレが鳴り、インフォメーションが流れた。


『パパ~ン♪ クエストを達成しました。クエスト報酬:ウェポンマテリアル・剣×1、200Rを入手しました』


「採取し終えたようですね。光が立ち上っている通常の採取ポイントは常に場所が決まっていますが、看破系スキルによって通常では見つからない採取ポイントの出現場所はランダムとなっていますので、お探しのさいは、気をつけて下さい。又、通常では見つからない採取ポイントで取れるアイテムは高確率で、品質の高いものか珍しいもの等が多いので、積極的に探してみるのも良いでしょう」


 なるほど、やはり通常では見つからないだけあって、良いものが入手できるようだな。

 それにしても、今度はウェポンマテリアル・剣ってことは、今まで入手したインゴットとか使って武器でも作れるのかな?


「では、次のクエストに行きましょう」


 そして、考えていたとおりのクエストが出てきた。


チュートリアルクエスト⑤<武器を作成しよう!>


「アイテム欄にある精製キットとレシピ、軽銀のインゴット全てとウェポンマテリアル・剣を使い、武器を作成しましょう。まずは、アイテム欄にある精製キットと軽銀のインゴット、ウェポンマテリアル・剣を実体化させて下さい。実体化は、アイテム欄にあるアイテム名を2回タップして下さい」


 俺はナビさんの言に従い、アイテム欄にあるアイテム名(精製キット、軽銀のインゴット、ウェポンマテリアル・剣)を2回タップすると、『このアイテムを実体化しますか? Yes/No』というウィンドウが出たので、Yesを押し次々と実体化させていった。


 精製キットには、使用手順の本とレシピ帳、錬金炉(れんきんろ)(ピザを焼くような(かま)の中に錬成陣が描かれたもの)とやっとこ(枝切り(ばさみ)とペンチを合わせたようなもの)と、金床とハンマーがあった。

 軽銀のインゴットは名前のとおり、軽銀(アルミ)色をした軽いインゴットだった。

 ウェポンマテリアル・剣は、朱色のビー玉の中心に剣の模様が浮かんでいるものであった。


「次にレシピを確認しましょう。先程実体化させた精製キットの中にレシピ帳がありますのでそちらを確認して下さい」


 俺は、言われた通り実体化した精製キットの中にあったレシピ帳を手に取り、確認した。

 レシピ帳には1つのレシピしか記載(きさい)されていなかったので、そこの(ページ)を開けた。

 レシピの説明は以下のようにあった。


レシピ:ノービスソード


材料:軽銀のインゴット×3、ウェポンマテリアル・剣×1


作り方:材料を全て錬金炉に入れ、(ふた)を閉め、MP30を錬金炉に(そそ)ぐ。


     錬金炉から出した地金をやっとこで取り出し、金床の上に置き、


     ハンマーで5回叩く。


「では、レシピ通りに武器を作成していきましょう」


 俺はまず、錬金炉の窯の蓋を開け、軽銀のインゴット×3とウェポンマテリアル・剣を炉に入れ、蓋をした。

 材料を炉に入れ蓋をすると、ウィンドウが現れ、『錬金炉にMP30を注ぎますか? Yes/No』と出たので、Yesを押した。

 錬金炉の蓋に付いていた(のぞ)き窓から中を見ると錬金炉の中にあった錬成陣が光始め、その後ピカリと閃光を発して、電子レンジのような『チン!』という音がした。

 また覗き窓から窯の中を見ると、先程入れた軽銀のインゴットよりも大きな白銀色のインゴットが1つあった。


「では、錬成できたようなので、中にあるインゴットをやっとこで取り出しましょう。取り出したら、やっとこで金床まで運び、インゴットをやっとこで抑えつつ、ハンマーで(たた)いて下さい。この時、均等(きんとう)な速度で一気に叩くと、良い仕上がりになりやすいので、がんばって下さい」


 俺はナビさんに言われた通りに、錬金炉からやっとこでインゴットを出し、金床まで運びインゴットをやっとこで抑えつつ、ハンマーで一気にそして均等な速度になるように叩いた。


 カン! カン! カン! カン! カン!


 叩き終わったインゴットが淡く輝きながら、徐々に形を変えていく。

 光が消えた(ころ)そこには、一振りの剣があった。

 俺は手に取ってその剣を見てみると、ウィンドウが現れた。


武器アイテム:剣  名称:ノービスソード  ランク:1  強化上限回数:10回


ATK10  要求STR:-  耐久値:∞  バインド属性  


()DP(ダメージポイント)倍率:斬1.0 打0.5 突0.3 魔1.0


クリエイトボーナス:HP+50


説明:ウェポンマテリアル・剣を混入したことで潜在能力が発揮されたアルミナムソード。軽銀で作られているため軽く、初心者でも扱いやすくなっている。武器作成時にクリエイトボーナスが発生し、所有者の生命力を高める働きがある。


 説明を読み終わったところで、ファンファーレが鳴りインフォメーションが流れた。


『パパ~ン♪ クエストを達成しました。クエスト報酬:鍛錬石(たんれんせき)×1、ウェポンホルダー・剣×1、200Rを入手しました』


「武器作成おめでとうございます。しかもクリエイトボーナスまで付与することができるとは、幸先(さいさき)が良いですね。クリエイトボーナスとは、武装具(ぶそうぐ)(武器・防具・装飾)作成時に特定条件を満たすことにより、発生するものです。今回の場合は、均等な速度で一気にハンマーで既定(きてい)回数叩くことですね。又、ウェポンマテリアルを武器作成時に混入することで、潜在能力が引き出され、武器のステータスに補正が掛かります。ウェポンマテリアルは、武器に混入し強化していくことで、成長・進化していくので、是非積極的に活用してみて下さい。なお、精製キットはウェポンマテリアルが混入している物でなければ、使用することができないので、サブウェポンや他の武器等は鍛冶屋か武器屋で(そろ)えることをお奨めします」


 しっかし、こんな良いものをもしチュートリアルを受けずに入手することができなかったらと思うと……あの時の俺に、よくやった! と()めてやりたいな。


 バインド属性というのは、アイテムの持ち主が固定化される特殊効果のことだ。

 そのため、売却することも、デスペナルティで落とすこともできないので、ある意味安心といえるだろう。


 それと、与DP倍率というのは、例えばさっき作成したノービスソードのATKは10だから、相手のDEFが0であるとすれば、斬属性の倍率は1.0、つまりノービスソードで斬ると相手にそのまま10のDPを与えることができるということだ。

 同じように、打属性では0.5×10で5DP与えられ、突属性では0.3×10で3DP与えられるということになる。

 魔法の威力倍率が1.0になっているけれど、ノービスソードにはM・ATKの表記がないので与DPは発生しないが、魔法は普通に使うことはできる。

 そのときの魔法の威力は、自身のINTの値に依存し、ノービスソードは魔法使いが使う杖……つまり発動体の役割をするということだ。



「それと、武装具の強化には専用の強化素材が必要となります。強化回数は各武装具により異なり、強化成功率は残りの強化回数と武装具のランクにより変動します」


 たしかに、ランクは同じ1なのにノービス系防具の強化上限回数は3回でノービスソードは10回だったな。


「例えば、先程作成したノービスソードの強化上限回数は10回。ランクは1ですので、1回強化するごとに強化成功率は3%ずつ下がっていきます。武装具の強化に失敗すると、武装具の強化回数が減り、さらに強化に(もち)いた強化素材も失われます」


 なるほど、つまり最初の1回の強化は必ず成功し、2回目以降の強化成功率が3%ずつ下がるというわけだな。しかも失敗すると強化に用いた強化素材が失われるのは痛いな。失敗することで強化上限回数が減ることは、結果は失敗だったが強化するための行動はしたから1回は1回だと認識(にんしき)されるのだろう。


「強化素材には、ATKを上げる火錬石(かれんせき)、DEFを上げる地錬石(ちれんせき)、AGIを上げる風錬石(ふうれんせき)、DEXを上げる水錬石(すいれんせき)、M・ATKを上げる影錬石(えいれんせき)、M・DEFを上げる光錬石(こうれんせき)、LUKを上げる運錬石(うんれんせき)斬属性(ざんぞくせい)倍率を上げる鋭錬石(えいれんせき)打属性(だぞくせい)倍率を上げる鈍錬石(どんれんせき)突属性(とつぞくせい)倍率を上げる穿錬石(せんれんせき)、魔法の威力倍率を上げる魔錬石(まれんせき)、そして倍率以外の全ステータスを少量上げ毎回必ず強化に成功する鍛錬石(たんれんせき)とがあります。鍛錬石は他の強化素材と比べ、上昇するステータスが少ないですが、必ず強化には成功します」


「その鍛錬石ってゲーム内で入手できますか?」


「もちろんできます。但し、通常の強化素材に比べ出難いようになっています」


「どのくらい出難いものなんですか?」


「通常のモンスターをいくら倒したところで絶対に出ないくらいですね」


 ナビさんは少し引っかかる言い方をしているが、つまり通常じゃなければ出るわけだ。

 ならレア以上のモンスターなら出るのだろう。

 与DP倍率以外の全ステータスを少量上昇させられて、必ず強化に成功するなら、これはやるしかないよな。


「では次のクエストに行きましょう」


チュートリアルクエスト⑥<武器スキルの基本アーツを覚えよう!>


「武器を装備し用いて、特定行動を反復し武器スキルの基本アーツを習得しましょう」


 そうナビさんが言うと、俺の前方5m程に案山子(かかし)が出現した。


「前方の案山子に攻撃を加えてみて下さい。特定行動の反復により、武器スキルの基本アーツを習得することができます」


 俺はメニューを開き、先程作成したノービスソードを装備した。

 すると、さっきの報酬であるウェポンホルダー・剣(剣帯の付いた(さや))に入った、ノービスソードが背中に現れた。

 俺は、ノービスソードを抜剣(ばっけん)し、前方の案山子に斬り掛かった。

 斬り付けること10回。『ピロン♪』という軽快な音が脳内で聞こえた。


「おめでとうございます、その『ピロン♪』という音は、スキルやアーツ等の習得時に鳴る音です。メニューを開き、剣スキルを確認してアーツを有効化してみて下さい」


 俺は言われた通りメニューを開き、剣スキルを確認した。


□ スラッシュ:剣の基本アーツ。力強く斬り付ける技。 消費MP:3 リキャストタイム:3秒


 俺は素早くアーツを有効化すると、お馴染(なじ)みになりつつあるファンファーレが鳴り、インフォメーションが流れ、ウィンドウが現れる。


『パパ~ン♪ クエスト達成条件を満たしました』


『クエスト報酬を受け取りますか? Yes/No』


 俺はとっさにYesを押そうとしたが、何かがおかしいと思い、ナビさんにもう少し試してもいいかと断わりを入れ、Noを押した。

 さっき流れたインフォメーションをメニューにある過去ログを確認すると、『クエスト達成条件を満たしました』となっていた。

 今までのクエストでは、『クエストを達成しました』となっていたのに、この差はなんだろうか? と考える。

 ふと、手に持つノービスソードが目に映り、俺はノービスソードを作成した時に見たものを思い出し、再び案山子に攻撃を加えてみた。


 剣の腹で殴り付けること10回。『ピロン♪』という音が聞こえた。

 そして、すぐにメニューを開き剣スキルを確認した。


□ スマッシュ:剣の基本アーツ。力強く殴り付ける技。 消費MP:3 リキャストタイム:5秒


 俺がアーツを有効化し終えると、またファンファーレが鳴りインフォメーションが流れウィンドウが現れた。

 思った通りだな、ということは……。

 俺はすぐ様Noを選択し、もう一度案山子に攻撃を加えてみた。


剣先で突き刺すこと10回。『ピロン♪』という音が聞こえた。

先程のようにメニューを開き、剣スキルを確認した。


□ ピアース:剣の基本アーツ。力強く突き刺す技。 消費MP:3 リキャストタイム:8秒


 そして俺がアーツを有効化すると、ファンファーレが鳴りインフォメーションが流れた。


『パパ~ン♪ クエストを達成しました。クエスト報酬:ダガーx1、300Rを入手しました』


『ピロン! パパ~ン♪ コンプリートボーナス〔称号:思慮深(しりょぶか)き者〕を入手しました』

 

 ん? コンプリートボーナス?


「クエストコンプリートおめでとうございます! 今回のように、クエスト達成条件を全て満たすことにより、コンプリートボーナスが発生します。コンプリートボーナスは、通常では手に入らない貴重なものが多いので、積極的に狙ってみるのも良いでしょう」


 なるほど、今回のようにクエスト達成条件が複数ある場合があるのか。

なかなかおもしろい趣向(しゅこう)だと思う。

 それに、実際体験してみればこのチュートリアルは良く考えられて作られていると思う。

 このゲームは本当に行動しだいでスキルやアーツ、称号等も習得できるのだから。

 そして、今回のコンプリートボーナスは称号であった。

 称号はこんなのだった。


〔称号:思慮深き者〕:注意深く物事を考え、思いを(めぐ)らせることのできる者。 

  

 効果:INT+3


 称号は所持しているだけで、効果を発揮するようなので、今回の称号の効果でステータスのINTに3ポイントが加算されるようで嬉しい。



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