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若者はこう生きろ!うしのフットボール 作者:万吉
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たまには、休息も必要

21.たまには、休息も必要

 練習は死ぬほど厳しかったが、たまには練習が休みの日もあった。そして休み前の練習が終わったときには、開放感で一杯になった。
明日は練習がないと思うだけで、何か得をした気分になる。どんな些細なことでも楽しめるように思えるのだ。
休み前のある夏の日、連中は練習が終わってからグランドでバーベキューをすることにした。
 そのときすでに1年生も入部しており、たまにはみんなで楽しい思いをしようということになったからだ。
練習が終わって、鬼塚先生が帰った後、連中は行動を開始した。さすがに、グランドでバーベキューをすることは鬼塚先生にはいえなかった。赤木たちはランニングで近くの店まで買い物にいくことにした。
買った材料は学校にばれないように、山際にあるグランドの裏手の入り口から運ぶことにした。高貴、大石、十倉、和田が買いだし班だった。

 買い物に出かけて1時間くらいして、買出し班が帰ってきた。
「肉と、野菜いっぱいこうてきたで。ほら見てみい」
十倉が自慢げにいったので、手元を見ると、何と両手に店の黄色い買い物かごをぶら下げて立っていた。
「お前、それ、店のかごやろ。やばいんとちがうん」
隣にいた小池が驚いて、とがめるようにいうと
「ほな、どないして持って帰ってくるんや」
十倉は子供のように、むきになって反発した。
 十倉たちが買出しから帰ってきたときには、すでに赤木は火を起こす準備を完了していた。子どもの頃ボーイスカウトに所属していたことがあり、飯盒炊爨はお手のものだった。
グランドに浅く穴を掘って、石ころを集めて周りに置く。Yの字をした木の枝を山から取ってきて、穴の両端に立てて、これに金棒を渡して飯盒をかける。
みんながそろって、いよいよ穴に棒を渡そうとしたところへ、背後から突然声がした。
「おまえら、そこで何をしとんのや」
野球部の顧問の先生だった。辺りは暗くなりかけていたが、運悪く見つかってしまった。
赤木は、一瞬ビクっとしたが、
「グランドが固いので耕していたんですが、ここは特に固いので、いつの間にかこんなに掘ってしまいました。また、埋めときますから」
とっさに口からでまかせをいった。
「そうか。ご苦労やな。もう暗いからはよ帰れよ」
そういうと、先生はさっさと職員室の方に歩いていった。そして、すぐに闇の中に消えた。赤木は胸をなでおろした。先生が行ってしまったのを見届けると、早速穴に入れたたき木に火をつけた。
続いてグランドの横を流れているせせらぎで、家から持ち寄った米を洗うと、いよいよ飯ごうを火にかけた。
幸い風が無く、火は、ちょろちょろと調度いい具合に燃えていた。
「吹いてもふたをとったらあかんで」
「昔から、赤子ないてもふたとるな。というやろ」
赤木は得意になってみんなにいった。
「お前、じじくさいこと知っとるなあ」
山中が感心したように答えた。
「それから、炊けたら飯盒は裏返してしばらく置いておくんや。そしたら、良く蒸れるんや」
「ほう・・・」
こんな調子で、連中はわいわいと楽しい時間を過ごした。
誰かがみごとに炊き上がったご飯を食べながらいった。
「このめし、魚が入っとるで」
見ると、ご飯の上に小魚がはりついていた。不幸にもせせらぎの水に混ざって掬い上げられ、ダシにされてしまったのである。

街の明かりが消える頃、連中は、満天の星に見送られて家に帰った。
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