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すれ違い
それからどれくらいたったのだろう。
ちょうど1ヶ月程たった頃だろうか、俺がいつも通り外でお客さんの呼び込みをしていると遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「ジェイソン?」

振り返るとそこには赤いポロシャツにジーパン姿の愛子が立っていたのだ。

「ハイ、愛子!久し振り!」

なんとも普段着姿の愛子はこの間と違ってまた可愛い。

「ここで何してるの?」

「携帯電話をなくしたから、携帯を買いにきたの。」

愛子は俺の職場の近くの日本人向けの携帯ショップに用があったようだ。

「え?じゃあ番号変わるの?」

「そうね。」

「変わったら教えてね。」

「えぇ。」

普通の会話だったかもしれないけど、俺は一度落とし損ねた女に二度も携帯番号を聞くような男じゃない。
ましてや俺は既に紙に書いた愛子の携帯番号すらなくしてしまったくらいだ。
携帯ショップから出てきた愛子に番号を聞いて俺たちはまたハグをして別れた。
しかし失くし物大将の俺は、すぐに愛子の携帯番号を書いた紙をなくしてしまったのだ。


それからまら2、3週間程経った頃、俺が仕事仲間と一緒に町を歩いているとまた横から俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「ジェイソン?」

そして振り返るとそこには黒いタンクトップに長いアジアン風のロングスカート姿の愛子が座りながらタバコを吸っていたのだ。

「ハイ、愛子!また会ったね。」

俺は愛子に近づきハグをするとなんともいい匂いが漂った。

「君、いい匂いがするね。」

「ありがとう。きっと香水だわ。」

顔の半分ほどある大きなサングラスからうっすら見える黒い瞳は夜見ても昼間見ても綺麗だった。

「ここで何してるの?」

「友人を待っているの。」

「あっ、そうだ。もうすぐハローウィンだけど君は何の仮装するの?」

「私は女子高生のつもりよ。あなたは?」

想像しただけでも可愛い。

「俺はまだ決めてないんだ。」

「そう。ハローウィンで会えたらいいわね。」

そう言うとまた俺に笑顔を見せた。俺は馬鹿の一つ覚えみたいに

「君の番号なくしちゃったんだ。教えてくれない?」

と聞いた。
愛子は少しがっかりするかと思いきや、表情一つ変えずに

「かけてこないじゃない、あなた。」と笑った。

それでもまた番号を俺にくれたのだが、馬鹿な俺はまたその紙をなくす始末だ。
3度目。これで3度も同じ女に番号を聞いては失くすなんて、とことん俺達は運命線が違ったようだ。


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