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アイコン三国志外伝 作者:小金沢

群雄の章

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外伝(韓遂伝 〇〇二)  張純の乱

~~~洛陽らくようの都 閲兵式場~~~


挿絵(By みてみん) 周慎しゅうしん
「全軍、進め!」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
(え、えらいことになってしまった……。
なぜずっと文官畑で歩んできた私が、韓遂討伐軍など率いる羽目になったのだ)


挿絵(By みてみん) 周慎しゅうしん
「全軍、止まれ!」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
(しかしもう逃げることはできない。
なんとかして無事に帰ることだけを考えなければ……)


挿絵(By みてみん) 王允おういん
「霊帝陛下のお成ぁぁりぃぃ!!」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
(そうだ。都にさえ戻れれば、金とコネでなんとでもなる。
命さえ助かればいいんだ……)


挿絵(By みてみん) 霊帝れいてい
「うむうむ、くるしゅうないぞ」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
(討伐軍の中心に居座って、陣幕の中から一歩も出ないぞ。
それなら何があっても大丈夫だろう)


挿絵(By みてみん) 霊帝れいてい
「おや?」


挿絵(By みてみん) 周慎しゅうしん
(ち、張温殿! 頭をお下げください!)


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「…………へ?
ああっ!? こ、これは陛下!!」


挿絵(By みてみん) 霊帝れいてい
「ちょうおんははいれいしないのか?」


挿絵(By みてみん) 陶謙とうけん
「ほっほっほっ。
古の儀礼に則れば、将軍に任じられた者は陛下にさえ拝礼しないと言います。
張温殿は形骸化しつつある儀礼を重んじたのでしょう」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「そ、そ、そうなんです! そういうことです!」


挿絵(By みてみん) 霊帝れいてい
「そうか。ちょうおんはぎれいにくわしいのだな。
よいよい。そのままあたまをあげておれ」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「ははあっ!!」


挿絵(By みてみん) 周慎しゅうしん
(結局下げやがった……)


~~~洛陽の都 討伐軍~~~


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「先程は助かりましたぞ陶謙殿。
危うく陛下の御前で恥をかくところでした」


挿絵(By みてみん) 陶謙とうけん
「はて、なんのことやら。
それよりも討伐軍の編成をお急ぎなされ。
董卓様が待ちくたびれておろう。彼を怒らせて良いことはない」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「う、うむ。董卓将軍は先行して陣地を築いているのだったな」


挿絵(By みてみん) 孫堅そんけん
「董卓の野郎と向こうで合流すんのか?
そりゃだりィな……」


挿絵(By みてみん) 周慎しゅうしん
「張温将軍、急病で副官に欠員が出ている。
代役を選んでいただきたい」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「あ、ああ。候補は誰だ?」


挿絵(By みてみん) 公孫瓚こうそんさん
「騎兵ならば俺に任せてもらおう」


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「ここは安定感あふれる私にお任せを!」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
(こ、この二人か……。
董卓や孫堅だけでも頭が痛いところに、
さらに問題児を抱え込みたくはない。
……公孫瓚は商人と義兄弟の契りを結ぶ破天荒な男だったか)


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「涼州に安定感をもたらすためにもぜひ私をお選び下さい!」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
(……しかしこいつよりはマシだろう)
「副官には公孫瓚を任じる」


挿絵(By みてみん) 公孫瓚こうそんさん
「承知した」


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「なっ――!?」


~~~中山ちゅうざん郡~~~


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「張温はいったい何を考えているのだ!
この中山を安定して統治している私ではなく、
あんな山猿を副官に選ぶとは!? 私は遺憾の意を唱えるぞ!」


挿絵(By みてみん) 張挙ちょうきょ
「だから言っただろ。
官吏なんかやめちまってよ、二人ででけえことをやろうぜ」


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「またそんな格好をして、大それた安定感のない話か。
公務員になるのは私の子供の頃からの安定した夢だ」


挿絵(By みてみん) 張挙ちょうきょ
「だが理解のない上司のせいで出世は見込めず、
漢室も黄巾の乱でガタガタだ。お前の好きな安定感がどこにある?」


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「むう…………」


挿絵(By みてみん) 張挙ちょうきょ
「今こそどでかい夢を叶える時じゃないか?
俺が皇帝になり、お前が安定の王様になればいいじゃねえか」


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「ふむ、安定王か……」


挿絵(By みてみん) 張挙ちょうきょ
「子供の頃から俺とお前が組んで出来なかったことは無い。
俺らは地元じゃ負け知らずだろ?
それに俺は烏桓うがんの奴もだいたい友達なんだ。協力してくれるぜ」


挿絵(By みてみん) 張純ちょうじゅん
「そうだな。今こそ私がこの中原に安定をもたらす時かもしれない。
よし、可及的速やかに善処するぞ!!」


~~~烏桓軍~~~


挿絵(By みてみん) 丘力居きゅうりききょ
「我々は張挙の誘いに乗ることにした」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「残念だ。やはり鮮卑せんぴではなく、
お前たち烏桓に派兵要請が出されたことが理由か?」


挿絵(By みてみん) 丘力居きゅうりききょ
「ああ。今ならば派兵に応じるふりをして、
たやすく漢の領土に踏み込める」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「こうなることはわかっていた。
だから俺は、応援を頼むなら弱い鮮卑にしろと主張したのだがな」


挿絵(By みてみん) 丘力居きゅうりききょ
「我々の企みを密告するか?」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「そんなことはしない。俺はもう漢に見切りをつけた身だ。
お前に口封じされたくはないしな」


挿絵(By みてみん) 丘力居きゅうりききょ
「見損なうな。我々は友人を裏切らない」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「冗談だ。悪く思わないでくれ」


挿絵(By みてみん) 丘力居きゅうりききょ
「漢に義理が無いなら、我々のもとへ来ないか。歓迎する」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「いずれ官吏はやめても、俺は漢の人間だ。ここで生きていくさ。
……そろそろ行かなくては。武運を祈る」


~~~長安ちょうあん 討伐軍~~~


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「ち、張純が張挙と組んで反乱し、
援軍を頼んだ烏桓の丘力居が裏切っただと!?」


挿絵(By みてみん) 孫堅そんけん
「ははっ。こりゃ面白ェ。
全部裏目に出ちまったな!」


挿絵(By みてみん) 周慎しゅうしん
「笑い事ではない!」


挿絵(By みてみん) 公孫瓚こうそんさん
「烏桓が攻め込んだのは俺の故郷に近い。
すまんが俺は帰らせてもらおう」


挿絵(By みてみん) 陶謙とうけん
「ほっほっほっ。公孫瓚様も行ってしまいましたぞ。
虻蜂取らずとはこういうことを言うのでしょうな」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「ま、まだ涼州にもついておらんのになんということだ……」


挿絵(By みてみん) 孫堅そんけん
「まあ起こっちまったことはしょうがねェや。
それよりさっさと董卓と合流して、韓遂の方を始末しようぜ」


挿絵(By みてみん) 周慎しゅうしん
「あ、ああ。お前に言われるまでもない。
張純や烏桓の対処は他の者に任せ、我々は韓遂に当たるべきだ」


挿絵(By みてみん) 張温ちょうおん
「わ、わかった。急ぎ董卓殿と合流するぞ!」


~~~涼州りょうしゅう 反乱軍~~~


挿絵(By みてみん) 李文侯りぶんこう
「官軍め、戦う前から泡を食っておるわ!」


挿絵(By みてみん) 韓遂かんすい
「えへへ。一戦もしないで戦力を減らせましたね」


挿絵(By みてみん) 北宮伯玉ほっきゅうはくぎょく
「それにしても運が良かったな。
張純が反乱し、それに烏桓も呼応してくれるとは」


挿絵(By みてみん) 韓遂かんすい
「あ、それはたぶんぼくのおかげですよ」


挿絵(By みてみん) 王国おうこく
「な、なんだと?」


挿絵(By みてみん) 韓遂かんすい
「張挙さんに丘力居さんを紹介したのはぼくだし、
官軍に鮮卑より烏桓の方が頼りになるって吹き込んだのもぼくですよ」


挿絵(By みてみん) 宋建そうけん
「お、お前が裏で糸を引いてたってのか」


挿絵(By みてみん) 韓遂かんすい
「いやいや、そこまでは言いませんよ。
ただの結果論ですし、ぼくも驚いてますもん。
まあ、こうなったらいいなあとは、ちょっと思ってましたけど」


挿絵(By みてみん) 辺章へんしょう
「……やはりお前は恐ろしい男だ」


挿絵(By みてみん) 韓遂かんすい
「褒めてもジャンパーも耳かきも出ませんよ。
それより董卓さんへの備えを整えましょう」


挿絵(By みてみん) 北宮伯玉ほっきゅうはくぎょく
「お、おう……」


挿絵(By みてみん) 李文侯りぶんこう
(……ひょっとして我々は、
自分達の手に余る力を得てしまったのではなかろうか)


~~~~~~~~~


かくして張温の失策により官軍は大きな災いを招いた。
だがいまだ戦端は開かれず、
大乱もまだ始まったばかりに過ぎなかった。
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