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アイコン三国志外伝 作者:小金沢

董卓の章

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異聞(〇〇六~〇一三)  呂布という男

~~~丁原ていげんの暗殺後 呂布軍~~~


挿絵(By みてみん) 張遼ちょうりょう
「やっぱり俺は納得がいかねー。
そもそも大将は人に従うような器じゃねーんだよ」


挿絵(By みてみん) 高順こうじゅん
「お前もしつこいな。まだ言うのか」


挿絵(By みてみん) 張遼ちょうりょう
「丁原にしろ董卓にしろ、大将ほどの豪傑を従える器じゃねーだろ。
だから大将はさっさと独立すべきだと俺は前々から言ってるんだ」


挿絵(By みてみん) 陳宮ちんきゅう
「我々は呂布将軍に従うだけです」


挿絵(By みてみん) 魏越ぎえつ
「不満ならば出て行けばいい。
張遼よ、お前こそどこでもやっていける力はあるだろうに」


挿絵(By みてみん) 張遼ちょうりょう
「俺は俺が認めた相手にしか従わねーよ。
俺を完膚なきまでに負かしたのは大将だけだ」


挿絵(By みてみん) 成廉せいれん
「それなら高順殿に従いなさい。
この前の手合わせで負けたでしょう」


挿絵(By みてみん) 張遼ちょうりょう
「高順さんとは互角なだけだ。次やったら俺が勝つ」


挿絵(By みてみん) 高順こうじゅん
「ほう。ならば今ここでやってやる。
次も負けたら俺に従うんだな?」


挿絵(By みてみん) 張遼ちょうりょう
「待てって。今やるとは言ってねーし」


挿絵(By みてみん) 陳宮ちんきゅう
「往生際が悪いですね。
良い機会です。自分の考えを他人に押し付けるものではないと、
高順殿に教育してもらいなさい」


挿絵(By みてみん) 張遼ちょうりょう
「くそったれ! なら勝てばいいんだろーが勝てばよ!
かかってこいや!」


~~~洛陽らくようの都 王允の邸宅~~~


挿絵(By みてみん) 王允おういん
「董卓を除くために呂布の手は借りられぬか?」


挿絵(By みてみん) 士孫瑞しそんずい
「呂布だと? 正気か?」


挿絵(By みてみん) 皇甫嵩こうほすう
「毒をもって毒を制すという考えか。
しかし呂布は劇毒だ。手にした者も滅ぼしかねん」


挿絵(By みてみん) 王允おういん
「養父の丁原を殺したならば董卓も、という安易な考えではない。
そもそも彼は虎狼のような男だ。誰かに従う人間ではない」


挿絵(By みてみん) 士孫瑞しそんずい
「待て。その情報は確かか?
私は呂布を奪うために、董卓が丁原を殺したと聞いたぞ」


挿絵(By みてみん) 朱儁しゅしゅん
「それでは話が変わってしまうではありませんか。
養父の丁原を殺されたなら、呂布は董卓を恨んでいるでしょう」


挿絵(By みてみん) 王允おういん
「……もっと情報を集める必要があるな。
だがその前にお前たちの印象を聞いておきたい。
潁川えいせんの戦いで身近で呂布を見ただろう。どう思った?」


挿絵(By みてみん) 皇甫嵩こうほすう
「王允殿の言う通り、他者に従う人間ではないと思った。
氷のように冷たい眼をしていた」


挿絵(By みてみん) 朱儁しゅしゅん
「私も奴の眼を見た時に肌が粟立ちました。
感情の宿らない、人を人とも思わない瞳だった」


挿絵(By みてみん) 士孫瑞しそんずい
「数多くの将を見てきた二人の評だ。信用に足るだろう」


挿絵(By みてみん) 貂蝉ちょうせん
「お父様、勅使が来られました」


挿絵(By みてみん) 王允おういん
「勅使だと? まだ即位して日の浅い、
幼い陛下が使者を出すとは考えられぬ。
董卓の命令だろう」


挿絵(By みてみん) 貂蝉ちょうせん
「皇甫嵩様、朱儁様を遠方へと左遷する勅命と聞きました」


挿絵(By みてみん) 皇甫嵩こうほすう
「なんだと!?」


挿絵(By みてみん) 王允おういん
「またお前は勝手に使者と話したのか!
い、いやそんなことよりまずいことになった……」


挿絵(By みてみん) 貂蝉ちょうせん
「ほほほ。悪巧みでしたら私にもお聞かせ下さい。
勅使のように誰でもたぶらかしてご覧に入れますのに」


挿絵(By みてみん) 王允おういん
「お前が口を出すようなことではない!」


挿絵(By みてみん) 貂蝉ちょうせん
「ほほほ。つれないご返事ですこと」



~~~虎牢関ころうかんの戦い後 董卓追討軍 負傷兵の兵舎~~~


挿絵(By みてみん) 武安国ぶあんこく
「こ、ここは……」


挿絵(By みてみん) 王子法おうしほう
「ようやく目が覚めたか。
お前は呂布にこっぴどくやられ、ここに運び込まれたんだ」


挿絵(By みてみん) 武安国ぶあんこく
「そ、そうだべ……。おらは呂布さに手も足も出なかった。
左腕も斬られちまっただか……」


挿絵(By みてみん) 孔融こうゆう
「孔子様もさぞかし落胆されていることでしょう」


挿絵(By みてみん) 武安国ぶあんこく
「戦はどうなっただ?」


挿絵(By みてみん) 孔融こうゆう
「呂布は劉備・関羽・張飛なる田舎臭い三人組に敗れ、
虎牢関へ撤退しました」


挿絵(By みてみん) 武安国ぶあんこく
「あ、あの呂布さが負けただか!? 信じらんねえ……。
おらはずっと弱えが、手を合わせたから呂布さの強さはわかる。
あれは化け物だ。感情のない殺戮マシーンだべ」


挿絵(By みてみん) 王子法おうしほう
「撃退はできたものの、多くの腕自慢が呂布に殺されたな」


挿絵(By みてみん) 武安国ぶあんこく
「当たり前だ。おら自信を失ったべさ。
おらの金槌は呂布さにかすりもしなかった。
片腕も失くしたし、もう武士を続ける自信がねえだ」


挿絵(By みてみん) 孔融こうゆう
「もっともです。孔子曰く『武安国は役立たず』と申す。
あなたは今日でお役御免です。さっさと去りなさい。
それを伝えに来ただけです。それでは」


挿絵(By みてみん) 王子法おうしほう
「これは餞別だ。役立たずのお前に施しを与えてくださる、
孔融様と孔子様の優しさに感謝するがいい。はっはっはっ」


挿絵(By みてみん) 武安国ぶあんこく
「こ、孔融様!
……呂布さと戦って命があっただけ儲けものだ。
でもおらはこれからどうすればいいんだべ……」



~~~遷都後 長安ちょうあんの都~~~


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「呂布め、少しばかり強いからと鼻にかけ増長しておるわ!
奴の首など吾輩の命令一つでいつでも飛ばせると言うのにな!」


挿絵(By みてみん) 李儒りじゅ
「魔王様の侍女と密通しているそうですな。
今や位人臣を極めた魔王様に対して不敬も不敬、
身の程知らずとしか言いようがありません」


挿絵(By みてみん) 李粛りしゅく
「………………」


挿絵(By みてみん) 董旻とうびん
「どうした李粛?
いつもならここぞとばかりにお追従するお前が、
今日は静かではないか」


挿絵(By みてみん) 李粛りしゅく
「い、いや。呂布とは同郷だからな。
あんまり悪くは言いたくねえんだよ」


挿絵(By みてみん) 董旻とうびん
「何を今さら! 呂布は金を積まれれば親でも殺す人間のクズだと、
養父の丁原を暗殺させようと献策したのはそもそもお前ではないか」


挿絵(By みてみん) 李粛りしゅく
「ははは。言ったような言ってないような……」


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「そんなことよりさっきから辺りをうろついている連中はなんだ?
『千里草』だの『十日卜』だの意味のわからんことを書いた旗を掲げておる。
なぞなぞか何かか? 李儒よ、ちょっと解いてみろ」


挿絵(By みてみん) 李儒りじゅ
「あれは……。いやまさか……。
むむむ……恐れながら魔王様!
今日の視察はこのくらいで切り上げてはいかがでしょうか」


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「なんだと? 今日はまだ5人しか殺しておらんぞ」


挿絵(By みてみん) 李儒りじゅ
「何か不穏な空気を感じます。万が一のことはあってはと……」


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「神をも恐れぬ吾輩の身に何かが起こるとでも?
李儒よ、貴様も吾輩に歯向かうのか?
貴様も氷人形ひょうにんぎょうにしてやろうか!?」


挿絵(By みてみん) 李儒りじゅ
「ひいいいっ!!」


挿絵(By みてみん) 董旻とうびん
「まあまあ兄貴、李儒は臆病者だからしかたねえよ。
今日は人の往来も少ないし、あと20人くらい殺したら切り上げて――」


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「んん? おい、李粛よ。
こんなところで馬車を止めるとはなんのつもりだ?
吾輩は命令しておらんぞ」


挿絵(By みてみん) 李粛りしゅく
「………………天誅だ」


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「なんだと?」


挿絵(By みてみん) 李儒りじゅ
「あ、あれは……呂布!?」


挿絵(By みてみん) 呂布りょふ
「天誅だ」


挿絵(By みてみん) 董旻とうびん
「お、おい。俺たちに方天画戟を向けるなんて、
いったいどういう魂胆だ? こ、殺されてえのか?」


挿絵(By みてみん) 呂布りょふ
「面白い。殺してみろ」


挿絵(By みてみん) 李儒りじゅ
(千里草は董、十日卜は卓、
あれはやはり董卓を意味する暗示であった……)


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「は、早く呂布を氷人形にしろ!
だ、誰でもいい。さっさと殺さぬか!!」


挿絵(By みてみん) 呂布りょふ
「殺すのは俺。殺されるのはお前だああっ!!」


挿絵(By みてみん) 董卓とうたく
「ぎゃああああああっ!!!」


~~~~~~~~~


かくして董卓の栄華は終わりを告げた。
異国からの来訪者である呂布とは、
また別の呂布による一つの結末であった。
+注意+
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