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アイコン三国志外伝 作者:小金沢

黄巾の章

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外伝(〇〇五~)     黄巾の血脈

~~~黄巾党 支部~~~


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「なぜだ!? なぜ関羽将軍のすごさが伝わらないんだ!?」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「そりゃ実際にこの目で見てないからな」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「うむ。お前たちがそこまで惚れ込むのならば相当の人物とは思うが、
だからといって黄巾党を抜けるほどの魅力は感じない」


挿絵(By みてみん) 周倉しゅうそう
「二人の言う通りでさあ。無理に誘うことはありやせん」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「むう……。しかたないか。
では、俺たちだけ抜けることとしよう」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「ハゲも行くのか? お前は誰かに惚れ込むような奴に見えなかったがな」


挿絵(By みてみん) 裴元紹はいげんしょう
「俺の名前を略すな!
……俺は単に、あんな化け物とは戦いたくないってだけだ。
黄巾党にいたら、いつかあいつと戦うことになっちまうかもしれねえだろ」


挿絵(By みてみん) 杜遠とえん
「そういう考え方もあるか……。
よし、俺も連れて行ってくれ。どうせ黄巾党に未来は無いんだ」


挿絵(By みてみん) 周倉しゅうそう
「拒む理由はありやせんよ」


挿絵(By みてみん) 廖化りょうか
「道は違えても、お前たちが戦友だったことは変わらない。
またいつか会う日まで、さらばだ!」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「未来は無い……か。
もっともだが、だからと言って他に行く当ても無い」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「廖化たちの言葉は信じられぬか?」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「さっきも言ったが、
俺は自分の目で見たものしか信じないたちでね」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「しかしこのまま手をこまぬいていれば、
官軍に各個撃破されてしまうぞ」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「うむ、他の残党と合流するなり、
少なくとも今後の方針を決めなければな」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「そういえばこの前のあいつはどうしている?
あの肺病病みの」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「ああ、俺たちに会いに来て、
いきなり血を吐いてぶっ倒れた奴か」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「まだ保護しているのではなかったか?
たしか、軍師を務めたいとか言っていたな」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「務める前に戦は終わっちまったが、何か助言をくれるかもしれん。
もう回復した頃だろう。連れてきたらどうだ?」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「あんな得体の知れない奴を頼るのか?」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「藁にもすがる思い、ということだ。
どうせ道は何も見えていないのだ。聞くだけ聞いてみよう」


~~~黄巾党 支部~~~


挿絵(By みてみん) 黄邵こうしょう
「戦は終わったか……」


挿絵(By みてみん) 劉辟りゅうへき
「残念だに。陛下を救うことはできなかっただに」


挿絵(By みてみん) 龔都きょうと
「まだそんなだいそれたことを言っているのか」


挿絵(By みてみん) 劉辟りゅうへき
「俺は陛下の一族だに。陛下をお助けするのは義務だに」


挿絵(By みてみん) 黄邵こうしょう
「なにが一族だ。単に同姓ってだけだろ」


挿絵(By みてみん) 劉辟りゅうへき
「それでも御縁はあるだに。
陛下のそばから奸臣を排除するため、黄巾党に入っただに」


挿絵(By みてみん) 龔都きょうと
「そんなことを考えて黄巾党に入ったのはお前だけだろうな」


挿絵(By みてみん) 黄邵こうしょう
「俺もそうだが、世直しがしたくて入った奴なんて一握りだろうよ。
黄巾党に入りゃあ好き勝手に暴れられるし、飯にも困らない。
そんな連中ばっかりだ」


挿絵(By みてみん) 劉辟りゅうへき
「だから負けただに。志があればもっと戦えただに」


挿絵(By みてみん) 龔都きょうと
「で、その志ある戦いをまだ続ける気なのか?」


挿絵(By みてみん) 劉辟りゅうへき
汝南じょなんは太守も寄り付けず荒廃してるだに。
あそこを拠点にして活動を続けるだに」


挿絵(By みてみん) 龔都きょうと
「私は略奪を働くのが嫌でお前とつるんでいたんだ。
今さら帰農することもできない。
陛下を助けられるかどうかはともかく、戦いを続けよう」


挿絵(By みてみん) 黄邵こうしょう
「俺は山賊になってもよかったんだが……。
まあ、他に行く当ても無い。付き合うぜ」


~~~黄巾党 支部~~~


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「はあ、はあ……。や、やっとここまで聞き出せた」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「しゃべっては吐血し、しゃべっては吐血し、
ろくに話が聞き出せやしねえ!」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「頼むからもう二文字以上はしゃべるな!
そのほうがまだ話がしやすい」


挿絵(By みてみん) 郭嘉かくか
「了解」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「話をまとめるぞ。ああ、お前はしゃべらなくていい。
間違ってたら首を振るなりなんなりしてくれ。
まず、青州せいしゅうを制圧し、拠点を作る。そうだな?」


挿絵(By みてみん) 郭嘉かくか
「肯定」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「だからしゃべるなっての!」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「青州刺史の焦和しょうかは政治を顧みず、
ろくに軍備も整えていない。だから俺たちでも簡単に制圧できる」


挿絵(By みてみん) 郭嘉かくか
「………………」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「うなずいてるな。
その後は黄巾党に限らず人を集めて、
いわば独立国家のようなものを作り出す」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「そしていつか、俺たちをまとめて率いられるような、
優れた指導者を見つけ出して、青州を引き渡す、と」


挿絵(By みてみん) 郭嘉かくか
「………………」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「そうと決まったら早速、戦いの用意をするぞ!」


挿絵(By みてみん) 何儀かぎ
「いや待て。いくら焦和が無能だと言っても、相手は一州を預かる刺史だ。
兵力も装備も俺たちより上だろう。
郭嘉に策を立ててもらわなきゃいけねえ」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「つまり、まだ色々と聞き出さねばならない、ということだな」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「…………とりあえず、医者と薬を用意するか」


~~~黄巾党 支部~~~


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「チッ、張角の野郎も大したことなかったな。
呂布に手も足も出なかったそうじゃねえか。
せっかく好き勝手にできたのによ、また出直しだ」


挿絵(By みてみん) 管亥かんがい
「頭を失っては戦えない。
俺は北海ほっかいあたりに進出しようと思うが、
お前らはどうする?」


挿絵(By みてみん) 張曼成ちょうまんせい
「俺はいい。都につてがあるんでな」


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「都にだと? おい、そんな良い話なら俺にも一枚噛ませろよ」


挿絵(By みてみん) 張曼成ちょうまんせい
「駄目だ。俺のつては俺だけのものだ」


挿絵(By みてみん) 管亥かんがい
「都というと、お前は馬元義ばげんぎの下で働いていたな。
さては宦官のつながりだな?」


挿絵(By みてみん) 張曼成ちょうまんせい
「ヒッヒッヒッ。さあな」


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「ケチな野郎だぜ。
だが、ここでくすぶってるよりは都に上ったほうが、
まだしもチャンスはあるかも知れんな」


挿絵(By みてみん) 管亥かんがい
「ならばここでお別れだな。
北海太守の孔融こうゆうは名声ばかり高い、
ろくに実務能力の無い男だと聞く。
首尾よく制圧できたら、お前たちを受け入れてやってもいいぞ」


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「ケッ、捕らぬ狸のなんとやらだぜ。
見てろ、俺こそ都で一旗揚げてやっからよ」


挿絵(By みてみん) 張曼成ちょうまんせい
「それは俺のセリフだ。
黄巾党は滅びても、俺たちの未来は薔薇色と行きたいものだな」


~~~数年後 大道芸人の一座~~~


挿絵(By みてみん) 司馬倶しばぐ
「黄巾賊を名乗る、だと?」


挿絵(By みてみん) 万秉ばんへい
「そうです。黄巾賊の名は官軍に今もなお恐れられ、
そして民衆からは希望の星だと思われています」


挿絵(By みてみん) 司馬倶しばぐ
「たしかにあちこちで長いこと残党が暴れていたが……。
しかし我々は黄巾賊と縁もゆかりも無いぞ」


挿絵(By みてみん) 万秉ばんへい
「問題ありません。黄色い布を巻き、そう名乗れば簡単に偽れます。
黄巾賊の名声を利用し、のし上がるのです」


挿絵(By みてみん) 司馬倶しばぐ
「そう上手く行くとは思えんが……。
まあ、無名のままやみくもに蜂起するよりはマシだろうな」


挿絵(By みてみん) 万秉ばんへい
「その通りです。我々が新たな張角となるのです!」


挿絵(By みてみん) 司馬倶しばぐ
「ただの農民一揆の予定が大きく出たものだ。
だが、よくよく考えてみれば悪い計画ではない」


挿絵(By みてみん) 万秉ばんへい
「黄巾の世は今から始まるのですよ!
さあ、行きましょう。戦いの時です。
先生! お願いします」


挿絵(By みてみん) 陳敗ちんはい
「ああ」


~~~洛陽らくようの都~~~


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「張曼成の奴、まさか十常侍じゅうじょうじとつながってたとはな。
へへっ、だが失敗しやがった。いい気味だぜ。
それにしてもあいつ程度が十常侍とつるめるなら、
俺にも何かしら声が掛かってもいいところだが……」


挿絵(By みてみん) 董承とうじょう
「おい」


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「な、なんだてめえは!」


挿絵(By みてみん) 董承とうじょう
「仕事が欲しいのか?」


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「…………何者だ?」


挿絵(By みてみん) 董承とうじょう
「お前の素性は調べが付いている。
仕事が欲しいのかと聞いている」


挿絵(By みてみん) 楊奉ようほう
「見たところ相当の身分のようだが……。
ケッ、どうせこのままじゃ野垂れ死ぬだけだ。
いいぜ、誰だか知らねえがやってやるぜ」


挿絵(By みてみん) 董承とうじょう
「悪い話ではない。ついてこい」


~~~青州 州境~~~


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「董卓が都を席巻し、朱儁しゅしゅん皇甫嵩こうほすうら志ある者、
孫堅や袁紹ら実力のある連中はみんな左遷されちまった。
こんな都にはいられねえと俺も辞職しちまったが、
さてこれからどうするかな……」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「止まれ! ここは黄巾党の縄張りだぞ!」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「黄巾賊だと? 青州が奴らの手に落ちたって噂は本当だったのか」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「おとなしくここを去るか、それとも身ぐるみ剥がれるか、
好きな方を選ぶがいい」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「忠告してやる。喧嘩を売るなら相手を見てやるものだ」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「なんだと? おいてめえら、こいつに目のもの見せてやれ!」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「黄巾キラーとうたわれた俺に挑むとは愚かだな!」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「ぐはあっ!! な、なんだこいつの強さは!?」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「どうした卞喜!」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「手を貸してくれ! 俺一人ではとても敵わん!」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「む……。その髪型、何度となく戦場で見かけたことがあるぞ。
官軍の将軍で、鄒靖と言ったか?」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「ご名答だ。だが今は将軍ではない。官軍は辞めたんだ。
ここにはたまたま通りがかっただけだ。わかったら道を空けてくれ」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「勝手なことを言いやがって!
元とはいえ官軍と聞いては生かしちゃおけねえ!」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「いや待て!
……これこそ、我々が待っていた相手かも知れんぞ」


挿絵(By みてみん) 卞喜べんき
「なんだと? おい、お前まさか――」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「考えてもみろ。彼よりも我々を熟知した人間がいるか?
しかも今は官軍を離れていると言う。
これを天の配剤と言わずしてなんと言う?」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「……さっきから何を話している?」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「まずは非礼を詫びよう。
そして、我々の軍師と会って欲しい」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「軍師だと? 黄巾賊にそんな奴がいるのか」


挿絵(By みてみん) 何曼かまん
「彼を表す言葉を他に知らないだけだ。
とにかく会ってくれ。そして、できれば我々に力を貸して欲しい」


挿絵(By みてみん) 鄒靖すうせい
「黄巾賊が俺に頼み事だと?
……確かに以前のお前たちよりは統制が取れているようだ。
それも軍師のおかげか?
わかった。聞くだけ聞いてやろう。案内してくれ」


~~~~~~~~~


かくして黄巾賊の面々は各々の道へと分かれていった。
彼らの戦いは続き、火種はくすぶり続ける。
黄巾の世は訪れずとも、世界は確かに変わったのであった。

黄巾の章 完
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