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アイコン三国志外伝 作者:小金沢

魏の章

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掌編(程昱伝)      日を捧げる男

~~~兗州えんしゅう 東阿とうあ~~~


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「ヒャッハー! この城は俺様の物だーーッ!」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「や、やめろ! いったいなんのつもりだ!」


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「は? 見りゃわかるだろ。
黄巾の乱で国はガタガタだ。この城にもいつ黄巾賊が攻めてくるかわからねえ。
だったら俺はやりたいことをやらせてもらう。
野郎ども倉を開け! 略奪だ!!」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「くっ…………」


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「おらおら、そんな所に突っ立ってたら邪魔だ。死にてえのか」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「お、俺も殺すつもりか」


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「殺さねえよ。アンタはハッシュンとか言う名士なんだろ?
名士を殺したら俺様の名声が落ちちまうからな」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「官吏の身で略奪を働いておいて、今さら名声を語るのか」


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「うるせえなあ。殺さなくても半殺しにしてやろうか!」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「ひいいっ!?」


~~~東阿 程立の屋敷~~~


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「で、言われっぱなしですごすご逃げてきたわけか」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「お、俺まで殺されては誰も事態を収拾できないからな」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「ほう。収拾できる目算があるのか。
ならばぜひその方法を教えてもらいたいな」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「それは、ええと、その……」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「フン。お前の腹づもりはわかっている。
ワシの知恵を拝借に来たのじゃろう?」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「あ、ああ。お前にとっても悪い話ではあるまい。
王度の反乱を鎮圧すれば、それこそお前の名声も上がるに違いない」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「州じゃ」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「は?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「州にワシを推挙しろ。
できぬとは言わせぬぞ。腐っても八俊はちしゅんサマの一人。
いくらでもつてはあるじゃろう」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「……わかった、手を尽くそう」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「フン。口だけならいくらでも言える。
誓約書を用意しておいた。血判を捺してもらおう」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「よ、用意のいいことだな。……これでいいか?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「よろしい。すでに間者を放ってある。
王度はせっかく奪った城に入らず、外に布陣しているそうじゃ」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「て、手回しもいいんだな」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「黙って聞け。
つまり王度に城を制圧し守れるだけの兵力はない。
ならば話は簡単だ。ワシらが城を奪い、立て籠もってしまえばいい」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「だがそれこそ我々には兵がいないぞ。
主だった者はみな近くの山へ避難してしまった」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「それも間者に聞いて知っておる。
かえって好都合ではないか」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「へ?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「お前に一つやってもらいたいことがある。
なに、容易なことだ。舌さえあればすぐにできる」


~~~東阿 渠丘山きょきゅうさん~~~


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「ああっ! あれを見ろ!
山頂だ! 山頂に誰かがいるぞ!」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「おおっ。確かに誰かおるな。
あれは……兵士のようじゃ。旗を振っておるぞ」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「わ、わかったぞ! あれは王度に合図を送ってるんだ!
王度が攻めてくるぞ! ここは危険だ!」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「薛蘭殿、それならば城に逃げるといい。
ほれ、王度はこの山にばかり気を取られて城は空っぽじゃ」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「程立の言う通りだ!
皆の者! 城だ! 城に戻るぞ! 俺についてこい!」


~~~東阿城~~~


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「ほ、本当に上手く行ったな……」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「ご苦労。芝居は下手だが声は出ておったな」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「あの山頂で旗を振っていたのはお前の間者か?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「さよう。3人もいれば十分じゃった」


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「てめえら! よくも俺様の城を奪いやがったな!」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「お、王度がもう攻めてきたぞ!」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「フン。大事なものなら棚にでもしまっておくのじゃったな」


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「許さねえ……。ハッシュンだかなんだか知らねえが全員皆殺しだ!」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「お、俺も狙われてるぞ! 大丈夫なんだろうな程立!?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「負け犬の遠吠えなど恐るるに足らんよ。
ほれ、奴らの背後を見てみよ」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「王度の軍の背後で火の手が上がっている……?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「ワシの間者がもう一仕事したところじゃ。
ほれ、敵は泡を食っておる。矢でも浴びせてやれ」


挿絵(By みてみん) 薛蘭せつらん
「わ、わかった。撃て! 撃てーーい!!」


挿絵(By みてみん) 王度おうど
「ば、馬鹿な……ぎゃああああああっ!!」


~~~数年後 兗州~~~


挿絵(By みてみん) 曹操そうそう
「ふむ。面白い話だったよ。
それで八俊の彼は約束を守ってくれたのかい?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「約束通り、州には推挙させた。
じゃがどいつもこいつも奸智に長けたワシを恐れてな、
重用はされんかった」


挿絵(By みてみん) 曹操そうそう
「君は毒にも薬にもなる男のようだが、
大抵の人は君を毒だと思うだろうね」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「……ならば貴殿はどちらかな」


挿絵(By みてみん) 曹操そうそう
「君が毒なら僕は器だ。器に容れれば、毒も安全に扱える」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「フン。ワシには貴殿もワシと同じ、猛毒に見えるのじゃがな」


挿絵(By みてみん) 曹操そうそう
「いいねえ。そんな言葉をこれから先、
僕のそばでずっと囁いて欲しいものだ」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「フン。まるで女に対する口説き文句じゃな。
しかし貴殿のそばにおれば、州よりももっと上が望めそうじゃ」


挿絵(By みてみん) 曹操そうそう
「そうそう、さっきの話も面白かったが、
その前の夢の話も興味深かったね」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「太陽を捧げ持つ夢の話か?
幼い頃から繰り返し見る、他愛もない夢じゃ」


挿絵(By みてみん) 曹操そうそう
「だが縁のようなものを感じるよ。
どうだい、夢を現実にして、本当に日を捧げてみては?」


挿絵(By みてみん) 程立ていりつ
「何を言っておる?」


挿絵(By みてみん) 曹操そうそう
「僕に仕えた記念に、名に日を上に加えて、
今後は程昱ていいくと名乗ったらどうだい」


挿絵(By みてみん) 程昱ていいく
「フン……面白い」


~~~~~~~~~


かくして奸智に長けた軍師・程昱は曹操に仕えた。
彼はその頭脳と悪意をもって、
魏を幾度となく勝利に導くこととなるのであった。
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