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うちのかわいいかわいい猫 作者:しまうま
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うちの十五夜イベント

 夕方、散歩へ出かけたら、近所の空き地でシマシマシッポを見かけた。
 向こうも僕を見つけたようだ。
 ササッと草が生えている場所へ走りこんで、からだを伏せている。

 ――うん? 何してるんですか? そんなところで。

 草のすき間から僕を見つめている。
 ペタリと平たくなって、ほとんど草に隠れている状態だ。
 長いシッポだけが、ふわりふわりと揺れている。

 ――あはは、かくれんぼしたいんですか?

 歩いて近づいて、

「あれ、どこですかー? おかしいなー、いないなー?」

 と探してみせた。
 シマシマシッポは僕の足元だ。
 息を潜めている。
 そのまましばらくじっとしていたけれど、我慢できなくなったように立ち上がって、ダッダッダッと走っていった。
 一度振り返って僕を見て、また走っていく。

 ――あはは、元気ですね。追いかけて欲しかったみたいですけど……。

 さすがに一緒になって走る元気はなかった。


 9月も中盤に入って、ようやく過ごしやすくなってきた。
 このころ、うちの近所では、十五夜のイベントが行われる。
 なかなか風流なことをする……かと思ったらそういうわけでもなくて、それぞれの家庭でお菓子を準備して、訪ねてきた子供にお菓子を渡すというイベントだ。
 公民館にお菓子を集めて、子供たちで分配するらしい。
 あんまり十五夜っぽいとは感じないけれど、まあ子供は喜ぶし、いいんじゃないかと思う。

 このお菓子集め、子供たちのやることなので、見落としがある。
 せっかくお菓子を用意しても、持っていってもらえないのだ。
 ちょっと奥まったところに建っている家は要注意だ。
 そして、うちは見落とされがちだ。今年はしばらく待って、やはり集めにこないので、自分で公民館へ持っていくことにした。
 公民館にはお菓子の山ができていた。
 お母さんがたが必死に公平になるように分配している。

「うちのお菓子、持ってきましたー」

 と軽くあいさつをして、家に戻った。


 お菓子を入れていた大きなビニール袋を玄関脇に置いていたら、うちの猫が見つけてしまった。
 すっぽり中に収まって、

「なかなかいいじゃない」

 という顔をしている。

「あはは、お菓子と間違われて持っていかれちゃいますよー」

 と話していると、チャイムが鳴った。
 やってきたのはお隣の奥さんだ。

「あのね、うちのお菓子取りに来なかったのよ」

 とお菓子の入ったビニール袋をぶら下げている。

「やっぱりこの辺の家は来ないですよね。僕は公民館に持っていきましたよ。持っていきますか?」

「いいの、いいの。もう時間もだいぶ過ぎてるし」

「あー、そうですよね」

 もうお菓子の分配も終わって子供たちは帰ってるだろうという時間だった。

「でも、私食べないから、あなた食べるといいわよ」

 とビニール袋を渡された。

「えっ? すいません。ありがとうございます。あ、それなら――」

 とうちの猫の入ったビニール袋を持ち上げた。

「うちのお菓子持っていきますか?」

「うふふ、あなた何言ってるのよ。猫ちゃん怒ってるじゃないの」

 急に持ち上げられてびっくりしたのだろう。うちの猫が暴れていた。
 袋の中からペシペシと叩いている。
 本当にしゃべっていることがわかったのかもしれない。

 ――もちろん冗談ですよ。

 袋を降ろして、頭を撫でようとしたら、カッと噛みつかれてしまった。

 涼しくなってきたおかげで、うちの猫も少し元気が出てきたみたいだ。

     (=‘x‘=)<読んでくれてありがとうニャー
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