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うちのかわいいかわいい猫 作者:しまうま
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うちの秋の気配

 どこからか、リリリリリ……という音が聞こえていた。

 ――スズムシかな?

 それにしてはちょっと時期が早い気がした。
 スズムシじゃないかもしれない。
 だけど、虫が鳴いているのはまちがいない。

 ――しかも……近い?

 虫の鳴き声は家の中から聞こえているようだった。

 うちの猫は落ち着かない様子だ。
 きょろきょろしている。
 ついでに僕のほうも、ちらっと見上げた。

「ちょっと探しに行ってみますか」

 僕はうなずいて、猫と一緒に音のほうへ歩き出した。




 たどり着いたのは洗面所だった。
 排水溝の穴の中から、リリリリリ……と聞こえている気がする。

 ――こんなところに?

 うちの猫が洗面台に飛び乗って、穴を覗き込んだ。
 においをかいで、「ニャッ」と鳴いた。
 間違いないようだ。
 それから、排水溝の周りを引っかき始めた。
 いったい何をしているのか、不思議な行動だ。

「あの、それって、もしかして……穴を掘ろうとしてますか?」

 当然、穴を掘ることなど不可能だ。
 洗面台はそんなにやわらかい材質でできてはいない。

 それでもかまわずに、うちの猫は熱心に前足を動かしていた。
 どうにかして虫を捕まえたいらしい。
 シャッシャッシャッと気持ちのいい音が聞こえる。
 洗面台の表面に傷をつけている音だ。

「穴を掘るのは無理だと思うんですよ……」

 するとうちの猫は耳をペタンと寝かせて、

「だって、ほかにどうしようもないじゃない」

 という表情で、「うぅーん」と悲しげに鳴いた。
 前足はまだ動かしている。

「ちょっと見せてくださいよ。穴のどこら辺にいるんでしょう?」

 と覗き込もうとすると、「フシャー!」と激怒されてしまった。
 僕が横取りすると思っているらしい。

「わかりましたよ、もう……そんなに怒るならいいですよ……」

 そのまましばらく眺めていると、穴を掘るのはあきらめたようだ。
 排水溝をふさぐようにして、ごろりと横になった。
 洗面台の曲線にぴったり収まってしまっている。

「そこで待つ気ですか……。出てくるといいですね」

 寝転んだうちの猫のちょうど真上に水道の蛇口があった。

 ――いま水を出したらどうなるだろう。

 とイタズラ心が生まれたけれど、確実に本気で怒ってくるので実行はしなかった。




「そろそろ飽きましたか?」

 しばらくたって、洗面所をのぞいてみるとうちの猫がいない。
 ふと視線を横に向けると、洗濯機のなかにちょこんと座っていた。

「あの、どうして洗濯機の中にいるんでしょう……?」

 虫のことはどうなったのかという疑問もあった。
 うちの猫は首をかしげて、

「どうしてかしら?」

 という顔をしていた。
 のどを鳴らして、ご機嫌な様子。
 もう、虫のことはどうでもいいみたいだった。

     (=‘x‘=)<読んでくれてありがとうニャー
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