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うちのかわいいかわいい猫 作者:しまうま
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お行儀のいいシマシマシッポ

 ――この寒さはあんまりですね……。

 寒波で連日寒い日がしつこく続いている。
 僕の住んでいる地域では雪が降っていないのがせめてもの救いだった。北の方に住んでいれば、きっとこんなものでは済まないのだろう。それでもお腹の底から伝わってくる、痛いくらいの鋭い冷たさにはうんざりしていた。

 コートのポケットに手を入れて、震えながら玄関へ向かうとシマシマシッポがいた。

「あら、猫も寒いですよねー。さあさあ、家に入りましょう」

 と声をかけると、タタタッと僕から離れていく。
 そして玄関脇の植木の根元で座り込んでしまった。
 どこかへ行ってしまうわけでもない。そのまま中途半端な位置にじっとしていた。

「家に入らないんですか? なんでそんなところでじっとしてるんです?」

 こちらに来るかな、と待っていたが、いっこうに動く気配がない。

「何してるんです?」

 声をかけられたシマシマシッポはモソモソとからだを揺すって、腰を地面に押し付けた。

 ――ああ、トイレでしたか。

 せかすように声をかけてしまって申し訳ない気持ちになった。


 なんとなく眺めていると、トイレが終わったようだ。シマシマシッポは地面のにおいをしきりに嗅いでいる。
 そしてぐるりと一回転して、土をかけ始めた。
 前足で土をかき寄せて、トイレに使った場所に覆いかぶせる。
 においを嗅いで確認して、からだの向きを変えて、先程とは別の場所から土をかき集める。ゆっくりと確実にトイレを埋めている。

 ――おお、丁寧な仕事ぶりですね。

 と感心してしまった。

 シマシマシッポはひと通り周囲の土をかけ終わると、ようやく満足したようだ。
 見ていた僕に顔を向けて、「どうかしたの?」という表情をする。

「よくできましたねー。野良とは思えない……というか、やっぱりどこかの飼い猫なんじゃないですか?」

 と言っても、「何を言ってるの?」という顔だ。

 ――うちの猫とは全然違いますよね……。

 うちの猫が庭でトイレをしているのを見たことがある。
 用事を済ませると、見当違いの方向へ土を蹴り上げ、僕を睨むと「なによ! 私は悪くないんだからね!」という顔をして走り去ってしまった。
 赤ちゃんのときに引き取ってきて、トイレの仕方を教えて貰えなかったのだろうし、これはしょうがないことなのだろう。いまではもう少しうまくなっている。近所の猫が教えてくれたのかもしれない。


「さて、ストーブで暖まりましょうか」

 僕と一緒に家の中に入ってきたシマシマシッポは、ストーブの前に敷いた座布団には座らず、リビングのテーブルの上に置かれたコップに近づいて、頭を突っ込んでしまった。

「あら、行儀がいいと思ったのにそんなことするんですねー」

 シマシマシッポが首を縮めて僕を見つめる。
 怒られると思ったのかもしれない。

「まあいいですよ。あとで洗いますから。それよりも飲みにくいですよね……?」

 コップの口は小さい。シマシマシッポの頭がギリギリ入る大きさだ。必死に舌を伸ばして、水を飲んでいる。
 明らかに飲みにくそうに見える。

「飲みやすいお皿を用意しましたよ?」

 と移動させようとしても、全力で踏ん張って抵抗する。どうしてもコップで飲みたいようだ。

「うーん、それでいいならいいですけど……。飲み終わったら暖まっていってくださいね」

 しばらくすると、ドンッとテーブルから飛び降りる音がした。見るとシマシマシッポが座布団の上で丸くなり、目を閉じている。もう水は十分飲んだようだ。

 ――こういう天気のときは、やっぱり暖かい家の中がいいですよね。

 そう思いながら、僕も目を閉じた。


 その後やってきたうちの猫は、シマシマシッポを見つけると、ズンズンと近づいていって、当然のような態度で頭を叩いていた。シマシマシッポはビクンと飛び起きて、慌てて場所を譲った。どうやらストーブの前の一番暖かいところはうちの猫の場所のようだ。

 ――あらら、家の中でもゆっくりできないですね……。

 シマシマシッポはウロウロと歩き回って、僕の足元で丸くなって、また眠ってしまった。

     (=‘x‘=)<読んでくれてありがとうニャー
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