挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
うちのかわいいかわいい猫 作者:しまうま
103/117

うちの大騒ぎ

 お正月三日目に、兄と子供が再び遊びに来た。
 実家を行ったり来たり。年初から大変だろうと思う。


 シマシマシッポとうちの猫が、ちょうどリビングにいるときだった。子供がいるので、二匹とも部屋の端のほうで警戒する姿勢をとっていた。兄はちょっと得意げな顔で、手にしたビニール袋の中身を取り出した。
 猫用のオモチャを買ってきたらしい。これで猫との交流を深めるつもりのようだ。
 いいアイデアだと思う。
 オモチャに夢中になっている間に、猫と子供が仲良くなれるかもしれない。

 兄がオモチャを床に置き、スイッチを入れた。
 買ってきたのは電池で動くオモチャらしい。
 小指くらいの大きさの毛虫の人形が、ブルブルと振動し、その振動で床の上を滑るように移動する。

 ――なんかヤバいオモチャ買ってきてる……。なにこれ……。

 毛虫が振動しながらムーンウォーク的な不気味な動きをしているようにしか見えない。
 猫たちの反応はというと、うちの猫はいつものようにそっぽを向いていて、シマシマシッポは壁に寄り添うようにして震えていた。怖かったようだ。完全に作戦失敗だ。

 一方子供は喜んでいた。
 毛虫の人形を追いかけて、捕まえて、また離して遊んでいる。
 勝手に動くミニカーのような感覚で楽しんでいるようだ。
 まあ、こうして喜んでいるならいいのかもしれない。

 兄はさらにオモチャを取り出した。
 オモチャを買うときにはひとつだけではなく、保険のふたつ目まで買ってくる周到さがあるのが兄だ。毛虫のヤバいオモチャを買ってきてしまうところもあるのが玉に瑕だ。
 出てきたのはハチのオモチャだった。
 しなりのあるプラスチックの棒の先に、ハチの人形が付いている。
 棒を振ると、紐に繋がったネズミとはまた違った変わった動きをしている。羽の部分がキラキラと光を反射していて、さらに鈴まで付いている。

 ――これはいいかもしれないですね。興味を持ってくれるかもしれません。

 うちの猫の近くでハチを動かすと、うっとおしそうに首を縮めていた。シマシマシッポは完全に怯えていた。もう何を見ても怖いらしい。

 ――このままだとマズイですね……。

 せっかくオモチャを買ってきたのに、子供が猫と遊べないままなのは良くない。子供はひたすらヤバい毛虫に夢中になっていたが、猫と遊べたほうが嬉しいはずだ。

 ――そういうとき……結局これなんですよね。

 僕が取り出したのは使い古したネズミのオモチャだった。
 ゆらゆらと揺らしてみせると、うちの猫がビクッと反応して、中腰になる。狩りの姿勢だ。シマシマシッポも一応見つめていた。

 ネズミを床に転がすと、トコトコとうちの猫が走ってくる。それを見て、子供がはしゃぐ。

「にゃんにゃんが来たよー!」

 振動する毛虫と子供からは逃げつつ、うちの猫の視線はネズミを捉えている。シマシマシッポもソファーの向こうを迂回しながら、ネズミを見つめている。

「あー、にゃんにゃん! にゃんにゃん!」

 子供がネズミを動かしたいようだったので、棒を握らせる。
 子供が棒を振り回すと、うちの猫は驚いて逃げてからすぐに立ち止まり、

「あれ? でもネズミよね? 捕まえなくっちゃ」

 という顔で、また近づいてくる。
 子供からは逃げて、しかしネズミは気になるので戻ってくる。そうしてドタバタしているのを、シマシマシッポがソファーの影から羨ましそうに見ていたので、こちらにはハチを近づけて動かしてみる。
 おっかなびっくりといった様子で、シマシマシッポは優しくゆっくりと、ハチをパンチしていた。

 そのうちに子供とうちの猫のテンションが上がり、振り回されたネズミが部屋の中をビュンビュン飛び回り、うちの猫はもうネズミ関係なしに走り回り、それを見たシマシマシッポが慌てて逃げ出し、逃げるシマシマシッポにうちの猫が反応して飛びかかり、子供はキャッキャとはしゃぎ、通りすがりにハチの人形は叩き落されてしまった。ついでにその間ずっと、僕の傍らではヤバい毛虫の人形がひっくり返って振動を続けていた。

 ――これは収拾がつきませんね……。

 呆れてリビングの様子を眺めていると、うちの猫が走ってきて、子供にパンチを喰らわしていった。

 ――ああ、もう、なんでそういうことするんですか……。

 子供が悲鳴を上げて逃げて、リビングの騒ぎは収まった。
 猫と遊べたのはいいのだけれど、しばらくのあいだ、子供は必死になって、

「あのにゃんにゃんは恐いにゃんにゃんだよ! あのにゃんにゃんは恐いんだよ!」

 と力説していた。

     (=‘x‘=)<読んでくれてありがとうニャー
小説家になろう 勝手にランキング
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ