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黒い罠
作:紅佐洲仮



第29話


「ただいま…。」
奈月は、俯きながら博士の家の玄関を開けた。
「な、奈月君!大丈夫かね?」
博士が奈月に近付いて尋ねた。
「大丈夫よ。」
奈月は、小さな声で言った。
「どこ行ってたの?心配したのよ。」
哀が少々怒りながら言った。
「ごめんなさい。考え事していたら、帰るのが遅くなって…。」
「まぁ、良いじゃないか哀君。奈月君が無事に帰って来たんじゃから。」
博士が哀に笑顔で言った。
「…そうね。」
哀がそう言った。
「私、もう疲れたから寝るね。」
奈月は、微笑みながら言った。
「おやすみ、奈月君。」
博士は、奈月に言った。奈月は黙って、静かに部屋に入って来た。
「工藤君とジョディ先生に電話した方がいいわね。」
哀が博士にそう言った。
「そうじゃの…。」
博士は、静かに言った。









翌日、コナンは博士の家に来ていた。昨日の事を博士と哀に話す為に…、
「それで、金城先生が彼等の仲間なの?」
哀がテーブルにコーヒーを置きながら尋ねた。
「あぁ…、たぶんな。覚えてるか?図書室で阪井が元気がない事を聞いた時、あいつ急に黙り込んだだろう。」
コナンがコーヒーを飲みながら言った。
「えぇ…。確かそのあとに、金城先生が来たのよね。」
「たぶん、阪井は金城先生が奴等の仲間だって気付いた筈だ。」
「じゃが、その先生は殺されたんじゃろう?」
博士がコナンに近付いて尋ねた。
「あぁ…。誰が殺したかは分かってねぇけど、あいつなら何か知ってると思ってな。」
「でも、何があったの?彼女、昨日から元気がないのよ。一人で帰って来て、俯きながら部屋に入ったから…。」
哀が心配そうに言った。
「…………………。」
コナンは黙って、コーヒーを飲んだ。
「じゃあ、俺は帰るから。」
コナンは、コーヒーを飲み終わってから言った。
「ちょっと待って、工藤君?彼女に何があったのか教えてくれない?」
哀は、帰るコナンを止めた。
「その事はまた今度話す。それと、あいつに言っといてくれ……、お前が悪いんじゃないってな。」
コナンは、哀に笑顔で言った。
「ちょっと、どういう意味?」
哀がコナンに尋ねた。しかしコナンは何も言わず、博士の家から出て行った。









電気も付けずに、薄暗い部屋に床にしゃがみ込むかの様に奈月は座っている。
「(私が…あの人と関わらなければ、あの人は死ななくて良かった。シルフィアだって、死ぬ筈じゃなかった。全部…、私のせいで…。)」
奈月は、悔しそうに心の中で言った。












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