クウガ戦記(5/10)縦書き表示RDF


クウガ戦記
作:zero8



第四話 二人の部下


 暑い日差しが地面に跳ね返り、そこいらの砂利じゃり石が焼け付くような空気をかもし出している。そんな中、海岸付近の砂浜に設置された射撃演習場では、大気を振るわすような砲撃音が鳴り響き、その砲撃によって打ち砕かれた残がい(おそらく気球だろう)が海辺に漂っている。
ドゴーーン。砲撃台からまた弾が発射される。空を切り裂くように跳んだ弾丸は、きれいな弧を描くと、遠くの方でぷかぷかと浮いている気球のど真ん中を正確に打ち抜いて海の彼方かなたへと消えて行った。
この射撃場の管理人であるジルジは、打ち抜かれて行く気球を眺めながら最初は余裕の表情でいた。しかしその表情は進むにつれて驚愕きょうがくに染まり、最後は顔面蒼白になりながら固まっていた。

(青二才のくせに、ぜ、全弾的中だとっ!!)

普通、射撃訓練(ここでは砲撃訓練)では素人がいきなり全弾命中することはありえない。玄人くろうとでも十発中八発が良いところである。それをいきなり成し遂げたのだから、この管理人ではなくとも驚くだろう。

「あっついな〜。何だってこんなに暑いんだ? それに狭いし。もっと効率よく作れないのか?風通しを良くするとか操縦席を広げるとかさ。俺だったら冷暖房完備の居心地の良いやつを作るのに。・・・もちろん性能はこれの十倍だがな。」
砲撃担当の技術者が聞いたら、怒るか呆れるだろう言葉をはく修一。砲撃台から降りると、汗で額にくっついた前髪を掻き揚げながらその場に腰を下ろした。

「さすがね。飛空船の操縦だけじゃなく、砲撃技術も完璧なんて。・・・・でも、本当に良かったの?」
修一の砲撃訓練を観察していたニーフェがこちらに近づきながら、賞賛と疑問の声を上げる。
その声に上半身を反らしながら顔だけをニーフェに向けると
「ああ、別に良いさ。軍に入らなくてもこの星にいる限り、戦争に巻き込まれるのは目に見えてるし。ニーフェにはいろいろと助けてもらったしな。それに今ここで俺が投げ出したら、自分の信念にそむく事になる。」
「信念って?」
ニーフェの問いかけに修一はわずかにためらうが、思い切ったように
「・・・俺は助けたいんだ。自分にとって大切な人を。確かに俺は他の奴に比べたら能力は秀でているかもしれない。でも、俺は困っている人全てを助けられるほどの力なんてないし、そう思えるほど傲慢ごうまんでもない。ただの矮小わいしょうな人間だ。でもな、俺のせいで、俺に力が足りなかったせいで逝ってしまった人たちのためにも、俺は、俺の命がある限り、大切な人を絶対に助ける。自分の手が悲しみを断ち切れないのなら断ち切れるまで、命をつなぎとめられないのなら繋ぎ止められるまで何度でも足掻あがいてみせる。それが俺の信念だ。」

それは、悲痛とも言える修一の心の叫びだった。どのような過去を送ればこのような信念を抱く事になるのか・・・。
何もしらないニーフェには、ただ、顔を歪ませ、つらそうに聴く事しか出来なかった。そして思う。修一に期待してばかりでその実何もわかっていなかったと。その事に今更気づいた自分が、なにより安易な気持ちで修一の信念を聞いた自分がたまらなく嫌で、悔しかった・・・。しかし、そんなニーフェを見かねたのか、修一はおだやかな声で
「それより、ニーフェは気づいているのか?自分が俺の大切な人に入っている事を。」
「え?・・・・」
修一に何を聴かれたか一瞬分からなかったニーフェは呆然ぼうぜんと修一の顔を見つめる。そして、その意味がようやく飲み込めた瞬間、頬を真っ赤に染めながらうつむいた。それを見た周りの軍人たち(先ほどまで居なかったのにニーフェが現れるとなぜか急に増えた)は
(そ、そんな・・)
(あの、オブライエン中佐が・・)
(恥かしがっているだと〜!!)
(ニーフェ、あなたにもとうとう春が来たのね)
(そんな〜、ニーフェ中佐ぁ〜)
(あ、あの男は一体何者なんだ〜。我らの中佐をたぶらかすとは)
(くっ、許すまじ・・・)
(こうなったら・・・)
(ああ、そうだあれしかない)
(やるか同志よ)
(もちろんだとも!)
(我ら中佐の平和のために・・・)
(あの男が中佐にふさわしいかどうか・・・)
((((((((((確かめてやるっ!!!))))))))))
・・・・などなど、色々思うところがあったそうだが(一部不穏当ふおんとうな発言あり)、当の二人がそんなことに気が付くはずもなく、事の元凶を作り出した修一といえば
「まぁ、俺がただ単にそう思っているだけだから気にするなよ、な?」
と軽く笑いながらその場を立ち去っていった。
その後、修一がどのような目にあったかはなぞである。ただ、ものすごく疲れることになったとだけ言っておこう。



軍内部の司令室では
「まさか、千夜少尉がこれほどの実力を持っているとは。監視体制をもう一度考え直さなければならないな。」
オブライエン中佐に命令し、修一の砲撃訓練のデータを採らせた書類を見ながら、ハロルドは自分が思っているよりも修一の技能が高かったことに警戒心を抱いていた・・・。



「俺に部下を付けるのか?それも二人も?急にどうしたんだよ。」
軍内部にある人事局への通路を歩きながら、修一は一歩先を歩くニーフェの背中に声を掛ける。昼食時に食堂で何を食べようか迷っている修一をニーフェが用事があるからと引っ張り出したのである。
「ハロルド大佐にあなたに部下を付けるよう命令されたのよ。でも、安心して。二人とも私の下で働いていた有能な部下だから。実戦経験も豊富だし、敵船と戦うときは必ず役に立ってくれるはずよ。」
少し誇らしげに言うニーフェ。そんなニーフェを尻目に修一はそれが一番困るんだよな。とつぶやいていた。射撃訓練の後、ニーフェのファンである一部の軍人たち(全て男)に散々な目に合わされたのがまだ響いているようだ。二人が人事局に付くとそこは人の波であふれ返っていた。修一がそんな状況に引き気味でいると
「千夜少尉でありますか。自分はこのたび千夜少尉の下に配属されることになったセラス・ベルナードと言います。階級は曹長です。よろしくお願いします。」
混雑している人事局の中を人を掻き分けるようにして現れたのは、すらりと背が高い、茶色の髪を短く切ったボーイッシュな感じの女性と
「同じく、アリア・シェルです。階級は伍長です。よろしくお願いしますね。少尉♪」
ブロンドの髪を肩まで伸ばした、青い瞳が特徴の活発そうな女性だった。いきなり二人の女性から続けざまに自己紹介を受けた修一は、戸惑いながらも
「千夜修一だ。階級は少尉となっているが、どうせ形だけだからそんなにかしこまらなくても良いよ。この世界には来たばかりで右も左も分からない新参者だしな。気楽にいこうぜ。」
と友達感覚で話す修一。そんな修一の態度に対し二人の女性は
「はぁ。しかし、それでは上下関係が成り立ちませんが・・・。」
と言うセラス。彼女はかなりまじめな性格のようだ。一方、アリアといえば
「へぇ〜。千夜少尉って異星人だけあって変わってるんだね〜。でも、そういう考え方は嫌いじゃないから。こちらこそよろしくね。修一♪」
と早速気軽に話しかけてくる始末。彼女は順応性に適しているようだ。
そんな二人を修一の後ろから見ていたニーフェは微笑みながら
「どう良い子達でしょ。あなたが男性隊員と仲が悪いって聞いていたから、この二人を選らんだのよ。」
と小さい声で修一にささやく。修一はその声を聞きながら
(男性隊員と仲が悪いのはニーフェのファンクラブに入っている野郎だけだっつーのに。はぁ〜。セラスもアリアも美人だからな。またいちゃもんつけられるよ、俺。もう勘弁してくれ、頼むから)
と内心涙をこぼしていた。


作者:・・・・・この女たらし。(ぼそっ)
如月:ええ、まったくですよ。これじゃ、いつセラスさんやアリアさんもマスターの毒牙にかかるか時間の問題ですね。ジャンルにハーレムを追加しなくてはならないのでは?
作者:私としてはそれでも一向に構わないですよ。そちらのほうが面白そうですからね。主に修一をからかうのに。(笑)
修一:お前らよってたかって言いたい放題言いやがって。後で覚えてろよ。(怒)
作者:・・・・逃げましょうか、如月?
如月:ええ、そうしましょう。
作者と如月は逃げ出した。(某RPG風に)
修一:あ、待てっ!お前ら〜!!!











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(1) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう