雲ひとつ無い大空とどこまでも続く大海原の狭間を、一隻の飛空船がエンジン音を響かせながら飛んでいる。 民間の小型船に武装改造を施《ほどこ》したこの飛空船を操縦しているのは、この世界では珍しい黒髪・黒瞳を持つまだ青年と言っても良い程若い男であった。 「ふぅ〜。」 防風用のサングラスを外し、千夜 修一はため息をついた。 十分な説明を受けたとはいえ、慣れない飛空船を操縦するのは緊張する。強張った筋肉をほぐし、とりあえず飛行が上手くいったことに安堵《あんど》しながらも、帰路へ向かうべく操縦桿《かん》を傾ける。 「しかし、まさかこんな事になるとはな。まったく運が良いんだか悪いんだか。」 遠くに見える孤島を見ながら、そう独り愚痴《ぐち》をつぶやく修一。彼の脳裏にはこの星へ来ることになった日のことが思い浮かんでいた。