第9話・ナヤ カラタ ウトパタって一体どうゆう意味なんだ??
ナヤ カラタ ウトパタ
謎の言葉を残し山の奥へと消えた子供。
決して幽霊なんかじゃない。だってさ少し残ったマキュポ鍋と焼き魚が綺麗さっぱりに無くなってるから……。
しかし、何だってこんな孤島に子供がいるんだ?
原住民にしちゃちょっと目がやさぐれてたような……。
もしかして、俺達がここにたどり着く以前に遭難した人間がいるとか……?
だとしたら、あの子供の親がどこかにいるかも知れない。
でももしいなかったとしてたら、あの子一人じゃ孤島暮らしはかなり厳しいだろうな……。
どっちにしろ、チンパンと日蔭氏が戻って事情を説明して、夜が明けてからあの子を捜してみるかと考えた。
それからしばらくして、チンパン達がさっきの修羅場(?)はどこ吹く風な感じで、何故かしらご機嫌で戻ってきた。
「…お、おかえり。」
とりあえず逃亡した俺は気まずさを残しつつ、何となくの挨拶。
「焚火番ご苦労『脱兎ウスラ〜』何か変わった事は?」
…もういいよ。はいはい、好きに呼べよ。
チンパンの問い掛けに
「あっ!そうそう!日蔭さんっっ!」
俺は砂に書き留めた言葉を読みあげる。
「ナヤ カラタ ウトパタってどういう意味?」
俺の言葉に日蔭氏は、
「ナ、ナヤ カラタ ウト……?」
日蔭氏の顔がみるみるうちに真っ赤になる。
「そう!ナヤ カラタ ウトパ−−−」
「いやぁああんっ!ノブヨシさんのえっちぃいい〜〜ッ!!」
日蔭氏は顔を両の手で覆い隠して、首を左右にブルンブルンと振る。
ぇ…? 何?何?
その、風呂を覗かれた『のびたさんのえっちぃいい〜〜ッ!』みたいな、しずかちゃん的なリアクションは……
「もしかしてさぁ、それって放送禁止用語?」
チンパンは日蔭氏の尋常じゃなく恥ずかしがる様子を見てつぶやく。
日蔭氏はチンパンの隣に小走りに駆け寄り、小さく何かを耳打ちした。
瞬間−−−
「ぶっふぁあーっ!!」
勢いよく吹き出して俺を指さしげらげら笑い出す。
「なっ、何だよーっ!俺そんなスゲーヤバイ事言ったか??」
言葉の意味は不明だが、なんか異様に辱めを受けた気分になってきた。
「ヤバイって!!佐々木ぃ〜っ!お前ど変態だなぁ〜っ!♪」
大口開けて両手をバシバシと叩いて爆笑するチンパン。
あ、なんか昔シンバル持ったそーゆー感じのサルの人形あったな。
いやいやいや!!
「つーか!笑ってねーで意味教えろよ!」
「ダメだね。完璧放送禁止用語だし。」
「やんわりとオブラートに包んで言えばセーフだろうが!」
「「う〜〜ん…」」
チンパンと日蔭氏は顔を見合わせ腕組みをして数十秒考えこむ…がしかし、
「無理。難しい。」
「私もうまく思いつきません。」
二人息を揃えてやんわりと首を振りギブアップ。
「もういいよ!耳打ちでいいから教えろ!」
「よし。ひかっち、レッツらゴー♪」
「ぇええっ!かざねちゃん、わ、私っ恥ずかしいですぅ〜っ!」
真っ赤になってバタバタと足ぶみして悶える乙女的なオッサン−−即ち日蔭氏。
「何でよ、佐々木に近付く絶好のチャンスじゃんっ、ひかっちファイトだよ〜〜ッ♪」
チンパンは日蔭氏の両肩に手を置き、励ましのエールを贈る。
ぇ? 何……?
明らかにこいつら、めっちゃ距離が縮まってねーか…?
「じゃ、じゃあ、がんばりますっ♪かざねちゃん、見守っていて下さいねっ♪」
「キャーっ♪イケイケっ♪ひかっちぃ〜っ♪♪」
ォイ!!いい歳こいた二人、何キャピキャピ感だしてんだよ!一体二人に何があったんだよっ!
もじもじくねくねと頬を赤らめ、ハニカミながら奴が俺に歩み寄る…。
ぅわ…、日蔭氏ぃ、なんか笑顔が超恐えよ。
そして、うぁあああっ!!!超近い近い近ーいっ!!
「いっ、いやっ、そんなに近付かなくても大丈夫だから。耳はかなりイイので……。」
さりげなくちょっと横にずれる。
「え〜っ♪知りたくないんですか?言葉の意・味。」
ゾワッ…と足に鳥肌。
ガクブルしたいがとりあえず、
「……サクッと手短かにお願いします。」
俺は目をぎゅっとつぶり拷問に堪える。
「あのですねぇ……」
「…はぃ?」
小さく頷く。
「ふぅ〜〜〜っ♪♪」
「!!!!」
うぉーーーっふ!!
鳥肌大全開で数メートル逃亡っ!!!
「あーあーあーあーっ!はいはいはいはいっ!!絶っっ対やると思ったけどよーーっ!!!!」
耳ふ〜〜ってどんだけベタ好きなんだよ!!
あ、なんか痒くなってきた……蕁麻疹でるかも。
「軽いジョークですよぉ♪」
エヘッ♪とはにかむなっちゅーのっっ!
「マジちゃんとして下さいよ!次やったら本当怒りますよ!」
「んもぅ、ノブヨシさんったらぁ か〜わ〜い〜いっ♪」
そんなあんたがこ〜わ〜い〜〜ッ!
…再度近付く日蔭氏。
拷問テイク2に勿論身体は否応なしに強張る…。
「… … …… 」
日蔭氏の恥ずかしがり屋さんじみた耳打ちに、
「・・・は?マジ?」
俺は思わず目が点。
「はい、本当にそう言う意味ですぅ…。」
日蔭氏は猛烈に赤面してキャッ……と両腕を横に振ってチンパンの元へ走る。
「さて、オブラートに包んでやんわりと通訳して貰おうかね?佐々木君よ……♪」
「…………。」
とりあえず、数十秒黙り込み考えてみる。
うーん、うーーん…。
「思いついたかね?」
「……要するに、口には出せないとんでもなく卑猥な言葉。」
「それさぁ、…包み過ぎじゃん?全っ然伝わんないし。」
「いいんだよ。人間の想像力ってのは結構凄まじいから、あれこれ好きに当て嵌めてニヤッとするのが正解って事で。」
つーかね、ちびっこがあんなクレイジーエロな言葉を吐き捨てて暗闇に消えるなんて……。
スレ過ぎだぜ、マジで…。
なんかまたため息が出た。
「てか、そんなエログロな言葉をどこで仕入れたんだ、エロガッパ。」
チンパンニヤニヤ。
「はぁああ?ちょっと待てや!薄いのは認めるがカッパ発言は断固として認めねーぞ!!髪の毛ちゃんとありますぅう!
つーかぶっちゃけエロいのはお前だろっ!さっきの《行為》を棚に上げてどの口が人をエロ呼ばわりしてんだヨッ!」
「ぁ…、せっかく癒えたひかっちの心をよくもエグッたな…。」
「あ゛・・・やべっ」
ちらっと日蔭氏を見たらふっ…と虚ろ気な遠い目…。
「あーっもー、めんどくせー!もーいいしっ!はいはいー、全部リセットリセットっ!んで話進めるから。サクッと本題いくからっ!」
俺は、先刻の子供の話を二人にした。
「幽霊じゃないの?」
チンパンはまたグビッと酒を煽りだした。
「…ここ数年、誰かが遭難したと言う情報はないですけどねぇ…。」
日蔭氏も首を捻る。
「でも確かにいたんだよ、子供が。で、鍋の残りと魚の残りを食べて山ん中逃げたんだよ。」
「……でも、この界隈に子供が身を潜める場所なんてあるかぁ?」
「身を潜める場所……………あ、あるじゃん。」
俺はあの場所−−即ち、洞窟を思い浮かべる。
「でも、私達、あの場所から帰って来たのに別に人らしきモノとは遭遇しませんでしたよ。」
「ん〜…、でもさ、奥まで探検してみるのは何気に楽しそうだよな〜♪」
チンパン、目的間違えてるぞ。
オメーの冒険心を満たす為のイベント企画会議じゃねーよ。
「とりあえず、なんか小さな手掛かりがあるかも知れないから、明日行ってみようぜ。」
「ほー、ヘナチョコウスラ〜ハゲリンコフ、今回は随分と乗り気じゃん。」
何だよチンパン、そのめんどくさくて長いネーミングは…、と思いつつも、
「だってよ、もしも子供一人ならやっぱり…なぁ。」
絶対に心細いだろうし…。
「ははっ、あんたは小動物とちびっこにはしこたま優しい奴だからな〜。」
「う〜ん♪素敵っ。惚れ直しちゃいますねっ♪」
いや、惚れ直さなくて結構ですから。つーか忘れて欲しいよ恋心。。。
「じゃあ、とりあえず明日は朝一から洞窟探険で決定って事で。かんぱ〜い♪」
一人で乾杯してろ。
んで泥酔の後、一人だけ高潮にザッパーンてさらわれろ。
「私は明日に備えて眠ります。おやすみなさい♪」
日蔭氏はぺきんと枝を折るかのように体を折りたたみ、ころんと砂浜に寝転がった。
…奴がちゃんと熟睡したら俺も寝ようと思う。
とりあえず砂浜にごろりと寝転び、また夜空を仰ぎ見る。
ほんと、綺麗だなぁ…
こんな綺麗な満天の星をナミエと二人で見れたら、どんなに幸せだろうなぁ。
ああ、ナミエ、…今頃俺の遭難を知って泣いてるかも知れないなぁ…。
「大丈夫、俺、ちゃんと生きてるからさぁ……」
そんな事を考えてたら、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
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