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最終話・グッバイまたね♪

(相原を意識しちまうなんて、俺ってば相当飲みすぎだよ!マジ勘弁してくれよなっ!)

 賑やかな宴の場から、外に出て少し酔いを覚ます為に夜風を浴びながら歩く。
 澄んだ夜空には数多あまたの星が瞬いている。時折流れ落ちて消える星を見て何故だろう、ちょっとだけ胸に切なさが込み上げてくる。
祭りの後のあの寂しさにもちょっと似てるかな…。

 目の前に広がる、闇を淡く青白く輝かす《神の祝福》という名の花の絨毯。  夜風にサワサワと一斉にその身を揺らす。
それは、懸命に生きる命の歌声にも感じる。

「本当に綺麗だなあ…」
 感嘆してつぶやいた俺の声は揺れる花の歌声に吸い込まれるように地面に消える。なんだかすげーよな…。こうして見ているだけで、自然と視界が霞みがかるよう――即ち泣きたくなっちゃうって事。

 再度感嘆すると、
「な~に浸っちゃてんだよ、そんなにひかっちとの別れがツライのか?」
後ろから相原が俺に歩み寄り、やれやれと笑いかける。
「別に浸っちゃいねーよ…ただ、綺麗な花だなぁって、そう思っただけだ」
そういいつつ鼻すすってる俺の顔からは小さく笑みがこぼれてる。
「なあ…相原…」
「なんだ…?いきなり改まった顔して…。」
「あの…、その…滝壺におちた後、島の川岸でしたこと……」
 俺は言葉を探しながら相原に、あの時の事は本当にアバンチュールって事で片付けていいのだろうか?と問いかけたかったんだけど、
「大丈夫だって、別にそれをネタにユスるつもりも、ユアハニー・ナミエに告げ口するつもりもないから」
 相原はあっは♪と笑って俺の左肩をぽんぽんと叩いた。
「いや、そうゆう訳じゃなくてよ~…」
「まあ、いいじゃないか、細かいコトは。お互いあの時はなりふり構わず性欲を満たしたかった。すなわ~ち、人間特有の自然の摂理って事でいいじゃん♪」
「自然の摂理って…」
オーバーじゃねぇか?と苦笑いを浮かべる俺に、
「セックスすんのに綺麗ゴトを並べるのはナンセンスだぞ。だってさ、人間だけじゃん、交尾すんのは子孫繁栄の為だけじゃないって種族はさ」
 相原は笑ってこう続ける。
「それってさ、人間が与えられた特別な愛情表現じゃないかと思ってる。そりゃあ、セックスに対して間違った認識はクソだと思うよ。快楽だけに溺れて人間が腐ってくなんて馬鹿馬鹿しいし。
自分じゃない人の温もりを感じてさ、ああ、生きてるんだなぁって、あぁ、ひとりぼっちじゃないんだなあって感じられる事って大事だと思うぞ。まあ、それは男と女ではやっぱり感じ取り方は違うとは思うけどな。あははっ、そう考えたら、人間てなんて弱っちい生き物なんだろうな…」

 相原の笑顔は、どことなく寂しそうに見えたのは俺の気のせいだろうか……

「ま、完全無欠、才色兼備のミラクルレディーでも、どうしようもなく人肌を欲する時もあるってコトだ♪」
「どんだけ自分の事褒め称えてんだよ…」
 やれやれと笑う俺に、
「そーゆーことは、何かしらひとつでも私より秀でた事を身につけてから言いやがれっ♪」
 相原はあっは♪と笑って俺の尻を蹴りやがった。

 悔しいけど、やる事めちゃくちゃだけど、実は相原はスゲー大人なんだなあ…と思ってしまった。

 ちゃんと自分を理解して、自分を楽しめる大人。
時々ガキ臭い事をしつつも、意外と物事を冷静に見てる。 そして、自分の弱さもちゃんと知ってるし、それを人に押し付ける事なく受け止めてる。

 俺にはない『包容力』
俺は、誰かに求めるばっかりで、何でも人のせいにして、頼りっぱなしだ。

 帰ったら、たまにはナミエの為にご飯でも作ってみようかな…。洗濯物でも一緒にたたんでみようかな。
なんとなく、そんな気持ちになった。

今回のこの仕組まれたサバイバル生活で得たものは、きっと俺を変えたと思う。大きな変化じゃないけど、確実に何かが変わった。

再度ナヤパサの絨毯を見つめて淡い輝きに目を細める。
「ありがとう、ここに来れて本当によかった」
 自然に言葉が出た。
相原は、何も言わず黙って笑ってた。



    ◇


 トリスタ共和国際空港の前には、別れを惜しむ人だかり。
「カザネ~、絶対にまたトリスタに帰って来てね~~っ」
セシルは相原にしがみつきうえんうえん泣いている。トリスタナンバーワンの役者だけど、やっぱりまだ純粋な12歳。ちきしょー、子供の涙って、綺麗だよなあ……。
「ノブヨシはもう来なくていいよ」

 前言撤回!こいつはやっぱりクソガキだよ!

「ノブヨシさん…ぐすっ、ノブヨシさぁああん!」

 やめて!いくら心はピュアでも鼻水垂らしたオッサンに抱きすがられるのは精神的にキツ過ぎるっ!
 ちょっと!どさくさ紛れでまたどこ触ってんだよ!
「私とのあの日々、絶対に忘れないで下さいね!」
 精一杯はにかむ日陰氏を見て思う。

 神様、デンジャラスな記憶を即刻デリートして下さい。

「サヨーナラ、マタノオコシヲ。マタ、タノシイ、カンゲーイベント、カンガエトクカラー、クルトキレンラククダサリマセデゴザル」
 本当、日本語へったくそな通訳のパタヤさんはニッカリと笑い手をヒラヒラと振る。

 いやぁ、デンジャラスなイベントはもうやめとこうか?あっはっは(怒)

「本当にありがとう!またね♪」
「お世話になりました」

 俺達は、タラップを上りながら、笑顔で手を振った。


「あ~あ、またヌルイ日本に帰還しなきゃいけないなんて…退屈よのう…」
 飛行機の中、欠伸混じりに相原はぼやく。
「だったらトリスタに永住すりゃいいだろ。」
 やれやれと思いながら、俺は目を閉じる。
「あ~~っ!降ってこぉおい!デンジ―――」
「ストーーーーップ!!!!
その先は言うな!」
 俺は相原の危険な呪文を制止する。

「…全く、ヘタレなウスラハゲよのう…」
「何とでも言えばいいさ、アンビシャスZさえできりゃあ、俺の頭はふっさふさになるんだからな!」
「失敗しろ、失敗しろ…」「不吉な念を送るんじゃねーよ!」
「…お前、なんか生意気になったなあ…。ナミエちゃんにばらしてやる。佐々木に襲われたって♪」
「あ、アホか!!!お前、昨日奮ってた熱弁を忘れたのか!!!」
「は?熱弁?なにそれ?酔っぱらってて覚えねーゃ」「くぬぬぬぅ……このクソチンパン!」
「お前、100回死刑決定」
「いや!今のは!!!」
「問答無用じゃ!」

「いやぁああああっ!マジスイマセン!!!」

 飛行機の中、俺の悲鳴がこだました・・・・


    (おしまい)



 すぺしゃるサンクス
・ハルと愉快な仲間たち
 みんな野球頑張ってね♪
 楽しい時間を本当にありがとう。

 お読み戴いた皆様、心より御礼申し上げます。

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