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第2話。12月18日をちょっとばかし語ると。(これつまり回想ね)

 日本を飛び立ち6日。
飛行機を何度も乗り継ぎ、俺は職場の同僚であるチンパンこと、相原風音あいはらかざねと共に世界の秘境とうたわれる、このトリスタ共和国へと降り立った。 

 トリスタ共和国は南半球にある地図に載らない程小さな島国が連なる国だ。
何故この国に来たかと言うと、実はここトリスタにしか生息、栽培されていない現地語で『ナヤパサ(神の祝福)』と呼ばれる不思議な花を求めて来たのだ。
俺達はその花『ナヤパサ』の買い付け交渉の為にトリスタ共和国に降り立ったのだ。

『ナヤパサ』は、今俺達が働く製薬会社が新しい目玉商品として研究開発している毛生え薬−−−《アンビシャスZ》の必須成分を多量に含む植物であると、研究チームの中野博士が突き止め、このトリスタ共和国の存在も奇跡的に掴んだのだ。

 んで、営業部の俺達を捕まえてトリスタ共和国に行き、ウチの会社にナヤパサを独占的に売って欲しいと交渉して来いと言う事になった。

 交渉は流暢そうでもないかな日本語をあやつる通訳のパタヤさん(45歳男)がわりかしスムーズに進行してくれたお陰で、結構とんとん拍子に我社に独占販売して戴けるの契約を交わす事に成功。

 トリスタ共和国のナヤパサ栽培を統括する、日本でいうところの大地主で権力者のカバトスさん(65歳じいさん)は契約の後、
「ぜヒナヤパサバタケをみテっテチョ〜。」
と話をフッてきたもんだから、まあ、視察しに行くとするかとなったワケだが…。

 そのナヤパサ畑ってのが、トリスタから飛行機に乗り、沖合の小さなナヤパサ専用畑へと飛ばないといけない−−−んでもって、俺とチンパンはトリスタ共和国記念空港(名前はすごいけど実はかなりショボイ空港)からすっげーオンボロな小型旅客機に乗り(俺達以外は畑で働く人間10名程いたかな…)畑へと向かったのである。

 離陸する時、機体がやたらギシギシと軋み、なんかとんでもなく嫌な予感がしたんだ…。
「この飛行機、大丈夫っすかね…?」
 俺は通訳のパタヤさんに恐る恐る尋ねた。
「ダイジョーブでござりマスル。コレ、カバトス氏のモちモノで、マイニチチャーントまったりとサラダ油タップリ使ッテ、セービサレチャッテマスから〜」
 パタヤさんは流暢な(いや全然そうじゃない)日本語を披露し笑みを俺に返した。…パタヤさん、今サラダ油って言ったよな?いやいや多分聞き間違い。そう思わなきゃやってらんねーや、マジでよーっ!
 とりあえず俺は微妙な愛想笑いで小さく頷いた。
「ま〜、ヒコーキオチタら海のウエ、オヨゲレバナントカナルデショウ〜」 
 …気楽すぎるぜ、パタヤさん。真ん中に座るパタヤさんの右隣で座ってるチンパン相原は、
「オーっ♪まさにスリルとサスペンスっ!これぞ生きてるって感じよのう〜っ♪やっふぃ〜〜っ! 」
 勤務中だと言うのに、トリスタの地酒の瓶を片手に上機嫌−−即ち酔っ払いハイテンション状態だ。
(飛行機からノーパラシュートでスカイダイブして海の藻屑になっちまえ、この酔っ払い女め…)

 俺は心で毒を吐き、舌打ちと怒り混じりのため息とぐっと堪えて飲みくだした。
 とりあえず、無事にナヤパサ畑に到着しますように…。

 そう願い飛び立った数分後、いきなりの衝撃。

 激しい機体の揺れの後、飛行機、急降下
「ア、コリャオチマスね〜。」
 パタヤさんは『お約束』チックに笑う。
「イッェーイっ!!待ってましたっ!デンジャラスなアクシデントっ!」
 チンパンはげらげら笑って雄叫びをあげる。
 
「うわぁああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜っ!!!!」
 もちろん俺は近付く死の恐怖に叫び声をあげる。これが普通にマトモなリアクションだろっ!

 ガーーンッッ!!!
と凄まじい衝撃の後、目の前真っ暗。つまり、意識が飛んだと言うワケで…………。


 で、このワケわかんねー島に流れ着いたと言うワケだ。

ナヤパサ畑の従業員の皆さんは、パイロットはどうなってしまったんだろう…。
 パタヤさんの安否も気になる…。
 みんな無事だといいが。

 俺は空を見上げた。
ふっ、俺の悲しき心を表すかのような青さだぜ…。
 ちきしょー、なんか泣きたくなってきた。

「そんなに悲しまないで下さい…。」
 俺の手をそっと握る−−−
「マジヤメテ下さいよ!日陰さん!」
 別の意味でも泣きたくなるぜ。
そんな俺を見つめて、やっぱりテヘッ♪とはにかむ日陰氏・・・

 やっぱりこのオッサン…『も〜ほ〜』じゃね?
いやいやいや!その前に日陰さん、あんた一体何者なんだ?ナヤパサ畑の従業員だとは思うが、にしちゃーこの辺りの地理にウトイ空気出てるけど…………

 不安だ…。
めっちゃ不安だよ…マジで。



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