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フラワーショップ ぺこり
作:晴天



ラッパスイセンに飛び蹴り


【ぺこりの花で愛を奏でよう】


ミチのポップは、なとなく古くさい気がしませんか?女子高生なのに・・。


ぺこりの近くにはライブハウスでがあり、通りがかる人の服装や年令それに人数でバンドの種類や人気具合が、なんとなく分かります。

ロック系、パンク系の場合は派手な女性が足早に通り過ぎるだけで売り上げには貢献してくれません。
時々、コスプレ風の集団が通ることもあって、その時は見てるだけで楽しくなってしまいます。

今日は、少し落ち着いた感じのバンドなんでしょうか、シックな装いの女性がチラホラと花束を買って行きます。
人気のほどは、中の下といった感じです。

この人も、ライブにきた人でしょうか。
黒のスーツに大きめのサングラス。
黄色いラッパの形をした、ラッパスイセンの花束を買って行きました。
ラッパスイセンの花束は、あまり葉ものや他の花で飾ることなく上品に仕上がっています。
花束を作ったミチからは想像出来ません。
鼾をかいて涎を垂らしながら居眠りはするし、与えられたお菓子は両手に持ってガツガツ食べる。
そんな人でも花束は上品に美しいのは、ある意味で詐欺行為のような気がします。

ラッパスイセンの花束を受け取った女性は、大きく香りを吸い込むと
「ありがとう」と言ってライブハウスに向かいました。



数時間後。

ライブが終わったらしく、ガヤガヤと店の前は賑やかになりました。さっきの女性も、うつむき気味に通って行きます。
手にはラッパスイセンの花束が残っています。
渡すチャンスがなかったのでしょうか。
花束には異常に執念を燃やすミチは、その女性を呼び止めてしまいました。
「お客さん、お客さん、花束に何か不都合でもありましたか?」

女性は、ミチの言葉に振り向くと苛立ったように花束を地面に叩きつけました。
それを見たミチは、いきなり女性に飛び蹴りです。パンツが丸見えになるのも気にせずに。
蹴られた女性も後ろに倒れてパンツが丸見えです。
僕は、目の前で起きている素敵な・・・いえいえ、凄い事態に呆然となってしまいました。
騒ぎを聞きつけた店長は、とりあえず二人を店の奥に連れて行きました。
僕の前を通り奥に行く二人は同時に僕を睨みつけて

「パンツ見たでしょう」と言いました。

「ミ・テ・マ・セ・ン。」僕は二人の睨みに押されて嘘をつきました。
しっかり目に焼き付いてます。


奥に入ると女性ば、まくし立てるように言いました。
「私が買ったものを、私がどうしようと勝手でしょう!なんでケリを入れられないと、いけないのよ!
アンタ、頭おかしいんじゃないの!」

ミチも黙ってはいません。
「バーカ、あの花束はアンタのもんじゃないんだよ!作ってくれた田中さんや運んでくれた伊藤さん、そして花束にしたミチさん。それから、お金をだしたアンタ。みんなの、もんなんだよ!」
田中さんが作って伊藤さんが運んだのは僕も知りませんでした。

「田中も井上も知らないよ!」女性は叫びました。

「井上さんじゃなくて、伊藤さん。伊藤雄三さんだよ!」僕はミチの反論は、なんか違う気がしました。


女性は綾子さんと言います。
ライブハウスで演奏したストリート・スウィング(ジャズ系のバンドらしいです。)のボーカリストの元カノさんだそうです。

ストリート・スウイングが活動を始めたばかりの頃に二人は出会ったそうです。
人気の出なかったバンドのライブチケットを友達に頼んで買ってもらったり、路上ライブの時は真冬でも一番前でサクラを努めたりとボーカリストを応援していたそうです。
少しづつ人気が出始めファンもそれなりに増えた頃から綾子さんとのデートの回数が減り逢えば喧嘩ばかりしていたそうです。
そうして、別れの時は訪れました。
原因は、ボーカリストの浮気です。
ファンの一人と、ついつい一夜を共にしてしまったのです。
そのことを、自慢気に言いふらすファンに激怒した綾子さんは、ファンの女の子とボーカリストに飛び蹴りです。

僕は、やっぱり飛び蹴りなんだ。っと妙に感心しました。

別れてしまうと、やはり切なくて今日のライブに来てしまったそうです。
そうして、他のファンの女の子と仲良く肩を組んで楽屋から出てくるボーカリストに呆れて花束も渡さずに帰ってきたそうです。

事情を聞き終えた店長は、「ごめんなさいね。ミチは花のこととなると見境がつかなくなるの。」そう言って綾子さんに謝りました。

「でもね。花にじっと耳を澄ませば聞こえて来るとおもうのよ。」店長の言葉に綾子さんは不審な顔をしています。
熊のようなオカマと言うだけで充分不審な上に意味不明なことを言えば、そうなるのは普通です。

「「愛してる。愛してる。貴方を愛してる。」そう言ってるの。花は、どんな人でも愛してくれるのよ。」店長は目に星を出しながら話しをしています。

「そうね。花に罪はないものね。」綾子さんは、少し落ち着いたらしく素直に言いました。
きっと、本当はすごく優しい人なんだと思います。

「そうでしょう。花は悪くないでしょう。」ミチは勝ち誇ったように言いました。

「花は、悪くないけどアンタは悪いの!」店長がミチを男らしく(オカマらしく?)叱りました。

「すいません。」ミチも素直に綾子さんに謝りました。

綾子さんの叩きつけたラッパスイセンは、ミチの手によって治療が施され少しだけ小さくなって綾子さんの手に戻りました。


************


数日後のライブの日に綾子さんはラッパスイセンの花束を買いに来ました。
今度は、別のバンドのライブだそうです。

ミチに飛び蹴りを食らった日の夜にバンドのサックスフォン担当のメンバーが家の前で待っていたそうです。
顔をボコボコに腫らして。
ボーカリストと大喧嘩をしてバンドを抜けることにしたそうです。

原因は、ボーカリストの一言。

「俺みたいにカッコいい男に綾子じゃに似合わないだろう」

サックスフォン担当は、ボーカリストに飛び蹴りです。それからは、お互いにボコボコの殴り合い。途中でドラム担当のゴツイ奴に止められたので勝敗はつかなかったそうです。

サックスフォン担当は、昔から綾子さんが好きだったのです。
しかし、メンバーの彼女に告白することも出来ず苦しんでいたそうです。


今日のライブは、サックスフォン担当が新しく組んだバンドの初ライブ。
なんと、ライブのタイトルは、

【クりスマスパーテイー!きっと君は僕を好きなる】

綾子さんは、ライブのチケットを僕たちに見せながら大笑いして言いました。

「バンドマンってなんで自信過剰なんだろうね。」

ミチも大笑いして言いました。

「飛び蹴りですね。」


僕は、二人の飛び蹴りを想像してニヤけてしまいました。

いえ、変態じゃないですよ。



ラッパスイセンの花言葉、もうお分かりですよね。

「ナルシスト」そして「あなたは、私をすきになる」でございます。







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