クリスマスリース・コットンフラワー
【フラワーショプぺこりで素敵な一日を!】
今回も、前回の続きでフラワーアレンジメントに来た人のお話です。したがって、ポップもかわりません。あしからず。
今日は、月に一度のフラワーアレンジメント教室です。
クリスマスが近いので、クリスマス・リースを作ります。
生徒さんは、近くの会社に勤めるOLの良子さん。
そして、今年結婚した真由美さん。
それから、双子の女子大生の歩さんと薫さん。
もうひとり、ご主人が単身赴任中の知世さん。
新婚の真由美さんは、コットンフラワーと小枝を使った童話風のリースを作っています。
真由美さんが初めて迎える二人のクリスマスです。
実は、真由美さんの結婚とぺこりには深い関係があるのです。
真由美さんは、大学時代から交際していた人がいたそうです。
卒業後、二人は同じ会社に就職しましたが、彼は北海道に転勤になってしまったそうです。ふたり超遠距離恋愛をしばらく続けていたのですが、真由美さんには他に好きな出来てしまいました。
同じ会社の人で、イギリスから戻って来た上司です。
お洒落で優秀な上司は、真由美さんだけではなく、会社の女性みんなが注目をしていました。
お洒落で、優秀で、その上独身とくればモテモテです。
真由美さんが、恋人のことを忘れてしまうのも無理はないです。ましてや、遠く離れてしまったのですから真由美さんを責めるのは酷というものです。
美しく、部下としても従順な真由美さんは、イギリス帰りのイケメン上司にすぐに気に入られました。
何度か食事に誘われたのですが、どうしても彼のことが気にかかっていたので、二人で食事に行くことは出来なかったそうです。
それでも、イケメン上司は真由美さんを諦めることなく誘い続け付き合って貰えない訳をしつこく聞いたそうです。
仕方なく、彼のことを言うとイケメン上司は軽くこう言ったそうです。
「問題ないよ(ノープロブラムだそうです。)」
真由美さんは、何がノープロブラムなのかその時は分からなかったのです。
その夜に、彼から電話がかかってきたそうです。
「さっき、電話があったよ。真由美はアイツと付き合っているのだね。
アイツは悔しいけど優秀で将来も期待されている。
真由美が好きになったとしても仕方がないよ。」
真由美さんは
「違う」
と言えなかったそうです。
「元気にしているの?北海道は寒くない?」
そんな、どうでも良いことを聞いてしまったそうです。
「寒いけど、良い所だよ。
真由美と離れてしまったのは悲しいけど、この街は大好きだよ。
行く時は、散々文句をいったけどね。」
彼は、悲しそうな声で笑ったそうです。
真由美さんは
「嫌だ。貴方が好きだ。」
心の中で叫ぶのに声にならなかったそうです。
「ごめんね。」真由美さんは、それしか言葉にならなかったそうです。
その時の真由美さんには、彼に会えない寂しさにイケメン上司の誘いがとても魅力的だったのです。
僕は、なんとなく悔しい気がしました。まだまだ青二才ですから。
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真由美さんとイケメン上司の交際は、順調で半年後には結婚という超スピードで進みました。
結婚式場の花は、ぺこりの飾り付けです。テーブルからブーケまで和美さんが腕によりをかけて上品に飾られました。
そして、もうひとつ店長が腕によりをかけて作った花束が店の奥に残っています。
前の晩に彼から電話があり、店長の名前で花束を届けて欲しいと言うのです。
自分から花束が届くと折角の結婚式が台無しになるから、自分の名前は出さないで欲しいと言うのです。
そっとでも、彼女の結婚を祝ってあげたい。
それが彼の気持ちだそうです。
僕には男らしいのか女々しいのかわかりません。
自分ならどうする?
やっぱり、その時にならないと分かりません。
そして、店長の作った花束は、もうひとつ。
バラのドライフラワーで作ったウエデイング・ブーケ。
真由美さんが、頼んだそうです。
これは、結婚式が終わるまで店に置いといて欲しい。そして、結婚式が終わったら捨てて欲しいと言われたそうです。
北海道にいる彼との愛のために頼んだのでしょう。
持つことのないブーケ。
ドライフラワーで作るブーケ。
店長は、ふたつの花束を前にして腕を組んだまま1時間以上動きません。
こんな熊の置物があっても誰も買わないだろうと僕は思いました。
そして、熊の置物は突然動き出しました。
電話を、1本かけると花束をもって結婚式場に走りだしたのです。
すごい形相で、サイモントとガーファンクルの「ミセスロビンソン」を歌いながら車を走らせました。
もちろん向かった先は結婚式場です。
怖いです。
歌いながら怒る熊を見たことがありますか?
想像してみて下さい。
今晩の夢に出ますよ。
結婚式場に着くと、花束をふたつ持った店長がドアをドンドン叩きます。
そうです。「卒業」の名シーンです(知らない人は調べてね)。
でも、ドアは開いているので、叩いた勢いで店長はケーキに入刀しようとする二人に突進して行くことになるのです。
その後は、当然のごとくケーキに突っ込みクリームだらけになります。
「それでいいのか?」店長は真由美さんに彼からの花束を渡し言いました。
真由美さんは、彼から贈られたコットンフラワーの花束を手にすると
「違う。」
そう言ったそうです。
店長は、真由美さんの手を引くと車に乗せて飛行場に向いました。
飛行場につくと真由美さんを北海道行きの飛行に乗せたそうです。
そして店長も車でしばらく行方をくらましました。
その後、新郎・新婦のご両親からの怒りに対して、和美さんと僕とミチは頭を上げる暇がないぐらいにペコペコと謝りました。
それ以来、その結婚式場からの注文はありません。
今でも。
そして、ほとぼりが冷めた頃に店長は、コットンフラワーを大量に持って店に戻って来ました。
ニコニコと、
「コットンフラワーの花言葉は 優秀な人 何が優秀かは、分からないけど。」
・・・・・・・・・一同無言です。
あ、今のご主人はもちろん、大学時代からの彼ですよ。
そして、転職をして北海道からこの街に戻ってきました。
なかなか、優秀なご主人です。
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