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  平凡少年が幻想入り 作者:コロンブスの鶏
お久しぶりです。本当にお久しぶりです。
長らくお待たせしてしまい、本当に申し訳ありません。
受験終わりましたんで、早速投稿しました。
久しぶりなのに低クオリティですいません・・・
妖怪化



俺の部屋の壁には、ⅠからⅩの数が書かれた紙が張ってある。
はたから見るぶんには何の変哲もない普通の紙だが、もちろんそんなわけはない。

名前をつけたわけではないが、あえて言うならば『転移方陣』と言ったところか?
その紙自体が膨大な構築式を含んでおり、ある条件を満たすことによって、対になる
紙が張ってあるところに移動することが出来る。そのある条件はもちろん一枚一枚違い、
日常でありそうな行動から絶対にありえない行動まで幅広く設定してある上に、
ある規則性に則った上で毎日ランダムのように変わるので、完全な解読はまず不可能だろう。

しかもこの紙は燃えず、濡れず、汚れず、破れず、切れず、朽ちず、折り目すらつかない。
頑丈に作りすぎてしまったのか、油断しているとたまに指を切ったりする。痛い。

Ⅰ~Ⅲの紙は、薬や毒、その他医療に関係する物の研究をする場所だ。
Ⅳ~Ⅵの紙は、ナノマシンから兵器にいたるまで、機械に関係する物の研究をする場所だ。
Ⅶ~Ⅸの紙は、能力の把握や作った物の実験に使う空間に繋がっている。
Ⅹの紙は・・・まだ秘密にしておこう。説明するにはまだ早い。

さて、ここまで説明すればもうわかっているとは思うが、俺たちは今からこの紙を使って
移動することになる。まあ簡単に言えば、夜になると起こる慧音の妖怪化を何とかするために
どこか開けた場所に移動しなければいけないというわけだ。普通に妖怪の山とかに移動しても
別に良いっちゃ良いんだよ、俺と紅は。けど慧音が全力で嫌がったから紙を使うことにした。

「さて、説明も終わったことだし早速移動するぞ」

「はいっ!」

ただいまの時刻は七時半を少し過ぎたところだ。半人半妖の妖怪化は夜八時ごろから始まる
(って藤見が教えてくれた)ので、ゆっくりしている暇はない。家の中で自我を失くされると
面倒くさいことになる。主に置いてある者が壊される又は慧音が硬いもの殴って自爆するとか。
ちなみに硬いものの中に私たちも含まれております。

今回使う紙はⅦの紙だ。これが繋がっているところは妖怪の山の上空にある。
上空500メートル付近に作った、高さ10メートル弱、縦横200メートルほどの空間は
妖怪化を抑える訓練をするにあたっては十分すぎる広さだろう。

妖怪の山にも一つ戦闘できる空間は作ってあるのだが、あそこだと色々不都合がある。
地下深くにあるので夜に起きる妖怪化があまり出なかったりと、いろいろだ。

「んっと、今日の条件はなんだっけか?」

横で眠そうにあくびをしている紅に聞く。

「ん~っと……『りんご飴を右手に持ちながら左手の中指と小指で触れて七秒待つ』だな」

「めんどくさっ。誰だこれ考えたやつ」

「突っ込まんぞ」

「あ、俺か」

「素だったのかよ!」

「馬鹿め!引っかかったな!」

「ちっ!これで7834勝9772敗か」

くだらない会話をしている間に右手にりんご飴を創造する。
わかっているとは思うが、直径10cm以上じゃないと意味が無いので気をつけるように。

あと青りんごでも駄目だぜ?真っ赤なちk……リンゴじゃないと。







はい、着きました!妖怪の山の上空です!眺めがとてもいいです!

「ひゃあああああああ!!」

いや、あれだね。里の人たちが眠り始めているこの時間帯は静かでいいね。
多少気温が高いが、夜の冷たい風が適度に冷やしてくれる。いやはや気持ちのいいことだ。

「あっ、ひゃ、ひぃ、ふぇえええええ!」

んで、その気持ちのいい時に、なんとも癒されるような可愛い悲鳴を上げているのは、
もちろんのことみんなのアイドル、慧音だ。小さいころの藍には及ばずとも癒される。

さてさて、慧音が悲鳴を上げている理由はみんな知っているとおり、ここが上空だからだ。

想像してみてほしい。地上500メートル付近で体を支えられているだけの自分の姿を。
ここから落ちたら即死は免れないという恐怖で足が竦んで泣きたくなってくるはずだ。

え?空間があるんじゃなかったのかって?馬鹿だなあ、いつもあるわけ無いじゃないか。
地下ならまだしも、上空に大きな四角い箱のようなものが浮かんでいたら不自然すぎるだろう。

空中に浮いているⅦの紙をスッと縦になぞる。するとあら不思議、空間が出来上がりました。
中から見ると広い部屋のようになっているのに外から見ると何も無いようにしか見えない。
透明ならぶつかるやつがいるんじゃないかって?いやあ、この場所だからね。
天魔の住居である一本杉の上にあるこの空間に近づく恐れ多いやつなんていないし。
いるとしてもよっぽどの馬鹿か命知らずなだけだ。あ、俺たちは別だぞ?許可取ってるし。
まあ許可をくれなくても作るつもりだったがな。

ちなみに慧音、俺の胸に顔をうずめて震えているので空間ができたのに気がついていない。
もうちょっとこのままでm「零」ちっ、嫉妬かこのやろう。

「慧音、もう離れても大丈夫だぞ」

恐る恐る下を見て、足場があるのにホッとしたのか、その場に座り込んでしまう。
なんだろう、数百年ぶりに俺のドS心に火がつけらr「零」鎮火された。



慧音落ち着き中……



「さて、時間も無いのでさっさとやり方を説明しようか」

「誰のせいで時間がなくなったのか説明してやろうか?」

「正直すまんかった」

慧音が恨みがましい目でこちらを見ている。ちょっと罪悪感。
しかしマジで時間もなくなってきたのでスルースキル発動。これにより文句は(ry

「いいか?慧音がやらなきゃいけないことは一つ。自我を保つことだ。
 妖怪化が始まったら意識を保つことだけを考えろ。他の事は二の次だ。
 足掻いて足掻いてそれでも駄目だったら俺たちが止める。その辺は安心しろ」

「あの……具体的にはどういう風にすればいいのでしょうか?」

どういう風にって言われてもなぁ……説明しづらい。

「あ~っと、なんつうんだ、嫌がれ」

「嫌がる?」

「ああ。本能的に俺たちを殺して食ってしまおうっていう考えに支配されるだろうが、
 それを本気で嫌がれ。半分は人間なんだから、本能を抑えることはできないわけがない。
 または楽しいことを考えろ。あとはもう慣れるしかない。さ、そろそろ立ったほうがいい」

妖怪化が始まるころだ、と言葉をつなげようとした瞬間、慧音が頭を抑えて蹲った。

「あ……アぁ…!?」

瞳が徐々に紅く染まり、なにやら頭を押さえた指の隙間から角が生えてきている。

「慧音!気をしっかり保て!」

慧音は呼びかけに応じず、呻き声を上げて立ち上がった。瞳は完全に紅に染まっている。
角の伸びが止まると同時に、慧音は紅に向かって突っ込んでいった。

紅は慧音の突進を数度避け、完全に自我を失っていることを確認すると、さっさと気絶させた。
ちなみに、首の後ろを叩いて気絶させるやりかたは達人じゃないと危険です。よい子は(ry

「ま、最初からできるわけが無いか」

紅はふぅ、とため息をついて、床に慧音を寝かせた。
俺は寝ている慧音を包むように、妖怪化沈静(たった今命名)の結界を張る。

「おーおー、逆再生を見ているようだ」

聳え立っていた二本の角はシュルシュルと頭の中に戻っていき、やがて見えなくなった。
目を閉じているのでわからないが、おそらく瞳の色も元に戻っているだろう。

「ところで紅よ、慧音が俺より遠いところにいたお前に攻撃しに行ったということは、
 慧音は自我を失おうとも決して俺を攻撃したくは無かったという意味でいいのだろうか?」

「気持ち悪いから触りたくも無かったと捕らえるのが妥当だな」

「お前ハイスラでボコるわ・・・」

「その話はおいといて、そろそろ起きるぞ」

「おや、ずいぶんと早いな」

「結構軽めに叩いたからな。3,2,1「うぅ……?」な?」

紅のカウントと同時に気絶していた慧音が目を覚ました。
が、まだ焦点が合っていない。おーい、こっち見ろ。

「あ……お兄様」

「あー、まだ動かなくていい。それよりどうだ?妖怪化したときのこと何か覚えてないか?」

慧音はふるふると首を振った

「……わかりません。何も考えることができなくなって、すぐに意識を失いました。」

「そうか……「でも」あ?」

「お兄様の声が聞こえた気がします」

俺の声が聞こえたってことは、意識が完全になくなるわけでもないってことだな。
じゃあ呼びかけ続ければさっきよりはよくなるんじゃないだろうか?

「よし、じゃあ慧音。さっきと同じ要領でもう一度やってみるぞ。
 三つ数えたら妖怪化がまた始まるから、がんばって気を保て」

「はい」

慧音を立ち上がらせ、俺は少し離れたところでカウントする。

「行くぞ。1,2,3,解除ッ!」

再び慧音の頭から角が生えてくる。ところであの角はどういう風に収まっているのやら。
レントゲンで見たら面白いことになってそうだな。

「ヴアァ!」

淑女が出してはいけない声を上げながら突っ込んでくる慧音。
結構なスピードなので目が怒り状態のナルガ○ルガと化している。

とはいえ音速にすら達していないわけで。

ガシッ!(両手首を掴んで止めた音)

ガブッ!(首を噛まれた音)

グリッ!(肉を噛み千切ろうとする音)

「あだだだだだだっ!早く正気に戻れ肉が千切れるように痛いィ!」

これはやばい洒落にならないくらい痛い。痛みで能力使えなくなることは無くても
痛いモンは痛い。余裕ぶっこいて筋肉ゆるゆるだったせいでおくまで刺さって尚痛い。
しかも妖怪化のせいで歯も尖ってきてるからさらに痛い。

「落ち着け!正気に戻れ!ああああああああ頚動脈に達するぅぅぅ!」「ぷっ」

ヤバイヤバイヤバイ脳に血液いかなくなったらさすがに能力使えねえよバカヤロー!
そして笑ってんじゃねえクソヤロー!これ終わったら絶対泣かす!むしろ殺す!

「慧音ェ!抵抗しろ!自我を取り戻せ!そして歯を離せ!」

「ぅ……ァ」

必死の(マジで必死の)呼びかけが届いたのか、あごの力がほんの少し緩まった。

「よーし!そうだ、抵抗し続けろ!がんばれ!」

「ぉ、兄……様…?」

徐々に首から歯が抜けていく。首に開いた穴から流れる血が着物を赤く染めていく。
ごめん嘘言った。赤というかどす黒いわ。傷ついたの静脈だったみたい。

んなこと言ってる場合じゃねえよ!

「そうだ!もう少しだ!本能を押さえつけろ!」

「う、あ……ア゛」

完全に歯が離れると同時に、慧音はその場に崩れ落ちた。

「よっと」

地面につく前に体を支える。本能に打ち勝つのは予想以上に精神力を消耗したようだ。
起きても大丈夫なように妖怪化沈静の結界を張り、口についた(俺の)血をぬぐってやった。

「とりあえずは成功ってところか」

命の危機に瀕した俺を助けようともせず笑っていた男がいい笑顔で近づいてきた。
とりあえず、アレだ、うん。

「バルス!」

「目がぁ!目がぁぁぁぁぁぁ!」

目潰しからのぉ~

「右ストレートォ!」

このままッ!!親指を!こいつの!
目の中に…………つっこんで!殴りぬけるッ!

「なっ!何をするだァーーーーーッ!ゆるさんッ!」

「紅ォォォォーーーーッ!君がッ、泣くまで、殴るのをやめないッ!」

「よ、よくも……よくも。よくも!このぼくに向かって…このきたならしい阿呆がァーーッ!」

「UUURRRRYYY!!」

「貧弱!貧弱ゥ!」

結局、起きた慧音に止められるまで壮絶な殴り合いは続いた。
※後日談



「慧音、寝る前に風呂入って来い。汗びっしょりだろう」

「はい。どこにありますか?」

「廊下を突き当たって右にある。着替えは置いておくからゆっくり浸かって来い」

慧音をさっさと送り出し、部屋に布団を敷いておく。
部屋はいくつか余っているので、そのうちの一つを慧音の部屋にしたのだ。
必要最低限のものはそろっているし、特に問題は無いだろう。

さて、お茶でも飲m「あの……」「んぁ?」

後ろを振り向くと、風呂に送ったはずの慧音がシャンプー片手に立っていた。

「見たことの無いものがいっぱいあるんですが……どう使えばいいんでしょうか?」

……しまった、失念していた。

「あの……もしよかったら、一緒にお風呂に入って、説明してくれませんか?」

茹蛸のように顔を真っ赤にしながらもじもじと言う慧音。
……kneg?

その後割りと強引に風呂場につれてこられ、結局一緒に入ることになった。

……なにもしてないよ?ホントだよ?


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