第2話 漁師のウィル
第2話です。
本日は、アキバから離れた、島での物語。
今回のテーマは、大地人と冒険者の交流。
それではお楽しみください。
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まだ日が昇ったばかりの朝の早い時間。
どこまでも続く青い海の上にウィルたちの漁船は浮かんでいた。
「網を上げるぞ!全員、配置につけー!」
「がってんだ!」
ウィルの掛け声に、22人のたくましく日焼けした男達が応える。
「せーの!」
掛け声を合わせ一気に網を引き上げる。
「取れたぞ!大漁だ!」
網の中には無数の魚。魚。魚。
いつもの倍はある、大漁だった。
「すげえや!これならダイハチの旦那衆も納得すんだろうよ!」
その結果に、男達は歓声を上げる。
だが、その歓声は、若い見張りの漁師の声で途切れた。
「鮫だ!鮫が出たぞ!」
遠くの波間に突き出た、藍色の背びれ。
それはぐんぐん速度を上げて、船に迫ってくる。
「網元、〈船喰鮫〉(メガロドン)ですぜ!」
ウィルの傍らにはべる、ウィルより10ほど上の漁師、タッカーがウィルに言う。
〈船喰鮫〉はこの辺りの海に住む、厄介なモンスターだ。
人食鮫を更にでかくした姿をしており、その名の通り、船を喰い壊して中の人間を貪る。
奴に齧られ、叩かれて沈んだ船は多いし、そうなれば、ほぼ確実に奴の餌だ。
「慌てんな!船を逃がすぞ!」
ウィルが怒声を上げ、漁師達を抑える。
その声にはまだ少年の殻を脱ぎきっていない青年とは思えぬほどの迫力があった。
ウィルは齢19にして、荒くれ揃いで知られるハツシマ島の漁師を束ねられるほどの
島で2番目の力量の持ち主。
アタミの領主様の親衛隊にも匹敵すると言う力は、ダテじゃなかった。
その言葉に、漁師達も平静を取り戻し逃げる準備にかかる。だが。
「ダメだ網元!あいつ、はええよ!かわしきれねえ!」
追ってきてるのはどうやら〈船喰鮫〉の中でもかなり大型の部類らしい。
かなり船足の速い漁船を捕らえ、確実に追ってくる。
「ちっ…しゃあねえか」
〈船喰鮫〉くらい、この船の荒くれどもの力なら追い払えなくも無いが、
それをやってる間に船が傷む。
まだ造って10年ほどしか経ってない大事な大事な漁船が痛むのは忍びない。
故にウィルは決意した。間違いなく島で最強である彼女の力を借りることを。
「全員モリ持って来い!それと…ババアだ!ババア呼んで来い!」
恐らく今は船倉で、取った魚を仕分けているであろう彼女を呼んでくる指示をする。
「へ、へぇ!」
慌てて頷くタッカー。
だが、その前に、低めの、だが確実に男の声じゃない声がかけられた。
「ちょいとうるさいよ!年はともかくあたしにゃあアカシアって言う
立派な名前があるんだ!ババア呼ばわりすんじゃないよ!」
そう怒りつつやってきたのは、荒くれだらけの船には似つかわしくない存在だった。
肩口で短く切りそろえられ、ポニーテールにまとめられた銀色の髪。
真夏の強い日差しをあびても一向に日に焼ける気配が無い、真っ白な肌。
彼女は上には控えめな乳房を隠すようにぴったりした布をまとい、
両腕には不可思議な紋様が刻まれた黄金の腕輪を、腰には短い布を巻いている。
短い布から伸びるのは、すらっとした細い足。
可憐な立姿は、人の身に化けた人魚の姫君を思わせる。
だが、その、少女の正体を如実に語るものは、彼女の手の中にあった。
彼女が手にしているのは、彼女の背丈を越えるほど巨大な三叉槍
海をそのまま固めたような、透き通るような青石で出来たそれには、
一切の継ぎ目が無い。
まるで、金剛石の次に硬い宝石である青石の大岩から削り出したとでも言うように。
明らかに人ならざるものの手…
海底に住まう、海の王が直々に彼女に与えたと言う三叉槍が彼女が何者かを告げていた。
ハツシマ島にただ1人住む、〈冒険者〉。
それがアカシアと言う女性だった。
「うっせえ!船には乗せてやってんだからきっちり働けババア!」
100人の男が見たら100人が美しいと言うであろうアカシアをウィルは怒鳴る。
ウィルを含め、ハツシマ島の人間ならばみんな知っている。
アカシアが既に75年生きていること。
(あくまで彼女の自称だが、その知識の深さと慧眼は、
彼女が少なくとも見た目どおりの年でないことを告げていた)
不老不死の存在たる〈冒険者〉を体現した存在であることを。
「まったく、口の減らない坊主だ…ふん、あのサイズだとレベルは45ってとこ
…ちょいと苦労するくらい、だね」
どこか楽しそうにウィルに軽口を叩きながら、這い出した背びれを見て、瞬時に判断する。
「さすが姐さんだ!〈冒険者〉の名前はダテじゃねえ!」
「頼みましたぜ!アカシアの姐さん!」
「ただし、海じゃあ何があるか分からない!あたしが戦ってる間は離れてな!
もしあたしが負けたら、ちゃんと逃げるんだよ!あたしゃ死なないんだからね!」
盛り上がる野郎どもを尻目に、真面目な表情を作って、
アカシアは漁師たちにいつもの台詞を言う。
「分かってるよ!嫌味かババア!お前が負けるわけねえだろうが!」
その言葉が、ウィルを苛立たせた。ウィルは知っている。
目の前の彼女が鮫なんぞには絶対に不覚を取らないと。
「…っは!相変わらず口がなっちゃいないね!じゃあ、ちょっくら行って来るよ!」
苦いものでもかみ締めたような顔のウィルにアカシアは少しだけ笑い、
そのまま海に飛び込む。
…トプン
人の飛び込んだ音にしてはあまりに幽かな音。そして。
「相変わらずはええなあ」
「人魚でもあそこまで早くは泳げねえよ」
水中から一切顔を上げず、アカシアは泳ぎだす。
その速度は鹿が大地を駆けるのよりも遥かに早い。
「水ん中極めたって言うの、アレ絶対マジだよな」
アカシアは船に乗るようになってからしばらくした頃、
初めて〈船喰鮫〉狩りをした時に、彼らに言った。
心配すんな。〈海女〉を極めた自分は海ん中じゃあ陸の上よりずっと強い、と。
その言葉に嘘はなく、海の中ではあらゆるモンスターが彼女に狩られる獲物となった。
「あ、始まった」
弾丸のごとく放たれた、巨大な三叉槍の突撃を喰らった〈船喰鮫〉が
鼻面から血を流しながらのた打ち回る。
そして船を追うのをやめ自らの1/10程しかない小さな生き物に
力の差を教えてやらんと暴れまわる。
激しい波しぶきが舞う、1頭と1人の力比べ。それはおよそ5分間続き、そして。
ドッパーン!
教えられる側にまわされた〈船喰鮫〉が、空を舞った。
腹に人間つきの巨大な槍を突き刺して。
至近距離からの強烈な絶命の一閃。それはただの一撃で〈船喰鮫〉の体力を奪いきった。
「ひゃっほう!やりやがったぜ!これで姐さんの5連勝だ!」
海に落ち、腹を上にして浮かび上がった鮫の上に、勝者が立つ。
槍を引き抜き、海へと飛び込む。そして。
「ただいま。良い子にしてたかい?坊主」
「うるせえよ!つーかなんで鮫ごともって来るんだよ」
水中から抱え上げて鮫を船まで運んできたアカシアが、
鮫との戦いであちこちに出来た傷に魔法の傷薬を塗りこめながら、こともなげに言う。
「ああ、コイツも持ち帰っておくれ。
茜屋さんが言うには、牙と皮が結構良い値段になるらしいんだ」
捨ててたと言ったら、物凄くもったいないと言われた。
売るアテがあるなら、絶対に持ち帰ったほうが良いとも。
「わーったよ!」
ウィルがやけくそ気味に答えた。
こうなっちまったら、断っても仕方が無い。
そんなことしたらこのババアは鮫を担いで島まで泳ぐ。
それくらいは出来るし、やることを知っていたから。
『第2話 漁師のウィル』
1
「こんにちは。大漁だったようですね」
ハツシマ島唯一の港に帰ると、まだ早朝にもかかわらず港には既に男性が来ていた。
エルフ族特有の長い耳を持つほっそりとした男性だ。
その傍らには身の丈20m近い巨大なロック鳥が侍っている。
クエエエエエエエ!
船から降りてきた漁師に反応し、ロック鳥が鳴き声を上げる。
「ダイハチの旦那!大漁ですぜ!」
このハツシマ島に、アカシア以外の〈冒険者〉が訪れるようになったのは、
アカシアが着てから1ヶ月ほど後のことだった。
名は、鳥丸。いつもアキバの街から1時間ほどかけてこの島にやってくる召喚術師だ。
この〈第8商店街〉と言う家門に属する、アキバの街の〈冒険者〉商人は
この島で取れる魚に相応に高い値をつけて買い取っていた。
「ええ。素晴らしい。新鮮な魚は〈冒険者〉に大人気ですからね。
おかげさまで料理が広まった最近はイースタルでも売れてますけど」
丁寧に対応しながら、満載された魚を検分するために船に近寄っていく。
そして近づいて、気づいた。船が取ってきた珍しい獲物に。
「…っと、それはもしかして〈船喰鮫〉ですか?アカシアさんが?」
こんな真似が出来るのは、〈大地人〉ではありえない。
鳥丸はそう判断し、アカシアに尋ねる。
「ああ、今までは肉が臭くて食べられたもんじゃないから捨ててたけど、
コイツも売れるんだろ?」
「捨ててたんですか!?もったいない…」
そしてあっさりと帰ってきた答えに、鳥丸は目をむいた。
「私は食品専門なんでちょっと専門外ですがちょっと見せてもらいます
…万年牙が生えてますね。これなら皮と牙で…」
貴重なドロップを捨てられては商人としてはたまらない。
鳥丸はしっかりと検分し、それが貴重なお宝持ちであることを確認する。
捨てられなかったことに安堵しつつすぐさま魔法の鞄から算盤を取り出し、
珠算3級の腕前ではじき出す。そして出た答えは…
「へぇ。こりゃ驚いた。そんなになるもんなのかい?」
鳥丸の示した額は、モンスター1匹分としては、随分と破格の申し出だった。
アカシアの言葉に鳥丸は頷き、答えを返す。
「ええ。〈船喰鮫〉の皮は丈夫な皮製品とおろし金に使えますし、
〈船喰鮫〉の牙は加工すると結構強いダガーになるんですよ。
特にレアドロップの万年牙から作るダガーなら90レベル環境でも
充分実用レベルですからね。需要はあります。
まあレアドロップなんで万年牙は基本的に滅多に出ませんし、
万年牙なしなら買い取り査定は今回の1/6ってとこですけど」
「へぇ。そんなもんなのか。じゃあ、今回は運が良かったんだね。
まあ、1/6でも1回の稼ぎとしちゃあ悪くないけど」
「はい。それじゃあ、引き取っていいですか?」
「ああ、持ってきな。どうせあたしにゃあ無用の長物だ」
アカシアが頷き、鳥丸に承諾の意思を伝える。
「はい。ではウィルさんには金貨で12,000枚。アカシアさんには6,000枚となりますね」
「おう」
「ああ、ありがたく貰っとくよ」
そして鳥丸はこのときのために持ってきた金貨の袋を2人に渡し、相棒のロック鳥に言う。
「ピースケ。先に運び出しといて。商店街のみんなが、新鮮な魚を待ってるから」
クエエエエ!
一声承諾の意思を告げたロック鳥が船の上に用意された網ごと魚を持ち上げ、
アキバの街へと飛び立つ。
ピースケの翼なら、アキバまで1時間。太陽が昇りきる前にアキバにたどり着ける。
「では、また頼みますね。
私はこれから牙と皮を剥がしてもって行かなければならないので、これで失礼します。
あ、それと、アカシアさん。これどうぞ。プレゼントです。
アキバで仕入れて来た品ですよ」
鳥丸はそう言うと何かの入ったビンをアカシアに渡す。
「なんだこりゃ?」
覗き込んだウィルは首をかしげた。
ビンの中には、黒い水が入っていた。
この商人は人がいいから、多分それなりにいいものなんだろうが、
なんなのかは分からない。だが。
「おい…こりゃあまさか醤油かい!?」
アカシアが珍しく興奮して、鳥丸に問う。
その問いかけに、鳥丸は笑顔で頷いた。
「ええ、まだまだ代用レベルですけどね」
「ありがたいねえ。常々取れたてをわさび醤油で食べたいって思ってたところなんだ」
「ええ。だと思いまして」
「あんた、若いのに分かってるじゃないか」
2人して何か完全に通じ合ってる2人が気に入らない。
そう感じて、苛立ちながらウィルはアカシアに話しかける。
「おい、ババア」
「だからババアじゃなくてちゃんとアカシアって呼びな」
「こいつは一体なんなんだ?」
アカシアが受け取った黒い水の入ったビンを指差し、問いかける。
それに、アカシアは済ました顔で答えた。
「ああ、だから、醤油さ。魚をうまく食うためのものさ」
「うまく?塩焼きとか浜汁よりもか?」
思わず声が上ずる。
このアカシアが村のかかあ連中に、新しく分かったが自分じゃ作れねえと言って、
うまい魚の食いかたを教えたのは、商人がやってくるようになる、少し前のことだ。
初めて食った時は感動すらした。
今まで食っていた魚には存在しない『味』ってもんがあった。
それだけに、アカシアの言葉にはいやでも期待が高まる。
「ああ、うまい。と言うよりその2つも醤油さえ使えばもっとうまくなるし、
生で食ってもいける。確か魚を捌くのは漁師ならできるんだろ?」
「まあ、そりゃあな」
漁師にとっては魚の加工も必須のスキルだ。
「だったら次の漁を楽しみにしときな。坊主に最高のメシ食わせてやるよ」
そう言うと、アカシアは不敵に笑顔を向けた。
ごくり。思わずウィルたち漁師の喉がなった。
2
数日後。
「驚いたぜ。まさかショウユをかけただけの生の魚があんなにうめえとはな」
船の上で、ウィルはアカシアに正直な感想を漏らした。
びっくりするほど旨かった。
アカシアが山で探し出してきた辛い根っこと一緒に食うと、格別だった。
ちなみにウィル以外の連中はまだまだ食っている。
今日の獲物を喰い尽かさんばかりの勢いだ。
「漁師の特権ってやつさね。本当に獲れたてんときじゃないと、
あそこまでうまくはならないからね」
ウィルの言葉が嬉しかったらしい。
少しだけ照れつつも、誇らしげにアカシアはウィルに言った。
「やっぱり海にゃあ詳しいんだな」
流石は海に生きる〈冒険者〉といったところか。
そんなことを思いながら、ウィルはアカシアに対する賞賛の言葉をつづる。
そしてアカシアは。
「そりゃあそうさ。あたしは初島の漁師の娘だったんだからね」
ぽろりと、そんな言葉を漏らした。
その言葉に、ウィルは硬直し、それから、改めて問いかけた。
「…マジか?〈冒険者〉なのに?」
想像の埒外だった。〈冒険者〉に故郷があるなんてこと。
ましてやそれが、このハツシマ島だと言うことに。
ウィルの反応を見て、何かに気づいたのか、アカシアは黙る。
そして、少しして、ゆっくりと話し出した。
「…ず~っと昔の話さ。なんせあたしが島を出たのは15の時だったからね」
アカシアの脳裏には、随分と古い記憶が頭をよぎっていた。
本当に色々あって、古ぼけすぎて、もう余り思い出せないような、60年分を。
「15?確かお前、前に年聞いたときは…」
「ああ、今年でもう75さ。15で島を出て18であの人と結婚して…55年添い遂げた」
都会の暮らしに憧れて、故郷を飛び出し、いっぱしに恋なんてものをして、幸せに暮らす。
そんな、あの頃から今までずっと、幾らでもあったよくある話を。
「添い遂げた…お前の旦那は今、どうしてるんだ?」
一方のウィルには、分からなかった。
なんで過去形なのかが。
「亡くなったよ。病気も怪我もボケもなくぽっくりと逝けたから、まあ幸せさね」
アカシアの答えに、ウィルは更に混乱する。
当たり前と言えば当たり前の答えだ。
ただしそれを…〈大地人〉が言ったのなら。
「…なんでだよ?〈冒険者〉ってのは、ずっと年取らないんだろう?
だからババアだってその姿で…」
ウィルの、何気ない一言。
それを聞いた途端。アカシアが初めて動揺する。
分かっていた筈のことを、改めて突きつけられて。
「…あの人は、〈冒険者〉なんかじゃなかったからね」
どういえば分かってもらえるのかは分からなかったから、ぼかした答えを返す。
「〈冒険者〉じゃない?まさか…〈大地人〉だったのか?」
そして、2人の認識はずれる。
だが、アカシアはあえてそれを直そうとはしなかった。
そんなことをしたら、今までの島の連中との暮らしまで嘘になりそうな気がして。
「ま、似たようなもんさね。必死に働いて、あたしと2人で子供5人育てて、
普通に年とって…孫と曾孫に囲まれて、死んだのさ。幸せだったよ。
あたしも、あの人も」
だからせめて、あの人のことは正直に言った。
55年分のことまで嘘をつくのは、あの人に対する裏切りに思えた。
「…そっか。じゃあ、なんでババアは〈冒険者〉になったんだ?」
ウィルのほうもまた、質問を変えた。
なんとなくだが、分かった。アカシアは本当にその人を好きだったこと。
そしてその好きな人は…本当にいなくなったってことを。
「なんで、か。そうさね。強いて言うなら、寂しかったから、だろうね」
少し考えて、アカシアはその答えに達する。
「寂しかった?」
「ああ、そうさ」
頷いて、彼女が〈冒険者〉になったときのことを思い出して語る。
そう、ほんの…1年と少し前の出来事を。
「子供どころか孫まで立派に育って、あの人も逝っちまって、
もう何も心配がなくなったらね、えらい寂しくなったんだ。
ああ、もう、自分は“終わり”なんだなってね。
あの人がいなくなって家に1人だったしね。
だから…とにかく新しく何かを始めたかったんだよ。
今まで知りもしなかったようなことをね。
そいで、そういうのに詳しい曾孫に色々聞いたりしてね。
…まさかこんなことになるなんて、思っちゃいなかったけど」
家から出るのも一苦労だったからこそ、アカシアは冒険に明け暮れた。
一応ギルドに席を置いているだけのソロプレイヤーだったが
アキバじゃそれなりに有名だった。
主に〈冒険者〉としての功績以外のところで、だったが。
「そっか…じゃあ、ババアは何でハツシマ島に着たんだ?」
「ああ、そりゃあね。恥ずかしい話だけど、逃げたかったのさ」
あの日事態のことより、それからの1週間の間の方が、辛かった。
あのときのアキバの様子は、失った後、することもなく淀んでいた頃が
思い出されてしまったから。
「逃げたかった?」
「ああ、大災害の後のアキバは酷い状態でね。いい若いもんが腐った目をしてて
…あたしには耐えられなかった。
んで、逃げるとなったら、大災害前に来たとき気に入って、海が綺麗だった、
この昔捨てた古巣しか思いつかなかったんだよ」
話が終わり、遠く、青い海を酷く眩しいものを見るように眺める。
潮の香りがする、美しい少女の横顔には、つぅっと一筋の涙。
ウィルにはその涙は何か、すごく綺麗なものに見えた。
「捨てた…島をか…」
ウィルは考えたこともなかった。海を、島を捨てるなんて。
だが、確かに分からないでもない。
〈大地人〉の間では、〈冒険者〉になるなんて、
平民が王様になる方がまだ可能性があると言われるくらい、とんでもない代物だ。
そんな大層なものになるのなら、
いつまでもこの島で暮らしているわけには行かなかったのだろう。
そう納得し、ウィルは黙って、アカシアの話に耳を傾ける。
「そうさ。だから、故郷は簡単には捨てちゃいけないよ。
一回捨てると、拾うのには長い長い時間がかかるから」
その顔には、ウィルには良く分からない、色々なものが含まれていた。
長い歳月で、石が波で洗うわれるように丸くなった感情の数々。
それが若い少女にしか見えぬアカシアに、年輪を刻んでいた。
「捨てねえよ。つーか捨てられるか。俺は、網元だぜ?
捨てたら、海を愛して海で死んだ親父に顔向けできねえ」
つっ、と目を逸らし、ウィルは言う。
「…やっぱり男の子だねえ。親父さんの志とこの島、大切にしてやんなよ。ウィル」
そんなウィルを見るアカシアの瞳は、とても優しい。
見たことがあった。それは母親が大人になった息子を見ているような目だ。
そのことに気づいたとき、ウィルはそれが嬉しくもあり…何故か悲しくもあった。
「ああ、もちろんだ。俺は、この島で生きていく。何があってもな」
とにかく、アカシアを喜ばせたかったのと、改めて決意するために、
ウィルはその言葉を口にする。
ここは、俺の海だ。
親父も、じいさんも、その前のご先祖さまもこの島で生まれて漁師になり、
この島で死んだ。
どの道ずっとここで、漁をして生きていく。それだけは、確かなのだから。
3
そして、日々は巡る。夏の終わりの、その日まで。
船は、いつもどおりに漁をした。そして、その終わり。
「おい…なんだありゃ…?」
異変に気づいたのは、見張りだけではなく、船の中の人間、全員だった。
「め、〈船喰鮫〉…だよな?」
海から突き出した背びれ事態は、見慣れたものだ。だが。
「でかすぎる!なんなんだよありゃあ!?」
その海のように青い、突き出た背びれは、大人の背丈の倍ほどもあった。
明らかに異常な大きさ。今までのものとは明らかに違う。
「おお…おお…!あれは…!」
その背びれに、ただ1人、怯えた声を上げるものがいた。
老いた漁師は、かつてただ1度それを見たことがあった。
あの、全てを失った日に。
「じ、じいさん!?知ってるのか」
慌てた様子のタッカーに、老漁師は言葉を搾り出す。
「ああ、分かる。分かるぞ…ありゃあ、先代を殺した、海のヌシ…」
その言葉に答えるように、それは飛び上がった。
海を蹴り、空中を泳ぐのは、真っ青な鮫。
その青い姿は、明らかに通常の〈船喰鮫〉を大幅に越える
巨大な帆船にも匹敵する大きさだった。
それが空中を泳ぎ終えて海へと戻る。
その瞬間。
「うわあああああ!?」
その巨体が巻き起こした大波が船を洗う。
みしみしと嫌な音を立て、船が悲鳴を上げる。
「と、取り舵だ!立て直せ!」
「がってんだ!」
そのまま横倒しになりそうになる船をウィルの命令で操舵係が必死に持ち直す。
操舵輪がぐるぐる周り、船はなんとか倒れずに済んだ。
だが、漁師達の動揺は止まらない。
「あ、あの野郎、波を起こしやがった!やばいぞ!
あんなの何回もやられたら、確実に転覆する!」
「なんなんだよあのでかさは!?あんなん、どうしろってんだ!?」
「ああ…終わりじゃ、おしまいじゃ。なんもかんもあの時と同じ…
船は沈められ、ワシらは食われる…」
「…おい!茜屋さん!教えとくれ!〈船喰鮫〉だ!だが、青くて…でかすぎる!
少なくともあたしが今まで戦った奴の3倍はある!あいつは一体なんなんだい!?」
混乱する漁師たちをよそになんとか平静を取り戻したアカシアは必死の形相で
耳元に手を当て、虚空に叫んだ。その様子に、ウィルは見覚えがある。
〈冒険者〉が使うと言う、遠くの〈冒険者〉と話をする魔法。
船が帰るとき、いつもアカシアは使っている。
つまりアカシアは誰か、他の〈冒険者〉に助言を求めている。
それに気づき、ウィルはアカシアの言葉に耳を傾けた。
そのまま話を続けていたアカシアが顔を青ざめさせ、叫ぶ。
「…海の死神ジョーンズ?なんだいそりゃ!?アメリカ映画か!」
どうやら帰ってきた答えは、あのアカシアをも驚かせる情報だったようだ。
流されないように船にしがみつきながら、多分この場を何とかできる唯一の人間である
アカシアの言葉を聞き漏らさないようにする。
それ故にアカシアの言葉に、ウィルは硬直した。
「…多分こっちじゃ12年に1度?なんだってそんなもんが今出るんだい!?」
老漁師のじいさんの言葉、先代を殺した海のヌシ。
そしてアカシアの言葉、12年に1度。
その二つがかみ合ったその意味は…
「おい、ウィル!いつもどおりだ!あたしが海に飛び込んであいつの相手をする。
だから…」
アカシアが必死な顔でウィルに言う。
明らかにいつもの自信に溢れた顔ではない。
むしろ、悲壮と言っても良い、青ざめた顔だ。
だが、ウィルはそれには気づかなかった。
「…全力で逃げろ。あたしだけじゃ逆立ちしても勝てない、
茜屋さんの情報だから、それは確かだ」
「嫌だ!親父はあいつのせいで!」
逃げろ。アカシアの言葉に、反射的にウィルは言葉を返した。
頭の中にはぐるぐると、色々な絵がめぐる。
あの日焼けして逞しかった親父の背中。
港で何日待っても帰ってこなかった船。
代わりに港に流れ着いた、船の残骸。
それにつかまり、黒かった頭を真っ白にしてただ1人帰ってきた漁師。
彼の話を聞き、男泣きに泣く、船に乗っていなかった若い漁師の男達。
やつれて、疲れた果てた顔をするようになった母親…
それら全てが、ウィルに言う。戦え、仇をとれ、と。だが。
「バカ野郎!」
唐突に、頭の中を巡っていた絵が消える。激痛と共に。
「…ってえな!何しやがる、ババア!」
頬にはくっきりと、小さな手のひらの痕が刻まれていた。
〈冒険者〉の全力の平手は、ウィルを正気に戻すには、充分な威力だった。
思わず睨み返したウィルは、逆にアカシアにまっすぐ見つめ返され、言葉をつぐんだ。
「…命、粗末にするんじゃないよ。アンタはまだ若いんだ。死ぬには、早すぎる」
揺れる船の中で、アカシアはウィルに静かに言う。
「けど…」
もう、アカシアはウィルの言葉を聴いていない。
船の舳先に立ち、漁師たちに、大声で叫ぶ。
「いいかい、今、この場さえ逃げ切れればいいんだ!
アイツは強いが、必ず茜屋さんと〈円卓会議〉が動く!
そうすりゃ必ず〈冒険者〉の誰かがあいつを仕留める!」
「姐さん…」
「じゃ、ちょっくら行って来る…あんたらで、ウィルを…網元を支えてやっとくれ」
泣きそうになっている男達を励ますように、アカシアは笑顔を形作る。
そしてその笑顔のまま。
…トプン
槍を携え、静かに海に飛び込んだ。
「任しといてくだせえ!」
「野郎ども!アカシアの姐さんのためにも…この場は逃げるぞ!」
「おう!」
男達はもう、迷わなかった。迷ったら、あの人に怒られちまう。
全員の心が1つになる…ただ1人を除いて。
「あ、オイ待て!お前らアカシアを置いてくつもりか!
なんで逃げるんだ!?違うだろ!悔しくないのかよ!アイツが親父達を!」
「黙れクソガキ!」
タッカーは若く新しい網元を立てるため、いつも敬意を払ってきた。だが、今はダメだ。
駄々っ子のクソガキよりも大事なことがある。
「あっしらには生き残る義務があるんです!今、この船ごと俺らが沈んだら、
誰がかかあとガキどもを喰わせるんですか!?」
そう、死ぬわけにはいかない。そのためには、見捨てなくちゃならない。
それゆえの鬼の気迫だ。それに飲まれウィルは思わず黙り込んでしまう。
そして。
「ああ!?アカシアさーーーーーーーーーーん!」
鮫の方を見ていた、若い漁師が思わず悲鳴を上げた。
その場にいた全員がそちらを見る。そして見た。
「あ、あああ、あああああああああああああああああああああああああ…」
ウィルの、魚の群れを捕らえる鋭い目はそれを正確に捉えていた。
遥か前方、奴の血で赤く染まった海を。
そして…お返しとばかりに化物鮫がアカシアをくわえ込み、飲み込む様を。
へたりこむ。ウィルは理解してしまった。幾ら〈冒険者〉でも助からないと。
「畜生、あの鮫野郎!おやっさんどころか、アカシアの姐さんまで…」
泣きそうになりながら、男達は全力で海域を離脱する準備をする。
これで逃げられなかったら、アカシアに顔向けできない。
「網元!逃げますぜ!」
タッカーの言葉が右の耳から入り、左の耳から漏れる。
その言葉を、ウィルは理解できなかった。
4
酷い状態だった。
あれから何とか逃げ切るまでに3度波を浴びて、船は半壊。
修理しなければ海に出るなど到底不可能。
第一、もし漁に出たとしても、あいつがいる。
あの青い化物が何とかならない限り、海に出ようと言う漁師はいない。
そして何より…
「おい…網元の様子はどうだ?」
タッカーが網元の下から戻ってきた、若い漁師に聞く。
「ダメです…あれから3日立つのに、ぼんやりして、腑抜けたまんまです…」
しょんぼりと、若い漁師はタッカーに報告する。
「そうか…いや、当たり前かも知れねえな。網元は、アカシアの姐さんのこと…」
網元に言ったら絶対に否定するだろうが、タッカーには分かってた。
網元が、アカシアの姐さんを見る目、それには見覚えがある。
タッカー自身が10年も前に、コロコロと丸くなる前の
かかあを見ていたときの目とおんなじだから。
そんな人を失ったのなら、そうそうは立ち直れない。
そんなことを考えていたときだった。
「タッカーの兄貴!大変だ!大変だよ!」
若い漁師が慌てた様子で駆けつける。よほど急いできたんだろう。息が上がっている。
「…なんだ?何かあったのか」
その目には、隠しきれぬほどの喜びが宿っていた。そして、彼はその言葉を叫ぶ。
「そ、それが…か、帰って来た!帰ってきたんですよ!」
周りより少しだけ豪華な網元の家。
そこでウィルは自室のベッドで泣き暮れていた。
「くそう…畜生…なんでだ。なんで助けられなかったんだ。
俺は…あいつの、アカシアのこと…」
目を開けると、あっという間に視界が滲む。
一体どれだけ泣いただろう。
もしかしたら、親父が死んだとき以上かもしれない。
「なさけないねえ。いい男がいつまでもぴーぴー泣くんじゃないよ!」
ああ、そうだ。なんて情けない姿だろう。
親父やアカシアが見たら、きっとそう言う。幻のように、勝気な怒り顔で。
そのことがまた、ウィルの涙を誘った。
そしてまた静かに…張り飛ばされた。
「いてええええええ!?」
なんだこの幻。いきなりぶん殴ってきやがった!
思わずウィルは睨み返す。腕を組み、ふんぞり返る、少女にしか見えぬ…
「何しやがる、ババア!」
「はん。どうやら少しはマシな面構えに戻ったじゃないか!」
「うるせえ!って言うかなんで…え?」
思わずいつものやり取りが始まりそうになったところで、ウィルは気づいた。
どうみても目の前に立ってるのは…
「…な、なんで?あの時確かにお前は…」
「まったく、人の話をちゃんと聞いてなかったね。さんざ言ってたのに」
動揺するウィルに対し、あの日と同じ顔、同じ姿のままアカシアはため息をついて、
その答えを口にする。
「あたしゃ、死なない。常々、そう言ってただろ?それは、本当なんだよ。
もしも死んだとしても、大神殿で〈冒険者〉は蘇れるんだ。
そうじゃなきゃ神風特攻なんて死んでもごめんだね」
マジか。
あれ、マジだったのか。
って言うか、俺…泣き損?
「なん、だよ…クソ!あークソ!こっちはものすげえ泣いたんだぞ!?
つーかそれならさっさと帰って来いよ!」
「無茶言うんじゃないよ!あたしゃアキバの街に強制送還されてたんだ!
散々だったよ!事情聴取とかこの歳んなって初めて受けた!
しかも準備が終わるまで、帰るのは待てって止められるし!」
「準備?」
首を傾げるウィルにアカシアは苦笑して言葉を返した。
「まったく、お前はほんっとうに全然話聞かないね。ウィル。
言っただろ?〈円卓会議〉が、動くって」
5
「すげえ…」
漁師達は、その光景に、思わず絶句した。
ハツシマ島の小さな港には、今までに無いほど異様な光景になっていた。
空には鷲獅子や鷲馬、ロック鳥、飛竜などの空飛ぶモンスターの群れ。
海には戦士海豚や頬白鮫、巨大エイと言った海のモンスターの群れと、
帆の代わりに巨大な車輪がついた、何隻かの小さな鉄の船。
そして港の陸地に降り立つのは…
「〈冒険者〉、何人いるんだよ…100や200じゃないぞ…」
人間がいた。エルフがいた。ドワーフがいた。
猫人族や狼牙族、狐尾族や法儀族もいた。
多分ハーフアルヴもいるんだろう。
巴の紋章がついた、揃いのマントをつけた100人を越える一団が卓を囲み、
作戦を話してあっている。
漆黒の鎧をまとう大男を中心にまとまった一団が派手に騒ぎ、
今年の海の死神は俺達が仕留めると豪語している。
アカシアにも負けぬ美少女たちが、1人の武士の少年を囲んで姦しく騒いでいる。
戦士が多数混じっているにも関わらずどこか学者然とした連中が、
作戦が書かれているらしい紙束を読みながら不敵に笑っている。
金髪のエルフと、それに率いられた一団は、
既にそれぞれ空と海のモンスターに乗り、奴を探しに旅立った。
そしてそのどれにも属さぬ〈冒険者〉が、それぞれの方法で始めていた。
アキバに降って沸いた、歯ごたえがある上級者専用の狩り(クエスト)を。
「アカシアさんが言ってた。1人1人がアカシアさん並か…それ以上に強いらしい」
畏怖すら感じる光景だった。
〈冒険者〉の聖地アキバの持つ、底力に。
「マジか。やっぱり〈冒険者〉って…すげえんだな」
これを見せられては、もはやあの海の死神を恐れる気にはなれない。
間違いない、奴はすぐにでも命を落とすだろう。
この多数の〈冒険者〉たちに狩り立てられて。
一方その頃、アカシアはタッカーが連れてきたとある男性の訪問を受けていた。
「おや、茜屋さんじゃないか」
〈円卓会議〉のギルドマスターの1人。茜屋一文字の介。
アカシアは海専門の〈冒険者〉を志した頃から彼に世話になりっぱなしだった。
それだけに恐らくは年下であろう彼にも、相応の敬意を払っている。
茜屋は気さくに右手をあげ、アカシアに言う。
「よお。俺らも来たぜ。
奴の討伐適正人数にギリギリ足りない23人しか集まらんかったがな。で、だ…」
にやりと笑って、言葉を切る。
「分かってるよ。一緒に組まないかい?」
アカシアも心得たものだ。ただ一言、言葉を返す。
「是非もないね。水中戦を極めた海マスターのアカシアさんなら
こっちから頼みたいくらいだぜ」
「ありがとうよ」
交渉成立。アカシアは茜屋と握手を交わし、共に小屋を出ていこうとする。
「…行くのか?」
ウィルは、その背中に問いかけた、それだけだった。
「ああ、あたしゃこれでも負けず嫌いでね。恩と借りはきっちり返さなきゃならない」
振り向かず、アカシアは答える。
「…そっか。じゃあ、頑張れよ」
「はっ、孫どころか曾孫みたいな泣き虫なんぞに心配される謂れはないね。
ま、今夜はお祝いだ。うまいメシでも準備して待っといてくれ。ウィル」
返って来るのは相変わらずの減らず口。
そして、右手を上げ、アカシアは秋の匂いがし始めた海へと出かけていく。
いつものように。
「…いっちまいやしたね」
「ああ」
ただ2人残された男たちが静かに話す。
「ねえ網元」
「なんだ?」
その顔には、苦笑にも似た、不適な笑み。確信めいた予感を2人で共有する。
「今回の狩り、誰がアイツを仕留めると思います?」
タッカーが分かりきった答えを、ウィルに尋ねる。
「…決まってんだろ?」
ウィルはこれまた分かりきった答えを、タッカーに返した。
本日はこれまで。
ついでに、簡単な設定話をば。
〈船喰鮫〉(メガロドン)
海でたまに遭遇する、パーティーランクモンスター。
レベル分布は30~50。
体長10~15mの巨大な鮫で、船にダメージを与えて
破壊し、落ちた人間を食うことからこの名がついた。
基本的に〈冒険者〉は対策しないと水中での行動に
大きなペナルティが発生するため、対策なしで挑むと
見た目のレベル以上に危険な相手。
海の死神ジョーンズ
ハツシマ島近辺の海に出現する、〈船喰鮫〉の突然変異体。
全長が40mにも及ぶLv85のレイドランクモンスター。
あらゆる能力が〈船喰鮫〉を大幅に上回っている他、
巨体で大波を起こし船を沈める能力を持つ。
ゲームでは毎年、『海の日』の昼12時に1度だけ
ポップする特殊モンスターであり、
1回の戦闘で終わる割に数十本に及ぶ万年牙や
腹の中に飲みこんだ貴重な財宝などを多数入手できるため、
海の上での戦いと言う特殊条件になるにも関わらず
実質1回勝負となる討伐はかなり人気があった。
別名『夏のボーナス争奪戦』
本作ではそれを反映して12年に1度現れる。