表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

第14話 呪い憑きのマリアンヌ

今回は少し、変わった人々のお話となります。


ログ・ホライズン05(WEB版)を下敷きにしたお話となってます。

書籍版には出てこない話ですので、ご注意。



…いらっしゃいませ~。


あら?どうしたの?随分と不思議そうな顔をして?

え?こんな時間に何でこんなに明るくしてお店をやってるのかって?

そりゃあ、それがここの売りだもの。

このお店はね、夜はこうして召喚術師の呼んだ高位精霊で照らして24時間…

朝だろうと夜だろうといつでもやってるのが売りの喫茶店なの。

ここはアキバだもの。

冒険者の中にはこんな真夜中だろうと寝ない人もいるわ。


このお店で言うと…アキクロに記事を書いてる、締め切りが近い記者さんや、

マンガって言う絵物語を専門に書いている画家さん。

夜遅くまで研究や開発をしている生産ギルドの職人の人たち。

夜、狩りに出た戦士の人たち。

こんなところかしらね。


中には昼間に寝て夜はずっとおきてるなんて、私たちみたいな人まで居るくらい。

それにね、大地人にしてもこの街の場合はね、起きてる人はいるわ。

たとえ真夜中だろうと供贄の一族には夜通し起きてお仕事をする

お役目の人がいるからね。

そういう人がいるからこそ、このお店だって成り立ってるのよ。


昼間はまぁそれなりのお店…らしいんだけど、

真夜中でもやってるってだけでお客さんは来るのよね。

今だって結構、お客さん、いるでしょ?


私たちがこの街でそれなりに暮らしていけてるのも、こういうお店があって、

私たちみたいな人を積極的に雇ってくれるからこそよ。

ここは良い街よ?悪を為さなければ『あらゆる種族』が

平等に生きる権利を保障されてる。

ヤマト…いえ、きっとこの世界でもこの街くらいじゃないかしら?

私や…あなたが平和に暮らせる街なんて。


…あら、私が気づいて無いとでも思ったの?


ちょっと考えれば分かるじゃない。

供贄の一族でもないのに、真夜中に店に来る大地人。

おまけにあなたみたいな若い娘なんて、正体は限られているでしょう?

それ以前に肉体が変質しちゃってるから、見分けるのはそんなに難しくないけどね。


…でしょ?“呪い憑き”のお嬢さん。


しかも成り立てね。

身なりからすると元々はどこか、小さな開拓村の村娘ってところかしら?


…そう、1週間、夜はずっと歩いてここまできたのね。

 ほら。泣かないの。しょうがないじゃない。

 今のところ、1度呪われたら死ぬまで呪われ続けるしかないのだもの。


ま、気持ちは分かるんだけどね。

え?分からないの?本当に成り立てなのね。


…私も“呪い憑き”よ。


これでも元はウェストランデのそこそこ良い家の貴族…

姫様とか呼ばれてたこともある位だったんだけどね。

呪い憑きになって、完全に手遅れって分かったら殺されかけた。

当然と言えば当然のことなのだけれど、死にたくなかったから本気で逃げたわ。

愛する家族やお父様の配下の騎士団、慕ってくれてた領民たちから

殺すために追われるって言うのは、2度としたくない経験ね。


…もう40年も前の話だもの。今さら気にしてないわよ。

3年前、赤子だったはずの娘に孫が生まれたって聞いたときには流石にへこんだけど。


え?見えない?


…あなた、本当にまだ何も知らないのね。

良いわ。教えてあげる。

このお店、お客が来た時にちゃんと注文とれば、意外と自由が利くのよね。

お客さんも夜だからか呼ぶまで話しかけずにほっといてくれって人ばかりだし。


あ、そうそう。ちゃんと名乗っとかないとね。

私の名はマリアンヌ。

家名は呪い憑きになった時に捨てちゃったから、ただのマリアンヌで良いわ。


『第14話 呪い憑きのマリアンヌ』



うん、じゃあまずはあなたがどれくらい今の状態…

呪いがどんなものなのか知ってるか、教えてくれる?

あ、その前に一つだけ。


アイツらと同じ名前だけは名乗らないようにね。

そうよ、私たちに呪いを掛けた、あのクソ忌々しい化物どものことよ。

あのクソ野郎どもと同じと思われるのだけは、許せない。

…あらやだはしたない。ついつい熱が入っちゃったわね。


でも、覚えておいて。私たちは、あいつ等とは違う。

たとえ肉体が呪いで穢れていたとしても、魂までは穢れていない。

魂まで堕ちた時、私たちはあいつ等と同じ…モンスターに成り果てる。

だからこそ、あいつ等と同じ名前は絶対に名乗らないの。それが“呪い憑き”の誇り。

もしもあなたがあいつ等と同じだって言うのなら…


…分かってくれれば良いの。私もあなたみたいな娘を殺すのなんてイヤよ。

 あなたは今までどおり…とは行かないまでも、人として生きて行ってね。


でも、それはそれとして、何が出来るか、出来るようになるかは

ちゃんと把握しておきなさい。

ただでさえ私たちは異端なのだから、最低限身を守れる位には習熟しないとダメよ。

…じゃ、始めましょうか?あなたが知ってることを教えて。


…まずは、力が物凄く強くなる?ええ、そうね。確かにそれはあるわ。

けど、それが最初なの?


…なるほど、自警団で一番の力自慢だった大男をあっさり投げ飛ばせちゃった、と。

まあ、それくらいは出来るでしょうね。

私たち呪い憑きの力は最低でもLv30はあるもの。

あら?気づいてなかった?呪われると呪いの力で肉体が強化されるのよ。

たとえ昨日まで剣なんて触ったことが無いような、それこそLv1とか2とかの人でも

大体Lv30の武装した騎士と対等に戦える位の力にはなるわ。

まあ、元々強い人だと呪い憑きになってもそこまで極端に強くなるってことは

無いみたいだけどね。


あなたが自警団の大男をあっさり投げ飛ばせたのもそのお陰。

でも、私よりは大分マシね。私のときは、殺されそうになって

必死に抵抗したら逆にあっさり殺しちゃったわ。素手で。

一応相手はLv30越えてる正騎士だったのだけれど。

貴族生まれで良い暮らしをしていた分、多少はLvが上がってたのかしらね。

ま、それのせいで完全に領内からは逃げ出すことになっちゃったんだけどね。


あとは…まぁ、そう来るわよね。


そうよ。私たちにとって“吸血”はかなり重要な能力よ。

癒しの魔法は傷を治すどころか逆にダメージになるし。

怪我を治す方法は、自然治癒に任せるか、吸血で相手の生命力を

糧にするしかないわ。

まあ自然治癒でも呪われる前とは桁違いのスピードで治癒と言うか再生するけど、

それでも吸血で治すのには敵わないものね。


…けど、できるだけ吸血は使わないで。


やるとしても獣とかモンスターの血でやりなさい。傷の治りは一緒だから。

人相手にやるのは絶対にダメ。

いい?最初に言っておくけど、私たちにとって人の血…

特に若い処女の血は格別の味よ。

それこそどんな手料理でも敵わないほどのね。

けれどね、人相手に吸血をするたびに、相手の穢れも一緒に吸って、

魂まで穢れていく。

それどころか、吸血を繰り返すたびに、相手にも呪いを媒介していく。


そして人を餌としてしか見られなくなったとき…呪い憑きは化物に堕ちるの。

…昔、私と一緒に呪われた、私の側仕えで幼馴染だったメイドもそうだったわ。

あれほど呪いを憎んでいたのに、生き血の魅力にとり憑かれてね。

最後はそこら辺の村から若い娘ばかり攫ってきては、吸血してたわ。

そしてどんどん呪い憑きや化物を殖やして…最後は冒険者に殺された。

冒険者の施療神官が使う、物凄く強力な癒しの魔法で、

あっという間に灰になって死んだわ。


あんなに優しい娘だったのに…


だからね、吸血には本当に気をつけなさい。

あんなもん、無きゃ無いで暮らしていけるから。

特に今なら美味しい手料理もあるんだし。



じゃ、次はあなたが知らない呪い憑きの力と心得を教えてあげる。


1つ目は…戦う力。

あなた、武器の扱いや魔法の扱い、知ってる?

…そうよね。そんなもの、普通は扱えないわよね。

けれどね、呪い憑きはそういうのを扱う力があるの。

力も速さも呪いのお陰で強化されてるし、魔法の素養が今まで無かった人でも、

呪い憑きになれば自然と身につく…

そもそも呪い憑き固有の能力が魔法みたいなものだものね。


だから、あなたも今までどういう風に暮らしていたかは知らないけれど、

呪い憑きになった今なら武器や魔法を扱う、素養が宿っているはず。

もし、覚えたいと思うなら言ってくれれば、多分仲間内の誰かが教えてくれるわ。

ちなみにレイピアの扱いだったら、私でも教えられるわよ?

…実家から逃げ出した後に、身を守るために身に着けたの。

始めた頃は本当に素人だったけど、それから40年間かけて鍛えてるから、

こう見えても下手な傭兵なんか比べ物にならないくらい強いわよ?私は。


2つ目はね、変身。


呪い憑きにはね、色々なものに変身する能力があるの。

代表的なのは蝙蝠ね。蝙蝠になって、素早く空を飛べるようになる。

他にも狼とか霧とか、色々あるわ。


と言っても呪い憑きの中でも出来る人は半分くらい。

ちゃんと力の使い方を鍛えないと無理ね。

ただ、できるだけ鍛えて早く身に着けて置いた方が良いと思うわ。

色々と便利な技よ。空が飛べるってだけでも大違いだもの。

まあ、私も含め何人か出来る人はいるから、おいおい教えてあげるわ。


そして最後は…不老。

あなたは今、幾つ?…そう、16ね。

そうすると、あなたはこれからずっと…

少なくとも呪いが解けるまでは永遠に16歳のその姿のままよ。

それは私も一緒。

さっきも言ったでしょう?私が呪い憑きになったのは40年も前。

だけど、未だに私の身体は18歳のままだし、これからもずっと18歳のまま。

今は実感が湧かないでしょうけど、10年もすれば嫌でも分かるわ。

自分だけ、取り残されてるってことが。

…いや、そうでもないのかしら?

私たちはみんな不老だし、冒険者も不老不死だと言うものね。


さてと。

私が知ってる呪い憑きの話は、こんなところかしら。後は…


え?交代?もうそんな時間?


ま、ちょうど良いかしら。

あなた、私と一緒に来なさいな。みんなに紹介してあげるわ。

どうせ行くところも無いのでしょう?

じゃあ早速行きましょうか。

日が昇る前に戻らないと、辛くなるから、急いでね。



さてと、ここが私たちの住処よ。

珍しいでしょう?

こうして階段で下った先にある、太陽の光は一切入らない地下室のみの遺跡。

アキバには結構よくある作りだけれど、

本当に私たちのために作られたような場所よね。

私たちはここをみんなでお金を出し合って買って使ってるの。

多分この時間なら皆大体戻ってきてると思うから、丁度良いわね。


…戻ったわ。


「おかえりー…あれ?」

「また拾ってきたの?」

「またか…マリアンヌの世話好きもここまで来ると一種の病気だな」

「強さはどれくらいだ?」

「おいおい。ガズ、どう見たって素人だろ」

「別に仲良くやれるなら問題ないにゃ」

「やれやれ。この遺跡にも限りはあるんですがね」


「お帰りマリアンヌ。それでそっちの子は?見たところお仲間のようだが」

ええ。ちょっとお店に迷い込んだ娘なんだけど、

行くところが無いって言うから連れてきたの。

ここで暮らしてもらってもいい?リュウガ。

「そうか。じゃあ、世話役はマリアンヌだな」

…ありがと。

どうも本当に成り立てみたいだし、しばらく私が世話をするわ。


…そういうことだけど、いい?うん、よろしい。

ああ、心配しなくてもいいわよ。ここにいるのはみんな呪い憑きだから。

え?種族がバラバラ?そりゃそうよ。呪いはあらゆる善なる種族に掛かるもの。

じゃあ、1人ずつ紹介するわね。


じゃあまず、フィリアとティア、お願い。

「うん、分かったよ。あたしはフィリア。元々は狐尾族。で、こっちが…」

「私はティアだよ。あなたと同じ元人間族。私たちは夜のお店で働いてるんだ。

 …つってもマリアンヌ姐さんとはまったく違うタイプの、

 お酒とか出す方の夜のお店だけどね」

この2人は、見目も良いし、話も上手だから、夜のお店で働いているわ。

時々お酒臭くなって帰ってくるけど、基本的にはいい子たちよ。

「うわ。酷いよ姐さん。そりゃあたしらは姐さんみたいな学が無いから、

 この仕事選んだけどさ」

「狐尾族ってアキバだと接待役で本当によくいるからね。

 あなたも見たところ元村娘でしょ?私もなんだ。1年くらい前にね。よろしく!」

とりあえずこの子達がウチの中では一番若い子達ね。歳もまだ20になってないくらい。

あなたとは年も近いから、話も合うかも知れないわね。

で、次は…

「俺か。俺はガズ。見ての通り、元ドワーフだ。

 魔物狩りをやっている。夜の魔物専門だがな」

「俺も同じく魔物狩りだ。元狼牙族のコーマだ。よろしく頼む」

魔物狩りコンビね。基本的に傭兵組合の仕事を受けて魔物を狩る仕事をしているわ。

こう言っちゃなんだけど、一番私たち向けの仕事をしてるって言ってもいいかも。

基本的に呪い憑きの力を存分に発揮できる仕事だし。


この2人はね、元々傭兵をやってたんだけど、あるときあいつ等と戦って呪われたの。

かれこれ10年前くらいだったかしら?


「正確には12年前だな」

「代わりと言っちゃなんだが、呪った張本人どもはきっちり始末したぞ」


…呪い憑きになる前から腕利きの魔物狩りだったらしくてね。

アキバに着てから同じ仕事を始めたわ。うちの一番の稼ぎ頭ね。

んで次は…


「あっちにゃ。あっちはアニタ。元はナインテイルの猫人族にゃ」


この子も夜のお店…ああ、私やフィリア、ティアとは全然違う店で働いてるわ。

アニタは頭が良くて文字も計算も出来るから…えっと、なんだっけ?


「セブンスマート。冒険者の“こんびに”って言う万屋で働いてるにゃ」


そうそれ。雑貨屋と食べ物屋が組み合わさったような不思議なお店なんだけど、

そこも一日中やってるのよ。それでそこで働いてるの。

確か呪い憑きになってからは20年くらいだったわよね?


「にゃ。旅芸人の一家だったけど、あいつ等に襲われて、

 生き残ったのはあっちだけにゃ。

 あっちたちが襲われる5年前に家出した兄ちゃんはまだ元気に生きてるらしいけど」


そうね。あなたのお兄さん、よく噂で聞くものね。

そして、最後が…


「元法儀族のリュウガだ。一応この呪い憑きの長をやっている。

 今は冒険者のところで呪い解除の研究をしている」

「ルイーザです。種族は元ハーフ・アルヴ。リュウガ様の補佐を担当しております」


うちの研究者の刺青コンビね。

この2人は凄いわよ。何しろ呪い憑きになったのが150年前だって言うもの。


「正確には147年前だ…妻の仇は最後まで取れず終いだったがな」

「私が呪い憑きとなったのは、リュウガ様に3年待っていただいたので144年前です。

 リュウガ様ご自身の手で呪い憑きとなりました」


そうそう。リュウガはね、元々強力な結界を操る神祇官だったんだけど、

自ら研究を重ねて、自ら魔術を用いて呪い憑きになったのよ。

確か…魔王を倒す力を求めたのよね。

それでルイーザはその頃からずっとリュウガの助手。


「ふん…魔王は結局冒険者が仕留めたがな。

 同じ呪い憑きのクリストファ卿が魔王を倒した英雄の一員だったと言うのが救いか」


そうね。アレには驚いたわ。でも良かったじゃない。

形はどうあれ、奥さんの仇は討たれたのでしょう?


「それはそうだが…まあいい。

 もう、終わってしまった以上はもう1つの研究を完成させるだけだ」

「ロデリック様の協力を得られた以上、研究はいずれ完成するかと思われます。

 長くても10年は掛からないかと」


そうそう。この2人は今、ロデリック商会に出入りしてて、研究をしているの。

ある意味、私たちにとって、希望の星よ。何しろ研究してるのは…


呪い憑きの、呪いを解く方法ですもの。


…え?そんなこと可能なのかって?

私には分からないわ。

少なくともリュウガには確信があるみたいだけど。


「可能だ。目の前で事例を見せられたことがあるからな。

 あれは何年前だったか…100年は経っていなかったと思うが」


何でもリュウガが言うにはね、昔、冒険者に呪い憑きの呪いが広まったことが

あったらしいの。あの強靭で、噛まれても呪い憑きになることは無い冒険者が、

なんで呪い憑きになったのかは分からないけど、

一時期は街中の冒険者が呪い憑きだらけになってたらしいわ。

それでね…


「それからほんの数年後だ…冒険者の呪い憑きが一斉に呪いを解いた。

 あれを見せられた時は、私も思わず目を疑った」

「冒険者によれば、呪い憑きと言うのは、冒険者にとってはなるのもやめるのも

 可能なものだそうです。事実現在でもアキバの冒険者にはおよそ100人ほどの

 呪い憑きが居ますが、皆が自分で望んで呪い憑きであり続けているだけで、

 やめようと思えばいつでも可能だとか」


…本当、冒険者には常識が通用しないわよね。

それで、例の革命の後、リュウガと一緒にアキバに移り住んだのよ。

呪いを解くための方法を探るためにね。


「私のように自ら望んだ結果として呪い憑きであるのならばともかく、

 大抵はあの忌々しい連中の被害者だからな。

 それを解く方策を求めるのは普通のことだろう」

「前は我々が独自に行っていましたが、現在は円卓会議11ギルドの1つ、

 ロデリック商会の支援を受けています。リュウガ様の持つ知識と引き換えにですが」


まあ、そういうわけだから、あなたも安心してこの街に住むと良いわ。

いつか呪いが解けるようになったとき、どちらの道を選ぶかを考えながらね。

ただ、働かなきゃダメよ。

最近ちょくちょく、私やあなたみたいな呪い憑きが移民してきてるから、

漫然と遊ばせておく余裕は無いわ。

一応、この街の呪い憑きの元締めみたいな扱いなのよね。ここって。


…うん。分かった。しばらくはレイピアの扱いを勉強しながら、お仕事ね。

良いわ。文字と計算も教えてあげる。安心なさい。

これでも面倒見は良いってエルフだった頃から言われてるんだから。


…本当、夢みたいな話よね。

いつ、心臓に杭を刺されて死ぬか、癒しの魔術で焼き殺されて死ぬかの

心配もせずに暮らせて、おまけに後ほんの10年も待てば呪いも解けるかも

知れないなんて。


…本当、もう30年早く来てくれればよかった。


そうすればきっと…シリアも『吸血鬼』にはならずにすんだのに…ね。

本日はここまで。


呪い憑きというのは、本編では出てこない呼び方です。

基本的に『クラスとして吸血鬼を持つ大地人』がそう名乗ります。

『モンスターの吸血鬼』とは別物であるという主張から

来ている呼称です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ