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第23話 簡単(?)な依頼の行方(2)

迷走中

 正直なところ、面倒なことになった。

 依頼人の所から、ギルドに向かう途中思ったことだ。

 いや、要石の調査はそんなめんどくさくはない。いろいろと調べ物をしなければならないところが少し手間だが、最終的に魔法を使えばどうにでもなる。

 問題は、調査後だ。

 要石が置かれる理由としては二つ挙げられる。

 一つ目は、気休め。偽薬効果と言うやつである。

 たとえ話にすると、こうなる。

 村や集落で、立て続けに悪いことが偶然起こった。偶然であるために、特に原因となる物がない。しかし、人々は不安に思っており、些細なことでも大げさに感じてしまう。大げさに感るから、更に不安に思うの繰り返しの結果、人々の暴発、村や集落の消滅。そんな危険から守るため、聖職者に頼み形だけの祈祷をしてもらい、悪い物を封じ込めたという意味合いを込めて、要石を置くということである。

 要するに、不安解消のために目に見える安全を示すもの、として置かれている物と言うことだ。

 管理されている物が多いが、この様な物なら簡単で、形ばかりの儀式を行い、邪魔にならないところに移動させてしまえばいい。今回の場合、管理もされていないことから、取り除いても何にも問題ないと考えられる。

「問題は、もう一つの可能性が高いことが大きいことかな……」

 もう一つの可能性。

 気休めではなく、実際に何かが封じられているというものだ。

「魔力が感じられたからといって、一概にそうと決まったわけではないんだが……」

 だが、疑いがある以上、調べなくてはならない。いい加減に調べて、後で痛い目にあうのは自分ではなく他の人たちだから。

 僕がやると決まったわけではないのに、そんなことを考える。

「……こういうところが、まじめ過ぎって言われていたんだよな……」

 こちらに来る前に言われた、友人の言葉をふと思い出す。

「みんなどうしているんだろうな~」

 多くはないが、それなりにいた友人たちを思い浮かべる。

 向こうの世界のことを思い出して、センチメンタルに浸りながらギルドに向かった。


「……といった具合なのですよ」

「なるほど、魔力が感じられる要石ですか。マスターに相談する必要がありますね」

 話を受け付けに持っていくと、この反応が返ってきた。

 やはり、おおごとになるようだ。

「この場合は、依頼達成と言うことになるんですか?」

 とりあえず、一番聞きたいことを聞く。仕事を受けたのに、なかったことにされては、たまらないからな。

「そうですね、達成と言うことで良いですよ。お金は出せませんが」

 そうだろうな。依頼内容を達成したとは言えないから、納得する。

「それと、この件は、多分あなたに任せることになりそうです」

「はい?」

「あなたが受けた依頼で、問題が発生した。そして、その問題を解決することを頼まれた。ここまでは良いですね」

 うん、ここまでは問題ない。

「冒険者の依頼の受け方は、二つあります。一つは、ギルドを通して受ける物。もう一つは、直接人々から受ける物です」

「それは知って……あっ!」

「お気づきになられたようですね。今回の調査は、貴女が直接お受けになったと判断されることになると思われます」

 なんてこったい。

なんと巧妙な罠。

 別に、調べることは苦にはならないが、なんかはめられた感がどうしてもしてしまう。

 駄女神(レムリア)の策略なのか?

『~♪』

 む、メールだ。

『そんなことありませんよ#』

 人の思考を読んだような、メールの内容だ。『#』マークが怒りを表しているのだろう。全く怖くはないがな。

「……どうかなさいましたか?」

 他人には、メール音は聞こえないし、メール自体も見ることは出来ないので、急に黙ってしまった僕を心配したのだろう、受付嬢が訪ねてくる。

「大丈夫です。少し考え事をしていただけです」

「それなら良いのですが……話を戻します。今回の件が、あなたに任せられることになった場合、サポート役の方がつかれるはずです」

「サポート役?」

「下手すればS級依頼になるかもしれない物に、Fランクの人一人ではダメです。安全確実を期すために、最低でもBランク以上の人がつくはずです」

 当たり前のことか。

「とりあえず、マスターに話して判断を仰ぎます。結果が出次第カードに連絡を入れますので、今日の所はお引き取りを」

 受付嬢にそう言われたので、今日は引き揚げることにした。

 簡単な依頼を受けても良かったのだが、なんとなく気分が乗らなかったので、そのまま引き揚げることにしたのだ。

「ちょうどいい時間だし、何か食べてから宿屋に戻ろうかな」

 今日は何を食べようかな。


「……まさか、焼肉を頼んで、マンガ肉が出てくるとは思わなかった……」

 ふらりと立ち寄った食堂でお勧めの焼肉を頼んだのだが、出てきたのはマンガで良くある骨付き肉だった。

 確かに焼いてある肉だから焼肉と言えるのだが、女の子に出すような料理じゃないだろ。ナイフとフォークもなく骨を持って直接かぶりつけということから、豪快な男の料理と言った感じ。

「味が良いだけに、余計にたちが悪いよ……」

 お勧めと言うだけあって、味はものすごく良かった。絶妙な塩加減と、効果的な香草の使い方で、肉のうまみを最大限に引き出していたのだ。

 そのためか、肉だけを食べ過ぎてしまい、ちょっと気分が悪い。

「しばらく肉はいいや……」

 とはいうものの、この辺では肉料理がほとんどを占めているので、夕食も肉になる可能性はかなり高いのだ。

「効果的な、魚の運搬法を真剣に考えようかな……」

 朝、話していた氷漬けにして魚を運ぶという方法。魔法と言うか全てにおいてチートな僕なら、大量に氷漬けできなおかつ持続時間も長いが、一般的な魔法使いだとそうはいかないだろう。

「アイテムに頼るとしても、凍らせることのできる物は……」

 まず、武器系は却下だな。属性もちはほとんどが伝説級だから当然だ。そんなことに使わずに普通に武器として使った方がいい。

 攻撃系のアイテムで、氷系と言うのはあまりない。ほとんどが爆発系、もしくは雷系のものだ。その二つは、使い勝手がいいためそうなっている。

 氷系である物と言ったら『氷の花弁(アイス・ペトル)』くらいだが、値段がそこそこ高いうえ、そう強力なものでない。

「他には……」

 頭を悩ませていたが、ふとある物の存在を思い出す。

「あれを使えば、うまくいくかもしれん」

 使った事がないので、どれくらい冷えるのか分からないし、値段はお高いが、使い捨てアイテムとは違い、何回も繰り返し使える。長い目で見れば、かなりお得であると言えるかもしれない。

「魔法使いなら、誰でも作れる単純なものだから、手に入りやすい。最悪、僕が作っても問題ない。真剣に考える必要がある」

 ここのところ、肉ばっかりだったので、魚に飢えていることもあり、魚の運搬法について、真剣に考える僕がいた。


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