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第12話 護衛の実態と疑惑?

執筆の時間がなかなか取れない。

 あっという間に七日間が過ぎ、とうとうの出発の日となった。

 その間、僕が何をしていたのかと言うと、技術の底上げのため、アレスがリーダーを務める『悠久』のメンバーの戦士である、アルベルトさんとサラと戦闘訓練したり、魔術師であるダイさんと勉強会をしたり、村の鍛冶屋で鍛冶仕事をしたりしていた。無論その間にリリアちゃんと遊んだり、メアリさんと料理開発をしたり、自分の好きなことをする時間を取っていた。

「ビリノアちゃん、また来てね。絶対来てね」

「うん。向こうで落ち着いたら、また来るよ」

 気休めではなく、本当にまた来ようと思っている。なにせ、この世界に来て初めて来た村で、はじめて人とかかわり合いを持った所である。時々常識はずれなことをする僕に対して、笑ったり怒ってくれたりした、優しい人たちが住むここは、この世界での故郷と言っていい所となっているのだ。無論、リリアちゃんと会いたいって言うのもあるけどね。

「部屋の方は、わたしがちゃんとしとくから」

 涙目でそういうリリアちゃんと抱き合う。

 実際のところ、僕の部屋に転移陣を置いてあるから、向こうでの拠点が決まればいつでも気軽に来られる。そのことは説明したのだけれど、それでもちょっとの間は会えないのは寂しいらしいのだ。

「それくらいで良いだろ。そろそろいかせてやりな」

 そう言って、メアリさんがリリアちゃんを引き離す。

 見送りに来てくれた村の人々に向かって、万感の思いを込めて、こう、あいさつする。

「いってきます」


「好かれているな、村の連中に」

「まあね。いろいろやったし。第二の故郷と思っているよ」

 アルベルトさんが話しかけてきたのに、軽く答える。

 今僕たちのいるところは、商隊の一番先頭の荷馬車の御者台である。アルベルトさんが手綱を持ち、その隣に僕がちょこんと座っているのだ。

 僕は、『悠久』の暫定メンバーとしてここにいる。他のメンバーは、リーダーで前衛タイプのアレス(ランクB)。同じく前衛タイプのアルベルトさん(ランクB)とサラ(ランクC)。後衛タイプで、副リーダーを務めるダイさん(ランクB)の4人である。

 今回の護衛団には、四つのパーティーが参加している。

 まずはBランクパーティー『悠久』。Cランクパーティー『戦人』、全員前衛タイプの5人組みで、戦闘能力だけで言うならBランクに達しているとのこと。同じくCランクパーティー『赤兎』、全員獣人で固められた6人組、夜目が利くため、夜警の任務に就くことが多いため、現在真ん中あたりの荷馬車の中で就寝中。そして、Dランクパーティー『風人』、前衛3人、後衛2人とバランスのとれたパーティーだが、個人個人で勝手に動くため、ランクが低いパーティー。以上が、アルベルトさんから聞いた、護衛団についての情報である。

「んー、問題は『風人』かな」

「うむ、そうだな。だが、いったん降りるというのを撤回して、まじめに頑張っているようだぞ。その辺は、評価できると思うが」

「……」

 ぼこぼこにしたリーダーを無理矢理治して、パーティー全員にちょっと高町式のO☆HA☆NA☆SHIしてあげたら、実に素直に納得してくれましたよ。うふふふふ~♪

「ビリノア、その笑い方不気味だからやめろ」

「ふぇ、声出てました?」

「ああ」

 うわ、恥ずかし。

「えーっと、僕は一体何をすればいい?」

「誤魔化したな。まあいい。俺たちの仕事は、前方警戒だ。ひたすら前を見て、魔物が来るのを警戒する」

「前を見ていればいいのか?」

「ああ、左右の警戒もしてほしいが、今回は前だけだ。で、魔物が出たらお前に渡した笛を吹く。その後迎撃だ」

 笛を吹くのは、魔物が来たと商隊全体に知らせるためだ。それにより、商隊全体を止まらせて、追突を防ぐとともに、荷馬車に簡易結界を張って魔物に備えるとのことだ。

「そんなのがあるなら、常時展開してれば護衛を雇うことはなくなるんじゃあ……」

「無理だな。簡易結界は、一般の人でも張れるよう作られているが、魔力の関係上長時間は張れないうえに、解除しない限り動くことが出来ない」

「……欠陥品?」

「俺にはよくわからん。ダイに聞いたが方がよくわかると思うぞ」

 あー、バリバリの戦士であるアルベルトさんじゃあ、細かいことは分からないか。後で、ダイさんにきいてみよう。

「でだ、馬車溜りに着いたら、設置式の結界を張る。魔術が使えるお前も駆り出されるから、そのつもりでいると良い」

「うい」

 にしても平和だ。

 一応、話しながらでも警戒はしているのだが、特に魔物の気配はない。

 荷馬車も、整備されている道と、簡単なサスペンションのおかげで、そんなに揺れない。荷馬車全部にサスペンション機能が付いていると知った時には、なぜと思ったものだが、理由を聞いて納得した。

「商品を保護するための投資です」

 当たり前のことだったな。

「ふむ、つまらなさそうだな」

 少しの間、考えに没頭していたのを退屈していると判断したのか、アルベルトさんがそうたずねてくる。

「えーっと、正直言えば……」

 草原の景色は単調で、荷馬車の揺れも穏やか。前方警戒とは言うものの、魔物の出る様子はない。ちなみに天気も良く、心地よい陽気だ。

「こんな状態じゃあ、眠くなりそうです」

「ま、確かにな。護衛という仕事は、実入りは良いが退屈な仕事だからな」

「そうなんですか? 平原にはかなり魔物が生息しているはずだと思うんですが……」

「まあな、たくさん生息している。だが、商隊を襲うことはほとんどない」

 なんで? 一人でいた時は、かなりの確率で襲われたんだが。

「魔物は、なぜかは知らんが、大人数のグループをあまり襲わない」

 は?

「以前、3ヶ月の長期護衛を請け負ったんだが、その間に襲撃は5回しかなかった」

 少な!

「あの村まで行くまでにも一回も襲撃がなかった」

 マジか、これは失敗したかな……

「まあ、例外もある。トチ狂って襲ってくるやつがいないわけじゃあない。後、軍隊は確実に襲われる」

「軍隊?」

「ああ、何故かは分からん。魔物は、邪神の力の影響を受けたものだから、血と争いごとにひかれるというのが一般的な説だ」

 それにしては少しおかしい。

 血と争いを好むなら、無差別に襲ってくるはずである。それなのに、商隊は襲わないとか、戦う準備がある軍隊は襲うとか、恨みの対象になるように個人は襲うとか、よくわからない行動をしている。

 物語なら、ご都合主義的なものとして考えられるが、ここは現実にある世界である。物語のような世界とはいえ、多くの人々が生きて生活している現実世界(・・・・)なのである。

 まるで、『何かに操られているような』魔物たちの行動。

「まさかね……」

 戦争の回避のために、魔物が生み出されているってことないよね。しかも、邪神じゃなくて、レムリアが生み出しているなんてことは……



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