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第鉢獣一話 かいりき


 ……なにこの関わりたくもない三角関係に巻き込まれそうな雰囲気(変換できた)は。
 
 オッサンと勃起少年は見つめ合ったまま、全く動かない。

(そんな、だめです、わたしには、まおうさまという、心に決めた人がいるんです)
(だが、この思いは、止められないでござる)

 なんて心理的描写が多分飛び交っているんだろうけどカットカット。あー、ちゃっちゃと馬車だそうよ。とっとと帰ってみんなでにゃんにゃんしようぜ。もちろん男は勘弁な。
 
 御者席に顔を出したミヅキはぺちっと馬に鞭を入れる。
「おいオッサン、仕事放棄すんなよ。ミヅキもこっち来なよ」
 
 ミヅキはちょっとふてくされた顔で俺の言葉をガン無視すると、御者席にそのキュートな尻を下ろして手綱を適当にぺしぺし繰り始めた。馬は適当に進み始める。オッサンは児童福祉法と己の欲望の狭間で揺れ動いたままだ。

「あの子は、どうするおつもりなんです?」
 そうだよなあ。ここで放り出して行くわけにはいかんのか。
 
「ゆ…勇者殿、この少年、私に預からせてはくれまいか?」
 オッサンがそんな提案をしてくる。あー、大丈夫?理性とか飛んだりしない?
「…でも、わたしは、まおうさまを、お慕いしているのです」
 
 ああもう、ワガママなガキだな。ここは一発ガツンと言っておかなきゃな。
 
「シュヴァルツシルト、お前は俺の相手としちゃあ全然なってないんだよ。俺はナヨナヨしてハッキリしない男は嫌いだ。ああ、オッサンに鍛えてもらうのがちょうどいいかもしれんな。もっと男を磨いてから出直してこい」
 と、ふかふかのおっぱいに顔面スリスリしながらヨダレ垂らして言ってやった。
「男を……みがく……?」
「しょ、少年よ、勇者…もとい、魔王殿もああ言っておられる。ここはひとつ、私に身を委ねるべきだと」
 シュヴァルツシルトはオッサンとおっぱいに半分以上隠れてる俺の顔を見比べて思案してた。
 
「ま、まおうさまが、そういうなら……」
 
 オッサンの鼻の穴がカッと広がる。おいおいおいマジ大丈夫か?
「とりあえず、オッサン、馬を何とかしろよ。ミヅキに適当に任せてたら……」

 がたん。
 馬車の車輪が道ばたの溝か何かに填ったようだ。馬4頭で引いているにもかかわらず、車軸がミシミシ音をたてたまま一向に前に進まない。
 
「……ほら、言わんこっちゃ無い。どうするんだよ。馬止めないと馬車ぶっ壊れるぞ」

 オッサンはとりあえずミヅキから手綱を受け取り、どうどうと馬を鎮めた。
「ゆ…魔王殿、すまんでござる」
 
 
「男を磨くって、どうすればいいんですか?」
 シュヴァルツシルトがひょいと馬車を降りた。
 
「あのな、男を磨くってのはな、体を鍛え……」

 馬車が揺れた。ちょっと無重力。ずごん、と着地音。
 馬車の窓から顔を出すと、馬車は何事も無く普通に道に佇んでる。数メートル脇に眼をやれば、そこに今まで填ってたらしい車輪の跡がついた溝が。

「まおうさま、男を磨くって……」

 ……もういいよ。お前は腕力的には立派な男だよ。確実に4馬力以上あるよ。
 よくさっき抱き止められたときに圧死しなかったな俺。さすが俺。
 
「……オッサン、ヘンな気は絶対起こすなよ」
「ももも、もちろんでござる」

 なんせ命に関わるからな。普通の人間が勃起少年に抱きしめられたら、残酷表現チェックを入れなきゃならん。
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