第奈々獣九話 かわいいこ
「まおうさま…だいすき…」
直前で音速を突破する寸前だった俺の体を難なく受け止めて、俺の胸にほっぺスリスリしてくる。間違いなく、コイツは能力者。たぶん、四天王の最後の一人。
「おねがい、まおうさま、だきしめて…」
うっわ、そんなことどうでもいいぐらいカワイイ、勝手に手が反応。いいのか俺。
とりあえずだっこして頭ナデナデしてやろう。ひょー、髪の毛サラサラ。
「どうしたんだい?こんなところで」
「…だって、まおうさま、とつぜんいなくなっちゃうんだもん。さみしかったよう」
ちっちゃな声で泣いてる。
「あー、ごめんね。俺はちゃんと、ここにいるから」
「…ねえ、まおうさま…きすして…」
ゆっくりと眼を閉じて、俺を待っている。
…
超展開すぎる。いやさ、一応お前の事だから最後の最後でこう言った事もあり得るかなとは思ったよ。でもさ、いきなり初対面でチューしてくれって言われたって、ハイそうでスカってチュー出来るわけないだろ?だいたい、背後3人娘から怪光線がビュンビュン飛んできて痛いんだよ。これ以上キャラ増えたらさすがに大変だろ?4Pでもこんがらがってプーだったのに、5Pとかいくらなんでもムリだろ?
「わたし、まおうさまになら、なにされたっていいの…」
ぼかーん。
――スーパー自閉モード発動!!!
おい、魔王たかし!!
(…なんだようるせえな。今超電磁砲見てるんだよ邪魔すんなよ)
俺の脳内で勝手にアニメ見るなよ。そもそも放送してるのかよ。
それはいいとして、こいつ誰だ?
(四天王シュヴァルツシルト。いちおう俺の配下だった)
おまえ、ひょっとして、このカワイイコに好かれてたんじゃねえのか?
(ああ、そうだな)
なンだそのヤル気のない返事は?
(はぁー)
はあーじゃねえって。
(すぐにわかる)
ハァ?
(面倒だからあまり起こすな。中学生のくせにまったくけしからんおっぱいだな涙子は)
ちょ、待てって、逃げるなコラ!
――スーパー自閉モード解除!!
シュヴァルツシルトはぴったりと俺の体に寄り添ってる。
「まおうさま…はやくぅ…もう、がまんできないよう…」
はあ。なるほど。
背後から、尋常ならざる殺気を感じた。
「ノゾム…その子、誰?」
はいミヅキさん、俺は手を離しましたが、この子が離れてくれません。
「えーっと、四天王の最後の一人、シュヴァルツシルトちゃん」
バキンボキンと指を鳴らしてる。
「ずーいーぶーんー仲がよろしいようね」
「え、そう見えますか?俺、初対面です」
「全ッ然、そんな風に見えないんだけれど」
「あーそうですね。いちおう、彼は一方的に魔王を慕っているようで」
「彼?」
はい。こういう属性ね。
ええ、邪魔なものが二つありますよ。俺のと。あと一つ。
超絶美少年シュヴァルツシルトのそれはもうヤル気満々だった。
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