第奈々獣一話 かくせい
こんクソハゲオヤジぃぃぃぃいいいいい!!!
人をおちょくるのもたいがいにしろよ?!
あああああムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく!!!
俺がブチキレた様子を見て、ライバッハの表情が変わった。
「なあ、騎士団長殿、ほんとにソイツ、魔王の研究してたんスカ?」
ライバッハは応えない。俺を見るその眼が、だんだんと険しいものになる。
「オイ、リア充イケメン騎士サンよ、何とか言ったらどうなんだ?あ゛?」
ライバッハはその右手を腰の得物にかけた。
「勇者殿、お気づきか。今、貴殿から禍々しい波動を感じる…!!」
「あ゛?背中に神人とでも浮かんでるか?」
「ノゾム、アンタいったい…」
ミヅキまで俺を見る眼が険しくなる。
あれ、おかしいな俺。こんなイタズラで、こんなにブチキレてるなんて。まあ確かに3年越しのイタズラにしては手が込みすぎだったけどよ。
「…ひょっ、、、、として、いいいい今、、、、俺って、、、、ヤバそう???」
自分の声が、体全体が、震えている。すごくマズイ。
「っく、勇者殿、しかたがない、ここで今すぐ成敗する」
ライバッハが、すらりと剣を抜いた。素早い動作が信条の、彼愛用の短剣。アレで一度、俺は首を貫かれている。ライバッハは柄を返すと、ギラリと鈍く光るその剣を俺に向けた。
「やめて、ライバッハ様!」
ミヅキの声が響いた。彼女は駆け寄ってくると俺とライバッハの間に立ち、ライバッハに向けてその手を大きく広げた。
「このひと、ちょっと、機嫌が悪くなると、すぐに、おかしな冗談を言うの。すぐ、元通りになるから、いま、ふざけてるだけだから、ごめんなさい、その剣をしまって…」
ライバッハはひるまない。
「ミヅキ殿、残念ですが、そうなった以上、ノゾム殿を生かしてはおけません。そしてあなたも同様です。そこを退かないなら、まず、あなたから始末します。私を、困らせないで欲しい」
ギラリとその剣は向けられたまま。
「ノゾム、ノゾムってば、もう、冗談よしてよ、早く正気に戻ってよ、お願い、お願い…」
ここから顔は見えないが、その声は涙声だった。
「ライバッハ様も、ライバッハ様よ!この頑固者!!冷徹魔神!!ちょっとは待ってあげてよ!ノゾムを信じてあげてよ!!あなたに人の心は解らないの??ノゾムだって今、魔王の亡霊と一生懸命戦ってるんだよ?殺しちゃダメだよ!!」
ミヅキ、お前、案外、いい奴だなあ。俺なんかのために。泣いてくれちゃって。
しかし、ライバッハは、聞く耳持たずと首を振ると、一気にミヅキに突進した。
ずぶりと、鈍い音を立てて、ミヅキの体が宙に浮いた。
「ノゾム…」
まずい、ミヅキの背中から、剣が突き出てる。あそこは、本気で、心臓の位置だぞ?!まてよ、ミヅキが死んだら、リセット効かなくなるんだよ、ちょっと待って、おねがい、ミヅキは殺さないで、お願いだから――
するりと剣が抜ける。背中と胸から、ダクダクと大量の血を流して、ミヅキはその場に崩れ落ちた。ぴくりとも動かなかった。
「ら、、、、ららららあ、、、、、らいばあ、、、っっはあああああ!!!!!!」
「その声では、まともに呪文も唱えられまい。速やかに逝け」
ライバッハは冷たく言い放った。
ガクガクと震える手で、剣を抜く。今の状態で、ライバッハに勝てる気がしない。
「テ、、メエ、、、は、、ゆるさ、、、ない、、、」
ふらつく足で、ライバッハに突進する。
偶然にも、最初の一撃は、ヤツの剣をはじいて吹き飛ばした。
そしてその瞬間、自分の足が力を失った。
「私の武器が、一つだと思ったあなたのミスです」
俺の腹に、深々と別の剣がつき刺さっている。
「いて、、、、え、、、え」
がっくりと膝をつく。
目の前には、動かなくなったミヅキの姿があった。
「ミ、、ヅ、キ、」
拳を、振り上げる。
再び、ライバッハの剣が、俺を貫いた。
かまわずに、俺は呪文を唱える。
「あら、き、のう、、、りょく クレイジー、」
ミヅキを叩く。回復能力が発動しない。
「お、きてくれ、」
叩く、
「お、き、ろ、」
叩く。
「おま、え、は、俺の、ものだ、さっさと、おきて、せ、っくす、さ、せろ」
叩く…
「ほし、いの、って、い、え、、、、」
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