第禄獣話 ないと
まて!wait!サブタイトル元に戻ってるじゃねえか?!もう終わり?出し入れナシ??おかしいだろ?!今からゆっくりジックリ心ゆくまで堪能しようと思ってたのによ?!こんなんじゃ客逃げるぞ?!おい、聞いてんのか?詐欺だぞ詐欺!!
昼間。ミヅキは例の暗闇宮殿の前でウロウロしていた。まだあの宮廷騎士団は帰還していない。本来ならば、帰り道に鉢合わせるはずだったのに。
「おーい、ミヅキ、いいかげん王宮に戻らないか。そのうち帰ってくるってばよ」
彼女は宮殿の入り口を行ったり来たりしている。例の騎士の帰りを待ちわびているようで、そうでもなさそう。
「俺らはもうそろそろ自分の国に帰るぞ。ケチケチ王に魔王討伐の報告をせにゃならん」
はっと我に返ったような素振りを見せて、ミヅキは俺に顔を向けた。
「あ、帰っちゃうんだ」
「たりめーよ。一応、任務だしな」
「ガイアさんやメアリーさん、レイチェルちゃんも」
「当然」
また、ウロウロし始める。
「寂しいなあ」
何の気ナシに、彼女はそういった。そして、またハッと俺に顔を向ける。
「アンタはどうでもいいからね」
「無理しちゃって。俺がいなくなって寂しいんだろ」
「ち…違うよ」
おや。どもってるよ。なにこのツンデレ風味。
「いつでも遊びに来いよ。お前ならひとっ飛びだろうが」
「…うん。そうだね」
なんだこいつ。わけわからねえな。
「帰りの準備しなくっちゃな」
俺はミヅキを残して王宮の厩に向かおうとした。
「…あのさ」
呼び止められた。
「送って、あげようか」
ああ、そうか。コイツの能力ならえっちらおっちら馬車で帰る必要もない。
「ってか、場所知ってるの?」
「あの宿場町までなら」
ああ、それでも十分助かる。あそこならミヅキもおなじみだろう。
「一応、馬とかも要るでしょ。アタシも手伝うよ」
「おいおい、ナイト様を待たなくてもいいのか?」
「ま、いいや」
えらく簡単に、そう返事する。
俺たちは二人で、馬車の準備がされている王宮の厩に向かった。
厩では、既にオッサンら三人が馬車へ荷物の運び入れをしていた。
「おや、勇者殿、準備はあらかた終わってしまったでござるよ」
「ミヅキさん、お名残惜しいです…」
「あー、ちょい話がある。ミヅキがよ、宿場町まで送ってくれるって」
「あ、ありがとうございます、ミヅキさん」
レイチェルはそういって彼女にお辞儀をした。
「あたしも今回、皆さんにいろいろお世話になったから…こんな事しかできないけど」
「いいえ、ミヅキさん、あなたにはとても感謝していますよ」
「そうでござる。ミヅキ殿がいなければ、多大な犠牲者が出ていたところでござったよ…あまり実感が無いのでござるがな」
がはは、とオッサンは豪快に笑った。そりゃそうか。巻き戻しのおかげで、オッサンは国境の町の惨状やレイチェルや俺の死を知らない。
スーパーチート能力者ミヅキさまさまだぜ。
「さてと、この国の王様に最後に挨拶していこうぜ」
名前もつけてない王様だけど、祝賀会も世話になったしな。
謁見の間、俺たちは王の御前で労いの言葉を賜っていた。
「勇者ノゾムよ。よくぞやってくれた。できればそなたをこの国にとどめておきたいが、そちの都合もあるだろう。気をつけて国に戻られよ」
あのケチケチ王とは雲泥の差だね。
「最後の手向けじゃ。受け取られよ」
お、まだなんかもらえるの?
ひゅえ?
俺の首から、何か生えてる…
「討ち取ったぞ、魔王ノゾム…」
お前は、ライバッ…
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