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ちょっとエッチな勇者様ドキドキ性ライフ 第四話

 ミヅキは答えない。
「緊張してる?」
 黙ったままだ。その眼は俺を見ていない。
「何とか言えよ、ミヅキ」
「…」
「この女、最悪」

 萎えた。まあ、最初からわかりきった事だったのだが。
 俺は彼女を引き離し、脇に脱ぎ捨てた服をさっさと着始めた。もう知らん。
「…何やってんのよ…」
「自分の部屋に戻る。気分が悪い」
「セックスさせてくれる女が大好きなんじゃなかったの?」
「抱いてる最中、他の男の事考えてそうな女は萎える」
「…」
「お前さ、酔った勢いで男に抱かれるとか、場末の女みたいな事してんなよ。全ッ然似合わねえ」
「…慰めてくれるんじゃ、なかったの…?」
「イヤだね。勝手にオナニーして寝ろ」

「わかったわよ!もうアンタなんか知らない!」

 ひとしきり大きな声を上げると、ミヅキはシーツを被って潜り込んだ。
「…早く出てけ」
「出てくさ」
「さっさと行けよ!」

「風邪引くなよ」
 そういって、俺は扉を閉めた。
 
 
 
 自分に宛がわれた部屋に戻る。豪奢な調度品も、キングサイズのベッドも、何か場違いな気がした。
 ブーツを脱ぎ捨て、ベッドの上に仰向けに寝転がる。
 ああいう女はいろいろ面倒だって、自分自身に言い聞かせただろう。もう関わり合うのはよそうぜ。アイツはきっと、ナイト様の事をずっと考えている。俺なんかが関わっちゃならねえ。自分自身で何とかしろ。
「勇者様…」
 メアリーの声だった。部屋の入り口で、ひっそりと佇んでいる。
「ああ、どうかした?」
 少し悲しげな眼で、俺を見ている。
「…ごめんなさい。あの…」
 ミヅキを抱えて宴席を離れた事は承知してるだろう。
「あいつは、大丈夫だよ。ゲーゲー吐いたから寝かしつけた」
 俺は、こっちおいで、とベッドの脇を軽く叩く。
 メアリーは、遠慮がちにその脇に座った。
 俺は彼女の体を抱き寄せ、その太ももに顔を埋めた。メアリーの手は、軽く俺の頭に添えられる。
「メアリー…さん」
「はい」
「少し、甘えさせてくれ…」
「…ええ…いくらでも…」

 なんだか、自分が卑怯な人間に思えてきた。ミヅキが部屋で一人泣いているというのに、俺ときたら。
 
「メアリーさん、どうして、俺にそんなに優しいんだ」
「…どうしてでしょうね…」
 気になってた疑問が、鎌首を擡げた。聞くべきではない。聞くべきではないんだが。
「…俺は、メアリーさんに、同情されてたのかな」
 優しく俺の頭を撫でていた彼女の手が止まった。
「いいえ…同情ではありません」
 彼女は優しく、だがはっきりとそう答えた。
 
「何か俺…」
「勇者様、らしくありませんよ」
 
 そうだな。そのとおり。俺らしくない。なんだか楽になった気がした。
 
「私は、勇者様にただ恋する女です。そんな女でいさせてください」
「こんな弟みたいなガキに?」
「ふふふ。可愛い人…」

 なんだか、安心してしまった。そんな自分が、なぜだか、情けなくなった。
 いつの間にか俺は、彼女の膝で、眠ってしまった。
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