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ちょっとエッチな勇者様ドキドキ性ライフ 第二話
「おいミヅキ、何のマネだ」
 彼女は突然、そのゲロまみれの顔を俺の胸に押し当ててきた。
「…女が泣いてるんだぞ。少しぐらいは慰めろ」
「勝手な事ばかり言う女だな」
 とにかく抱きしめる格好で背中をさすってやった。
「アンタってさ、女の扱い、慣れてるよね。絶対」
「ん?」
「下品でスケベなクセしてさ。なんか、優しいところあるしさ」
「ああ。それは気のせい気のせい」
「メアリーさんやレイチェルがアンタについて行く理由、何となくわかった気がする」
「ゲロ臭え息でおしゃべりはヤメロ。部屋に連れて行くから今日はもう休め」
「…うっ…うっ…」
 
 ミヅキは泣いていた。

「…あのさあ、なんで泣く?」
「うぇっ…うえっ…」
 嗚咽ばかりひどく、要領を得ない。とにかく俺は、彼女に宛がわれている部屋に抱えていく事にした。
「ミヅキ、食うの控えろ」
「…ぅ…なんでよ…?」
「重い」
 腹にぽこっと一発、拳が入った。
 
 月明かりだけで照らされた客間に広々としたベッドが一つ。
 薄いレースが掛けられた、古典的なヤツ。
 俺は彼女をベッドの上に寝かせた。
「ちょっと待ってろ」
 部屋の外の洗い場に行き、手拭いを水に浸す。
 部屋に戻ると、ミヅキは目頭を押さえたまま仰向けで静かにしていた。
「ほら、顔見せろ。拭いてやるから。ゲロまみれで寝るんじゃねえ」
 案外素直に俺の言う事を聞く。
 その顔は涙とゲロでぐちゃぐちゃになっていた。
「うっわ。今の顔、鏡で見せてやりたい」
 ぷい、と眼だけ背けた。
「感謝しろよ。あとで体で払ってもらうからな」
 口周りを綺麗に拭いてやる。その唇が、なんとなく色っぽい。
 綺麗な顔してるのになあ。もったいねえ。
「…いいよ…」
 ほとんど聞こえるか聞こえないかわからないような声で、彼女はそう呟いた。

「なんだって?」
 目を背けたまま、何も応えない。
 涙でグズグズになってる眼の周りも丁寧に拭いてやる。
「あのさ、ミヅキ」
 上着のブレザーもゲロまみれ。
「汚れてるから、脱がすぞ」
 ボタンを、順に外していく。ミヅキは黙ったままだった。
 胸のふくらみに押し上げられた真っ白なブラウスが綺麗な曲線を描いていた。
「…ちょっと起こすぞ」
 汚れた上着を取っ払う。再び枕に頭を埋めたミヅキは、じっと俺を見つめた。
「…何?文句あんのか」
「…ある…」
「言ってみろ」
「いや」
 再び、ぷいと目を背けた。
「ちゃんと言いたい事は言え。言わないとムラムラするぞ」
「…勝手にすれば?」

 ほーう、いい度胸だな。
 いきなり、こん、と額をぶつけてみる。
「チューしてやる」
 ミヅキは一瞬体を震わせただけで、何も抵抗しようとしなかった。
 その眼はそっと閉じられていた。
「ホントにするぞ」
 何も応えない。彼女の吐息が、俺の顔を擽る。
 
 まあ、からかってもしょうがないか。
 と、顔を引こうとした瞬間。
 
 俺の声は、柔らかい唇に塞がれた。
 
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