第御獣三話 やんぐ
「…何があったのかはしらねえけどよ、ちゃんとテメエ仕事しろよな」
「オマエが勇者…ノゾム」
フォンブラウンの白い喉に突きつけられた剣から、うっすらと赤いものが滴った。
「余計なことは喋るな。質問に答えるだけでいい。それが終われば解放する」
セバスチャンの声はあくまで冷徹だった。
「なあ、セバスちゃん、なに生ヌルイい事やってんだよ。それで尋問しているつもりか?」
「さっさと出て行け」
「そんな事じゃ一生ゲロしねえぜ」
「さっさと出て行けと言っている」
「ワケありだな。オマエはコイツに情が移ってる。そんな奴に任せておけない」
「さっさと出て行きやがれ!!」
コイツでも切れるのか。
「女を尋問するっていうのはな、こうやって…」
俺が二人に歩み寄ろうとすると、セバスちゃんは空いた手をこちらに突きつけた。
「…なんだよ。俺をまたフッ飛ばそうってか?」
「…おやな…」
消え入りそうな声だった。
「は?なんだって?はっきり喋れよ。聞こえねえナ」
「…俺の母親なんだよ…」
は?
ナイス美女フォンブラウンを見る。真っ白な肌。艶っぽい色気があるけど、どう見ても20代。それが、俺と同い年の子持ちのママだって??
「…こういった世界ではよくあるだろ…若作りしてて実は子持ちなんてキャラ。以外と需要がある…オマエにはわからないかもしれないが」
「ぐっじょぶ。ナイス。オーケー。俺的にはアリ。超アリ」
「お前に任せたくない理由がわかったろう」
おう、確かに下手したら俺が君のお父さんになるところだった。
「私のセバスちゃん…ママのところに、戻っておいで…」
フォンブラウンは涙ながらに訴えた。
「断る。俺はもう子供じゃない。好きな女の子もいる。これ以上ママの言いなりにはなりたくないんだ」
えらいねセバスちゃん。独り立ちしようとしてたのね。
で、これがコスプレ好きのママと。
…まてよ?つまりコイツの父親は黒人、ハーフって事なのか?
「…お父さんが悲しむわ。うちに帰ってきて…」
「あんな犬野郎のところには戻りたくない!」
ああ、妹は上戸彩ってことか。
「わかった。オマエら。そんな家族会議ならよそでやってくれ。あと獣姦マニアのお母さん、いくら可愛いわが息子が、女の子と仲良くしてるのに嫉妬したからって、その女の子を殺そうとしちゃあいけないな。さっさと息子離れしようぜ」
フォンブラウンはとうとう泣き崩れた。
「あああ…ごめんね、ごめんね、セバスちゃん、ママを許して…」
「俺だって、ママを嫌いになりたくないんだ。だから早く、魔王の居場所を教えてよ!」
「ごめんね…ごめんね…」
だから早く喋れっていってんだよコラ、イライラする女だな?
「勇者ノゾム、わかったから、そのどこから沸いたか知らないがベルモンド一族に伝わってそうなものを仕舞ってくれ」
このタイプはマジに痛いのでプレイには向きません。
セバスママはとうとう観念して、魔王の居場所を淡々と語り始めた。
「この先、森を通って岩場の谷を抜けると、お城があります。魔王はその城の頂上の部屋にいます」
なんか、すっげえ普通ですね。
…リフレイン。
確か俺、前回、その谷通ったよな。なんか地平線が見えるまで呪文でフッ飛ばして。
ああ、あそこに城あったのか。気がつかなかった。
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