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第御獣一話 あらなわ
 
 とりあえず、騒ぎを聞きつけて寄ってきた魔物どもを、片っ端から呪文で縛る。
 亀甲縛りで艶めかしい裸体を晒した四天王フォンブラウンが俺を誘っている!!

 いひひひひひひひひひひ!!

「ノゾム君」
 はい。ミヅキさんごめんなさい。(…コイツも縛っとけばよかった)
 ミヅキは俺の外套を引っぺがし、フォンブラウンの裸体を隠した。余計なことをしやがる。
 セバスちゃんは背中を向けてる。案外と純情君なのね。
「男たる者、みだりに女人の裸体を見るものではない」
 はあ。そうでっか。
 とりあえずチンチンぶらぶらのチャンドラセカールは放置の方向で。
 
「…で、フォンブラウンとやら、いろいろ聞きたいことがあるんだが」
 って、猿ぐつわもカマされてるし相手喋れないじゃん。律儀な緊縛呪文だなあ。
「なあ、ミヅキ、コイツは俺に任せてくれないか?」
「却下」
 即答。
「アンタがどんな非合法で非人道的なコトをするか、考えただけでも恐ろしい」
「コイツは人を操るんだぞ。俺もレイチェルも殺された」
「…まあ、たしかにそうだけどさ。でもそれとこれとは話が別。彼女、無抵抗なのよ?」
「俺だって、レイチェルだって、無抵抗で殺されたんだ!!」
「…そんな、自分がやられたからって!」
「殺された俺にはコイツを自由に尋問する権利がある。お前はすっこんでろ」
「ないわよ!そんな権利!」
「ある!」
「ない!」
 
 議論は平行線だ。収束しそうにない。
 俺たちの問答を押し黙って聞いていたセバスちゃんは、咳を一つ払うと、冷静に切り出した。
 
「裏切ったとはいえ、俺は、その人に恩がある。ここは一つ、俺に任せてくれないか?」
「ほう…セバスちゃん。いい度胸だな。お前が二度と裏切らないって保証はどこにもないんだぜ?」
「これは、男としてのケジメだ。頼む、勇者ノゾム」

 あっけにとられた。コイツがこんなマジメな顔するなんて。
 
「…でもな、仮にお前が尋問するとして、どうやってするんだ?口を開いた瞬間に、お前だって、あの時みたいに操られるんだぜ」
「あのときは油断したが、彼女の呪文より俺の剣の方が早い。彼女もそれぐらいは心得ているはずさ」
「尋問する内容はわかっているんだろうな」
「魔王の居場所。それと、残り二人の四天王もだ。四天王については、俺はこの二人しか面識がない」
 はいはい、わかったよ。
「じゃあ、お前に任せる。ついでにそいつの好きな縛り方と責め方も聞いといてくれ。ヘンな真似したら、レイチェルに言いつけるからな」
了解した(Hoo-ah)

 俺の冗談も軽く受け流し、セバスちゃんはフォンブラウンに歩み寄ると、俺の外套ごと彼女を両手で抱き抱えた。
 
「裏切ったことを、許してくれとはいいません。あなたはわかってくれるはずだと信じています」

 幼女一人のために裏切ったくせに何カッコつけてんだ。
 
「どこ行くつもりだ?」
「二人だけで話をさせてくれ。すぐに戻る」

 そういうと、誰もいない櫓の方に女を抱えたまま歩き出した。
 
「…いいの?行かせちゃって」
「いいも何も、そうするしかないだろう」
 ちくしょう、俺があの手この手で尋問したかったのに。
 
「んーーーーー!!!んんんーーー!!!」

 あ、チンチン丸出しのチャンドラセカールのこと忘れてた。

 
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