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第燦獣一話 ぷっつん

「で、その魔王軍の能力者という話を、詳しくしてはくださらぬか」
「ああ、名前はセバスちゃん。ソイツは楽勝だ。こっちには最終兵器がある」
「さいしゅうへいき?」
「レイチェル、お前だ。ヤツが出てきたら、出番だ」
「え、私、そんな怖そうな人と戦えないよ…」
「ああ、ヤツが出てきたら、一緒に遊ぼうっていえばそれでいいんだよ。俺も一緒に遊んであげるから。ね?」
「?」

 こんなテキトウな対処法で懐柔されていいのかよ。セバスちゃん。
 
 能力代償やら、下手をしたらなんでそんな小難しい設定にしたのと眼を覆わんばかりの無駄な話をしているうちに、魔法少女ミヅキは眼をさました。
「よう、おはよう」
 寝起きの顔を見られて最悪、といったカンジ。布団に顔を埋めて隠した。
 
「ミヅキ殿、お願いでござる。我らと共に、魔王を倒してくれぬか」
 オッサンの問いかけに、ミヅキは返事をしなかった。
「かの王宮騎士団も、魔王討伐に人手を割くと聞いておる。しかし、そなたも知ってのとおり、並の人間では数が集まったところでとても歯が立たぬ。どうか、どうかひとつ、お願い申す」
 
「知ってるよ。ライバッハ様が、先頭に立つんだ」
 どうやら彼女があこがれている騎士の名らしい。
 彼女は顔を伏せたままだった。

「…倒しに行かなくてもいいじゃない。私は、ライバッハ様が生きていれば、ライバッハ様の側にいられれば、それで十分。魔物が襲ってきたら、私が撃退するの。簡単だよ」

「そうはいってはおれぬ。魔物が攻めてくるのは、そなたの国だけではござらん」
「私は関係ない」

 そう言ってのけた。我が儘な女だと思った。
 
「しょうがねえよ、オッサン。小便くさい女子高生に、魔王を倒せって頼む方がどうかしている。俺たちだけで、なんとかしようぜ」
「かっこつけたって、魔王にはかなわないよ」
「やってみなきゃ、わからん」
「もう、いやだ…」

 嗚咽が聞こえる。彼女の嗚咽だ。
「痛いの、もういや。人が死んでいくの、もういや。あのひとがいなくなるの、もういや、もういや!みんないや!…私に、こんなこと言うんだよ?自分は魔王を倒しに行くけど、君は危ないから国に残ってくれって。もし魔物が攻めてきても、無理しないでって。怖かったら、すぐに逃げてって。私より、弱っちいくせに、偉そうにそう言うんだよ?」
 
「なんだミヅキ、怖いのか」
「怖いよ!自殺するようなものじゃない!どうかしてるよ!」

「まあ、小便たれのJKには、男のロマンはわからんよなあ。そりゃあ、お前のナイト様も怖いに決まってる。自殺するようなモンだと思ってるさ。でもなあ、部屋の隅でガタガタ震えて命乞いしたって、死ぬときは死ぬんだ。同じ死ぬなら、カッコつけて死んだ方が、騎士っぽくて最高だろ?…俺だって死にたくはないさ。でもカッコつけるのは大好きなんだ。死んだときは死んだとき。それでおしまい。勇者っぽくてカッコイイだろ。もし生き残ったら、愛されまくり。セックスしまくり。男って、そーゆー単純な生き物なの」

「…バカじゃん」

「でさ、実際、俺、この国の誰よりも強えの。どんな男よりも、バコバコのセックスにありつけるぐらいTUEEEEの。俺がセックス出来なかったら、誰もセックスにありつけないの。そんぐらいなの。お前のナイト様もそうでしょ。ヤルでしょフツー。お前は、立派なTUEEE能力で、ナイト様をバコバコのメロメロに出来るのに、やらねえのよ。もったいねえ」

「…アンタと一緒にしないでよ」

「俺、あなたが欲しいのセックスしてってお願いしてくる女、すっげえ大好きだから。エロエロでぐっちゃんぐっちゃんのセックスするためなら、なんだってやる。おまえがナイト様大好きだってのは、最初からなんにもしねえのよ。その程度の「好き」なんだよ」

 
 何か切れた音が、聞こえたような気がした。

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