第二話 お約束
とりあえず、なんか襲われてるらしい村にたどり着いた。
徒歩で。馬車使わせてくれないの。ケチな国だね。まったく。
あー、アレか。魔王の軍勢ってのは。
魔物っぽいものが三匹、村人に襲いかかろうとしてる。
「なあオッサン」
「ガイアと申しまするぞ」
「んな事どうでもいいんだよ。アレなの?魔王の軍勢ってのは」
「あれは下級悪魔、レサーデモン。並の男では太刀打ちできぬ強敵ですぞ!」
はあ、並の男ねえ。
「オッサンはあの化け物倒せないのか」
「ぬ、私とて国一番の騎士、あの程度の魔物に手こずるようなことはござらん!」
「あーそー。じゃ、やってみて」
「…何をで、ございますか」
「あの三匹、ちゃっちゃとやっつけちゃってよ」
「私が、でござるか?」
「そうそう。簡単でしょ。相手もさ、なんか今、村人襲うぞ~って格好したまま、止まってるじゃん。楽勝楽勝」
「しかし、私一人で三匹とは…」
「やるの?やらないの?どっち?」
「ぬう、ここは男ガイア、軽く蹴散らしてくれましょうぞ!」
はい、行ってらっしゃい。
「ぬう!」
ああ、やってるやってる。オッサン、結構つええなあ。さすがは国一番と自称するだけあるよ。
「ノゾム様は、助太刀しないのですか?」
「あーレイチェルちゃん、ここは、まず自分の仲間を信用するところから始まるんだよ。人間関係ってのは、そーゆーもんなの」
「…そんな問題じゃ無いと思うんですけど…」
お、一匹は倒したな。脳天にクリーンヒット。二匹目に苦戦してるなあ。あ、二匹がかりでタコ殴り状態っぽくなってきた。あー、情けないな。しょうがない、助けるか。
「オッサン、助太刀するぜ」
「かたじけのうござる!」
俺は軽く剣を振り回した。
「でやッ」
カキン、キン、と、何故か金属を切ったわけでも無いのに、その場に合わないSEが流れた。
魔物二匹は、そのまま、ぴたりと動かなくなってしまった。
「んでね、この剣を、鞘に収めると」
チン、という音と共に、魔物の体がバラバラに崩れ去った。
「おお、さすがは勇者殿!お見事でござる」
「ああ、またつまらん物を切ってしまった」
「余裕の発言ですな」
「…いや、このセリフ、言わないとダメらしいんだ」
「?」
この世界の人にこんな事を言ってもウケないわなあ。
とりあえずこのオッサン、怪我してるから。
「レイチェルちゃん、出番ですよ」
「はい、私の祈りで、癒します」
「かたじけのうござる」
「神よ(中略)癒したまえ!」
みるみるうちに傷口がふさがった。
「おおすげえ。こんど俺も真似してみっかな」
「この技は、神の声を聞いた者だけに使えるのです。ノゾム様には、まだ…」
とりあえず自分の腕に傷をつけてみた。
「クレイジーダイヤモンぬ(荒木風味)!」
ッて、ぺちっと叩くと、あっという間に傷が消えた。跡形もなく。
あれ、レイチェルちゃん?
あ、なんか、困ってる?自分の存在意義とか。
「まあまあ、俺が倒れたときは、レイチェルちゃんの出番だからね。そんなにね、泣かないでね?君がそんなんだったらね、オッサンなんて、どうなるのよッて話だからね。ね、ね?」
さすがに子供のように泣き出してしまった。そりゃそうだ。彼女の出番は実質、もう無くなってしまったのだから。
「置いてかないから、ね?泣くのやめようね?」
「…はい…」
あーめんどくせえガキ。
おっぱいバインバインのねーちゃんでも出てこねーかな。
「それは、そうと、襲われた村人たちも介抱してやらねばいけませぬぞ」
あー、オッサン、襲われてないから。襲う前にじっと止まってたから。あの怪物。
「…助けていただいて、ありがとうございました、旅の人」
イェス!これだよ!!
助けたの、マジもんのバインバインねーちゃんじゃねーか!
最初っからグラフィック出せよ!
…グラフィック?
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